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Nutrition Guide

身体を作り、機能させる栄養・サプリメント情報 より効率的な身体作りのために

6-5.カフェインの働きとは?

エルゴジェニックエイド -カフェイン-

カフェインもまた、アスリートのパフォーマンス向上をもたらす可能性のあるエルゴジェニックエイドとして知られており、カフェイン摂取による運動機能の向上は数多くの研究で明らかとなっている。

実は、国際的なスポーツ競技会においてカフェインは興奮剤とみなされ、特にカフェインの大量摂取は長年禁止されてきた過去がある。2004年以降、世界アンチ―ドーピング機構(WADA)はカフェインを禁止薬物リストから除外し、現在は監視プログラム(禁止物質ではないものの、ドーピングとしての利用の危険性がある物質として分析対象とするもの。検出されても失格にはならないが、乱用されている事実が認められれば禁止薬物に規定される可能性が高い項目)に指定している。

このように、現状、カフェインは禁止薬物ではないため、アスリート向けのスポーツサプリメント等にもよく含まれている。アスリートのカフェイン使用状況を調査した研究において、およそ74%がカフェインを使用していたとの報告がなされていたことからも1、いかに一般的な成分であるのかがお分かりいただけるだろう。

 

カフェインが運動パフォーマンスへ与える影響

カフェインの働きは多岐にわたる。例えば、カフェインが脳のアデノシン受容体へ結合しすることで覚醒作用が発揮されるが、これは運動中、疲労感の軽減をもたらすとされている。また、運動前にカフェインを摂取することで血中のエピネフリン(アドレナリン)濃度が上昇し、交感神経が賦活化する。さらに、血中に遊離脂肪酸が放出され、エネルギー源としての脂肪の利用が高まることも知られている2,3

実際の競技パフォーマンスへの影響を検証した研究も数多く存在する。例えば、15名の自転車選手にカフェインを摂取させたところ、タイムトライアルの結果が有意に向上したと報告されている4(図1)。また別の研究では、カフェイン摂取によってランニングで疲労困憊に至るまでの時間が延長したことも報告され5、パフォーマンスアップの効果が実証されている。

図1. カフェイン摂取が自転車タイムトライアルのパフォーマンスに与える影響

図1. カフェイン摂取が自転車タイムトライアルのパフォーマンスに与える影響 (*文献4より作成)

 

6-6.実際にカフェインを摂取してみようでは、運動パフォーマンス向上に効果的とされるカフェイン摂取量について解説する。

 

  • 【参考文献】
  • 1.Coso, J. Del, Munoz, G. & Munoz-guerra, J. Prevalence of caffeine use in elite athletes following its removal from the World Anti-Doping Agency list of banned substances. Appl. Physiol. Nutr. Metab. 36, 555-561 (2011).
  • 2.Graham, T. E. & Spriet, L. L. Metabolic, catecholamine, and exercise performance responses to various doses of caffeine. J. Appl. Physiol. 3, 867-874 (1995).
  • 3.JL, I., DL, C., WJ, F. & RW, L. Influence of caffeine and carbohydrate feeding on endurance performance. Med. Sci. Sports 11, 6-11 (1979).
  • 4.Talanian, J. L. & Spriet, L. L. Low and moderate doses of caffeine late in exercise improve performance in trained cyclists. Appl. Physiol. Nutr. Metab. 41, 850-855 (2016).
  • 5.Graham, T. E., Hibbert, E. & Sathasivam, P. Metabolic and exercise endurance effects of coffee and caffeine ingestion. J. Am. Geriatr. Soc. 85, 883-889 (1998).

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6-5.カフェインの働きとは?

エルゴジェニックエイド -カフェイン-

カフェインもまた、アスリートのパフォーマンス向上をもたらす可能性のあるエルゴジェニックエイドとして知られており、カフェイン摂取による運動機能の向上は数多くの研究で明らかとなっている。

実は、国際的なスポーツ競技会においてカフェインは興奮剤とみなされ、特にカフェインの大量摂取は長年禁止されてきた過去がある。2004年以降、世界アンチ―ドーピング機構(WADA)はカフェインを禁止薬物リストから除外し、現在は監視プログラム(禁止物質ではないものの、ドーピングとしての利用の危険性がある物質として分析対象とするもの。検出されても失格にはならないが、乱用されている事実が認められれば禁止薬物に規定される可能性が高い項目)に指定している。

このように、現状、カフェインは禁止薬物ではないため、アスリート向けのスポーツサプリメント等にもよく含まれている。アスリートのカフェイン使用状況を調査した研究において、およそ74%がカフェインを使用していたとの報告がなされていたことからも1、いかに一般的な成分であるのかがお分かりいただけるだろう。

 

カフェインが運動パフォーマンスへ与える影響

カフェインの働きは多岐にわたる。例えば、カフェインが脳のアデノシン受容体へ結合しすることで覚醒作用が発揮されるが、これは運動中、疲労感の軽減をもたらすとされている。また、運動前にカフェインを摂取することで血中のエピネフリン(アドレナリン)濃度が上昇し、交感神経が賦活化する。さらに、血中に遊離脂肪酸が放出され、エネルギー源としての脂肪の利用が高まることも知られている2,3

実際の競技パフォーマンスへの影響を検証した研究も数多く存在する。例えば、15名の自転車選手にカフェインを摂取させたところ、タイムトライアルの結果が有意に向上したと報告されている4(図1)。また別の研究では、カフェイン摂取によってランニングで疲労困憊に至るまでの時間が延長したことも報告され5、パフォーマンスアップの効果が実証されている。

図1. カフェイン摂取が自転車タイムトライアルのパフォーマンスに与える影響

図1. カフェイン摂取が自転車タイムトライアルのパフォーマンスに与える影響 (*文献4より作成)

 

6-6.実際にカフェインを摂取してみようでは、運動パフォーマンス向上に効果的とされるカフェイン摂取量について解説する。

 

  • 【参考文献】
  • 1.Coso, J. Del, Munoz, G. & Munoz-guerra, J. Prevalence of caffeine use in elite athletes following its removal from the World Anti-Doping Agency list of banned substances. Appl. Physiol. Nutr. Metab. 36, 555-561 (2011).
  • 2.Graham, T. E. & Spriet, L. L. Metabolic, catecholamine, and exercise performance responses to various doses of caffeine. J. Appl. Physiol. 3, 867-874 (1995).
  • 3.JL, I., DL, C., WJ, F. & RW, L. Influence of caffeine and carbohydrate feeding on endurance performance. Med. Sci. Sports 11, 6-11 (1979).
  • 4.Talanian, J. L. & Spriet, L. L. Low and moderate doses of caffeine late in exercise improve performance in trained cyclists. Appl. Physiol. Nutr. Metab. 41, 850-855 (2016).
  • 5.Graham, T. E., Hibbert, E. & Sathasivam, P. Metabolic and exercise endurance effects of coffee and caffeine ingestion. J. Am. Geriatr. Soc. 85, 883-889 (1998).
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