健康・体力・美容UP
街にも人が増え、日常が少しずつ戻ってきた。となれば、忘年会だ。12月は何といっても忘年会シーズンなのである。
ただし、酔いに任せてだらしない恰好を見せては台無しだ。上司は威厳が損なわれ、部下は信用を失う。男子はモテず、女子はイメージが落ちる。プロテインのように酒を飲んでも、飲まれないようになるためには、どうすればいいだろうか。
アルコールの主成分は「エタノール」だ。アルコールを飲むとエタノールが肝臓で酸化され、「酢酸」に変わる。酢酸は血中に流れ出し、主に筋肉に送り込まれてエネルギーとなり、最終的に二酸化炭素と水になって完全に分解される。
つまり筋肉が多いウォリアーは酢酸の処理能力が高く、アルコールを分解するのが得意ということになる。スポーツマンに酒豪が多いのは、そうしたわけである。
しかし筋肉が多いのに、酒が弱い人もいる。なぜだろうか。
酢酸になってしまえば処理は簡単。ここでの問題は、エタノールが酢酸になるまでにある。
エタノールはまず「アセトアルデヒド」となり、それから酢酸になる。この時に必要となる酵素を「アルコール脱水素酵素」と呼ぶ。アセトアルデヒドは毒性が高い。アルコールを飲んで顔が赤くなったり頭痛がしたり吐き気がしたりするのは、アセトアルデヒドのせいである。だから、アセトアルデヒドを分解する必要がある。
アセトアルデヒドを分解して酢酸にするのが「アルデヒド脱水素酵素」だ。アルコール脱水素酵素やアルデヒド脱水素酵素がうまく働かないと、酔いがすぐに回ったり、悪酔いしたり、二日酔いになってしまったりする。
この二つの酵素は「NAD」という物質を材料として作られる。そしてこのNADを作ってくれるのが、ナイアシンというビタミンB群の仲間。だからアルコールを飲む前にナイアシン、飲んだ後もナイアシン。そうすればエタノールがスムーズに分解され、気持ちよく酒を飲むことができるだろう。
体内にエネルギーが大量にある時は、それを溜め込もうとする。この時インスリンが働くと、エネルギーが体脂肪に変わりやすい。
残念なことにアルコール脱水素酵素やアルデヒド脱水素酵素が働くと、身体は「エネルギーが大量にある」と判断して、脂肪の合成を活発にしてしまう。それだけでも問題だが、糖質の多いツマミなどを食べるとインスリンが分泌され、さらに体脂肪が増えやすくなってしまう。
つまり「締めにラーメン」は、アウト中のアウトなのである。
ツマミは焼き鳥や刺身など、糖質の少ないものを選ぼう。また酒も、焼酎やウィスキー、ブランデー、ウォッカ、ジンなどの蒸留酒を選ぶのがベストである。
アルコールの過剰摂取により、「急性アルコール筋症」を引き起こすことがある。アルコール摂取により短期的なタンパク質合成の低下や、筋力低下などが引き起こされるようだ。
アルコールは男性ホルモンを産生するライディッヒ細胞にダメージを与えたり、テストステロンの受容体を破壊したりしてしまう、という報告もある。そしてアルコールはコルチゾールの分泌を増やし、筋肉の分解を促進してしまうという問題もある。
もちろん肝臓への悪影響はよく知られたところ。加えて脱水の問題もある。酔った状態でのトレーニングが危険なのは、脱水によるものも大きい。
人間を対象にした実験で、高強度トレーニング後に「アルコールとマルトデキストリン」、「アルコールとプロテイン」、「プロテインのみ」を摂取した群に分けたところ、筋タンパク質合成率はプロテインのみの群が目立って高く、「アルコールとマルトデキストリン」の群はかなり低くなっているのだ(※1)。
「トレーニング後の一杯」は確かにうまい。だが、トレーニング効果を最大限にしようと考えるなら、せめてトレーニングがオフの日に飲むことにしよう。それでも、どうしても…というのなら、せめてホエイプロテインを飲んでほしい。(※1)の研究では、アルコールに加えてマルトデキストリン(25g)を摂った群に比べ、ホエイプロテイン(25g)を飲んだ群は、少しだけ筋タンパク質合成が高くなっている。
アルコールのダメなところばかり取り上げて、少々辟易してしまったかもしれない。最後にアルコールのメリットも書いておこう。
アルコールによってリラックスすると、人間関係がよくなると言われる。これはアルコールがGABA受容体やグリシン受容体などの抑制性の神経伝達を亢進させるからだ(※2)。また、アルコールの香りがGABA受容体に作用しているという可能性もある。
