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Nutrition Guide

身体を作り、機能させる栄養・サプリメント情報 より効率的な身体作りのために

6-9.実際にベータアラニンを摂取してみよう

これまで何度も示してきたように、β-アラニンの摂取は筋中のカルノシンを増加させ、乳酸産生過程で発生する水素イオンによる筋内pH低下を中和することで、筋疲労を軽減できる可能性がある。欧米を中心に、エルゴジェニックエイドとしてアスリートに広く用いられているβ-アラニン。今回はそのβアラニンの摂取方法について解説する。

 

効果的なβ-アラニンの摂取量と期間

βアラニンのエルゴジェニックな効果を得るためにはどの程度の摂取量と期間が必要なのだろうか?
βアラニン補給と運動パフォーマンスの関係について検討したシステマティックレビューによれば、1日あたり3.2~6.4gの範囲の用量を4~12週間摂取することで運動パフォーマンスの改善が確認されたと報告されている1。エルゴジェニックな効果を得るためには、継続的にβ-アラニンを摂取する必要がある。

 

β-アラニン摂取による肌のピリピリ感

すでにβ-アラニンを摂取したことがある方はご存知かもしれないが、実はβ-アラニンを摂取すると5~10分程度で手のひらをはじめ肌にピリピリ感が生じる。一般に”β-アラニンフラッシュ”と呼ばれているこの現象はβ-アラニンの特徴でもある。もちろん健康上問題はない。しかし、仮にこのピリピリした感覚を好まない方がいる場合には、1日の中でβ-アラニン摂取を複数回に分割することでピリピリ感を抑えることが出来ると言われている1,2

 

β-アラニンはどのような競技に向いているのか?

β-アラニンが有効とされる運動時間は、およそ30秒~10分程度だと言われている1,3。少し幅が広いようにも感じられるが、つまりは筋内pHの低下が疲労の要因となるような運動に対して、β-アラニン摂取(カルノシン増加)が効果を発揮すると理解できる。陸上や競泳なら中距離・長距離といったところだろうか。参考までに、βアラニン摂取によりパフォーマンス向上が期待できる陸上競技種目についての国際陸上競技連盟の見解を、クレアチンと比較して示す4(表1)。

表1. β-アラニンやクレアチン摂取がパフォーマンス向上に寄与すると考えられる陸上競技種目 (*文献4より一部改編)
ベータアラニンとクレアチン摂取によってパフォーマンス向上が期待できる陸上競技種目

 

β-アラニンとクレアチンをどちらも摂取する

6-8. β-アラニンの働きとは? において、クレアチンとβ-アラニンでは働きが異なると述べた。この両者、確かに役割が異なるのだが、併用することでそれぞれを単体で摂るよりも高いパフォーマンス向上効果が期待できるようだ1。クレアチンの効果でより大きな力を発揮し、β-アラニンの効果で疲れにくくできる為にパフォーマンスに対してポジティブな効果が得られると考えればいいだろう。1+1が2となるような単純なものではないが、これからはサプリメントをうまく併用してより大きな効果を得る、そんな時代が訪れるだろう。

 

  • 【参考文献】
  • 1.Saunders, B. et al. β-Alanine supplementation to improve exercise capacity and performance: A systematic review and meta-Analysis. British Journal of Sports Medicine 51, 658-669 (2017).
    2.Trexler, E. T. et al. International society of sports nutrition position stand: Beta-Alanine. J. Int. Soc. Sports Nutr. 12, 1-14 (2015).
  • 3.Maughan, R. J. et al. IOC consensus statement: dietary supplements and the high-performance athlete. Br. J. Sports Med. 52, 439-455 (2018).
  • 4.Burke, L. M. et al. International association of athletics federations consensus statement 2019: Nutrition for athletics. Int. J. Sport Nutr. Exerc. Metab. 29, 73-84 (2019).

Nutrition Guide 身体を作り、機能させる栄養・サプリメント情報 より効率的な身体作りのために

6-9.実際にベータアラニンを摂取してみよう

これまで何度も示してきたように、β-アラニンの摂取は筋中のカルノシンを増加させ、乳酸産生過程で発生する水素イオンによる筋内pH低下を中和することで、筋疲労を軽減できる可能性がある。欧米を中心に、エルゴジェニックエイドとしてアスリートに広く用いられているβ-アラニン。今回はそのβアラニンの摂取方法について解説する。

 

効果的なβ-アラニンの摂取量と期間

βアラニンのエルゴジェニックな効果を得るためにはどの程度の摂取量と期間が必要なのだろうか?
βアラニン補給と運動パフォーマンスの関係について検討したシステマティックレビューによれば、1日あたり3.2~6.4gの範囲の用量を4~12週間摂取することで運動パフォーマンスの改善が確認されたと報告されている1。エルゴジェニックな効果を得るためには、継続的にβ-アラニンを摂取する必要がある。

 

β-アラニン摂取による肌のピリピリ感

すでにβ-アラニンを摂取したことがある方はご存知かもしれないが、実はβ-アラニンを摂取すると5~10分程度で手のひらをはじめ肌にピリピリ感が生じる。一般に”β-アラニンフラッシュ”と呼ばれているこの現象はβ-アラニンの特徴でもある。もちろん健康上問題はない。しかし、仮にこのピリピリした感覚を好まない方がいる場合には、1日の中でβ-アラニン摂取を複数回に分割することでピリピリ感を抑えることが出来ると言われている1,2

 

β-アラニンはどのような競技に向いているのか?

β-アラニンが有効とされる運動時間は、およそ30秒~10分程度だと言われている1,3。少し幅が広いようにも感じられるが、つまりは筋内pHの低下が疲労の要因となるような運動に対して、β-アラニン摂取(カルノシン増加)が効果を発揮すると理解できる。陸上や競泳なら中距離・長距離といったところだろうか。参考までに、βアラニン摂取によりパフォーマンス向上が期待できる陸上競技種目についての国際陸上競技連盟の見解を、クレアチンと比較して示す4(表1)。

表1. β-アラニンやクレアチン摂取がパフォーマンス向上に寄与すると考えられる陸上競技種目 (*文献4より一部改編)
ベータアラニンとクレアチン摂取によってパフォーマンス向上が期待できる陸上競技種目

 

β-アラニンとクレアチンをどちらも摂取する

6-8. β-アラニンの働きとは? において、クレアチンとβ-アラニンでは働きが異なると述べた。この両者、確かに役割が異なるのだが、併用することでそれぞれを単体で摂るよりも高いパフォーマンス向上効果が期待できるようだ1。クレアチンの効果でより大きな力を発揮し、β-アラニンの効果で疲れにくくできる為にパフォーマンスに対してポジティブな効果が得られると考えればいいだろう。1+1が2となるような単純なものではないが、これからはサプリメントをうまく併用してより大きな効果を得る、そんな時代が訪れるだろう。

 

  • 【参考文献】
  • 1.Saunders, B. et al. β-Alanine supplementation to improve exercise capacity and performance: A systematic review and meta-Analysis. British Journal of Sports Medicine 51, 658-669 (2017).
    2.Trexler, E. T. et al. International society of sports nutrition position stand: Beta-Alanine. J. Int. Soc. Sports Nutr. 12, 1-14 (2015).
  • 3.Maughan, R. J. et al. IOC consensus statement: dietary supplements and the high-performance athlete. Br. J. Sports Med. 52, 439-455 (2018).
  • 4.Burke, L. M. et al. International association of athletics federations consensus statement 2019: Nutrition for athletics. Int. J. Sport Nutr. Exerc. Metab. 29, 73-84 (2019).
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