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ヒトが生体内で合成できない9種類の必須アミノ酸(EAA:Essential Amino Acids)の中でも、BCAAと呼ばれる3つのアミノ酸はアスリートにとって特別な作用を持っている。ここでは、BCAAについて詳しく解説する。
BCAAとは何か?
BCAA(Branched-Chain Amino Acids:分岐鎖アミノ酸)とは、バリン、ロイシン、そしてイソロイシンの3つの必須アミノ酸の総称である。
側鎖に分岐構造を持つことから分岐鎖アミノ酸と呼ばれている(図1)。
9種類の必須アミノ酸のうち、BCAA以外は主に肝臓で代謝されるのに対して、BCAAは主に骨格筋で直接代謝される。このため、BCAAは骨格筋において非常に重要なアミノ酸であるといえる。BCAAは単に体タンパク質を構成する材料となるだけでなく、アスリートにとって有益な効果をもたらすことが知られている。下記に代表的なBCAAの作用を4つ示す。
BCAAの代表的な作用
1.運動時の筋収縮エネルギー源
必須アミノ酸のほとんどは、主に肝臓で代謝され骨格筋をはじめとする多くの組織の材料となる。一方、BCAAは他のアミノ酸と異なり主に骨格筋で代謝される。いくらかのBCAAは筋内でATPを産生するTCA回路に取り込まれ、運動時のエネルギー源として働く。
2.筋タンパク質合成の促進
筋タンパク質合成の促進には、BCAAの中でも特にロイシンが重要な役割を果たしている。詳しくは4-3.筋肥大の要 ロイシンで解説するが、ロイシンの血中濃度と筋タンパク質合成速度には相関関係が認められている1。これは、ロイシンが筋タンパク質合成に関わるmTOR(mammalian Target Of Rapamycin)と呼ばれる分子の活性化を促進させる作用を持つためであると考えられている。故に、BCAAはアミノ酸として単にタンパク質の材料になるだけでなく、筋肥大を刺激する因子として重要な役割を持っていると言える。
3.集中力の維持
長時間運動などの脂質がエネルギー源として利用される時、脂肪酸は血中のアルブミンというタンパク質と結合する。通常、アルブミンはアミノ酸の一種であるトリプトファンが結合しているが、運動中は脂肪酸と結合するため、アルブミンはトリプトファンと分離する。すると、遊離したトリプトファンは脳内に移行する。脳内に取り込まれたトリプトファンはセロトニンに変換されるが、これが精神的な疲労(中枢性疲労)の要因の一つであると考えられている。いわゆる「セロトニン仮説」である。BCAAは、このトリプトファンの脳内への移行を阻害する働きを持つため、運動中の精神的な疲労(中枢性疲労)を軽減させることが出来ると考えられている。
4.遅発性筋肉痛の軽減
激しい運動を行った24~48時間後には、筋のこわばりや痛みなどを示す遅発性筋肉痛が生じる。筋肉痛のメカニズムは不明な点も多いが、一つの可能性として、筋線維に炎症がおき、これを痛みと感じるのではないか考えられている。研究的には、運動前や運動中に一定量のBCAAを摂取することで、遅発性筋肉痛を軽減できる可能性があると言われている。例えば、スクワット運動前に5gのBCAAを摂取することで、その後の自覚的な筋肉痛・筋疲労が有意に低下したと報告されている2。
効果的なBCAA摂取のタイミングとは?
上記のようにBCAAはアスリートにとって多くの有益な効果を有している。これらの効果を最大化するための摂取タイミングとして、トレーニング前やトレーニング中の摂取が推奨されている3(図2)。スポーツサプリメント市場においても、プレワークアウト、イントラワークアウトの製品には高確率でBCAAが含まれている。
ヒトが生体内で合成できない9種類の必須アミノ酸(EAA:Essential Amino Acids)の中でも、BCAAと呼ばれる3つのアミノ酸はアスリートにとって特別な作用を持っている。ここでは、BCAAについて詳しく解説する。
BCAAとは何か?
BCAA(Branched-Chain Amino Acids:分岐鎖アミノ酸)とは、バリン、ロイシン、そしてイソロイシンの3つの必須アミノ酸の総称である。
側鎖に分岐構造を持つことから分岐鎖アミノ酸と呼ばれている(図1)。
9種類の必須アミノ酸のうち、BCAA以外は主に肝臓で代謝されるのに対して、BCAAは主に骨格筋で直接代謝される。このため、BCAAは骨格筋において非常に重要なアミノ酸であるといえる。BCAAは単に体タンパク質を構成する材料となるだけでなく、アスリートにとって有益な効果をもたらすことが知られている。下記に代表的なBCAAの作用を4つ示す。
BCAAの代表的な作用
1.運動時の筋収縮エネルギー源
必須アミノ酸のほとんどは、主に肝臓で代謝され骨格筋をはじめとする多くの組織の材料となる。一方、BCAAは他のアミノ酸と異なり主に骨格筋で代謝される。いくらかのBCAAは筋内でATPを産生するTCA回路に取り込まれ、運動時のエネルギー源として働く。
2.筋タンパク質合成の促進
筋タンパク質合成の促進には、BCAAの中でも特にロイシンが重要な役割を果たしている。詳しくは4-3.筋肥大の要 ロイシンで解説するが、ロイシンの血中濃度と筋タンパク質合成速度には相関関係が認められている1。これは、ロイシンが筋タンパク質合成に関わるmTOR(mammalian Target Of Rapamycin)と呼ばれる分子の活性化を促進させる作用を持つためであると考えられている。故に、BCAAはアミノ酸として単にタンパク質の材料になるだけでなく、筋肥大を刺激する因子として重要な役割を持っていると言える。
3.集中力の維持
長時間運動などの脂質がエネルギー源として利用される時、脂肪酸は血中のアルブミンというタンパク質と結合する。通常、アルブミンはアミノ酸の一種であるトリプトファンが結合しているが、運動中は脂肪酸と結合するため、アルブミンはトリプトファンと分離する。すると、遊離したトリプトファンは脳内に移行する。脳内に取り込まれたトリプトファンはセロトニンに変換されるが、これが精神的な疲労(中枢性疲労)の要因の一つであると考えられている。いわゆる「セロトニン仮説」である。BCAAは、このトリプトファンの脳内への移行を阻害する働きを持つため、運動中の精神的な疲労(中枢性疲労)を軽減させることが出来ると考えられている。
4.遅発性筋肉痛の軽減
激しい運動を行った24~48時間後には、筋のこわばりや痛みなどを示す遅発性筋肉痛が生じる。筋肉痛のメカニズムは不明な点も多いが、一つの可能性として、筋線維に炎症がおき、これを痛みと感じるのではないか考えられている。研究的には、運動前や運動中に一定量のBCAAを摂取することで、遅発性筋肉痛を軽減できる可能性があると言われている。例えば、スクワット運動前に5gのBCAAを摂取することで、その後の自覚的な筋肉痛・筋疲労が有意に低下したと報告されている2。
効果的なBCAA摂取のタイミングとは?
上記のようにBCAAはアスリートにとって多くの有益な効果を有している。これらの効果を最大化するための摂取タイミングとして、トレーニング前やトレーニング中の摂取が推奨されている3(図2)。スポーツサプリメント市場においても、プレワークアウト、イントラワークアウトの製品には高確率でBCAAが含まれている。