アルコールで眠くなるのも、この働きによるものである。なかなか寝つけない場合は、寝酒も一つの方法ではある。
また体重が増えにくいウォリアーの場合、アルコールの食欲増進作用も有効だ。これはアペリティフ(食前酒)効果とも呼ばれる。酔うと満腹中枢がマヒし、普段より多く食べられるようになる。またアルコールによってガストリンという消化管ホルモンが分泌され、胃液が増えて消化が促進される面もある。
またアルコールは、大脳新皮質の働きを抑える。これは脳において、理性を受け持っている箇所。つまり、理性がなくなるということ。そして大脳旧皮質、大脳辺縁系の働きが活発になり、本能や感情が出る。これが「アルコールは人間の本性を暴く」と言われるゆえんである。
自らの本性に自信のあるウォリアーならば、アルコールを怖がることはない。ただし右手にナイアシン(ビタミンSP)、左手にホエイプロテインを。
街にも人が増え、日常が少しずつ戻ってきた。となれば、忘年会だ。12月は何といっても忘年会シーズンなのである。
ただし、酔いに任せてだらしない恰好を見せては台無しだ。上司は威厳が損なわれ、部下は信用を失う。男子はモテず、女子はイメージが落ちる。プロテインのように酒を飲んでも、飲まれないようになるためには、どうすればいいだろうか。
アルコールの主成分は「エタノール」だ。アルコールを飲むとエタノールが肝臓で酸化され、「酢酸」に変わる。酢酸は血中に流れ出し、主に筋肉に送り込まれてエネルギーとなり、最終的に二酸化炭素と水になって完全に分解される。
つまり筋肉が多いウォリアーは酢酸の処理能力が高く、アルコールを分解するのが得意ということになる。スポーツマンに酒豪が多いのは、そうしたわけである。
しかし筋肉が多いのに、酒が弱い人もいる。なぜだろうか。
酢酸になってしまえば処理は簡単。ここでの問題は、エタノールが酢酸になるまでにある。
エタノールはまず「アセトアルデヒド」となり、それから酢酸になる。この時に必要となる酵素を「アルコール脱水素酵素」と呼ぶ。アセトアルデヒドは毒性が高い。アルコールを飲んで顔が赤くなったり頭痛がしたり吐き気がしたりするのは、アセトアルデヒドのせいである。だから、アセトアルデヒドを分解する必要がある。
アセトアルデヒドを分解して酢酸にするのが「アルデヒド脱水素酵素」だ。アルコール脱水素酵素やアルデヒド脱水素酵素がうまく働かないと、酔いがすぐに回ったり、悪酔いしたり、二日酔いになってしまったりする。
この二つの酵素は「NAD」という物質を材料として作られる。そしてこのNADを作ってくれるのが、ナイアシンというビタミンB群の仲間。だからアルコールを飲む前にナイアシン、飲んだ後もナイアシン。そうすればエタノールがスムーズに分解され、気持ちよく酒を飲むことができるだろう。
体内にエネルギーが大量にある時は、それを溜め込もうとする。この時インスリンが働くと、エネルギーが体脂肪に変わりやすい。
残念なことにアルコール脱水素酵素やアルデヒド脱水素酵素が働くと、身体は「エネルギーが大量にある」と判断して、脂肪の合成を活発にしてしまう。それだけでも問題だが、糖質の多いツマミなどを食べるとインスリンが分泌され、さらに体脂肪が増えやすくなってしまう。
つまり「締めにラーメン」は、アウト中のアウトなのである。
ツマミは焼き鳥や刺身など、糖質の少ないものを選ぼう。また酒も、焼酎やウィスキー、ブランデー、ウォッカ、ジンなどの蒸留酒を選ぶのがベストである。
アルコールの過剰摂取により、「急性アルコール筋症」を引き起こすことがある。アルコール摂取により短期的なタンパク質合成の低下や、筋力低下などが引き起こされるようだ。
アルコールは男性ホルモンを産生するライディッヒ細胞にダメージを与えたり、テストステロンの受容体を破壊したりしてしまう、という報告もある。そしてアルコールはコルチゾールの分泌を増やし、筋肉の分解を促進してしまうという問題もある。
もちろん肝臓への悪影響はよく知られたところ。加えて脱水の問題もある。酔った状態でのトレーニングが危険なのは、脱水によるものも大きい。
人間を対象にした実験で、高強度トレーニング後に「アルコールとマルトデキストリン」、「アルコールとプロテイン」、「プロテインのみ」を摂取した群に分けたところ、筋タンパク質合成率はプロテインのみの群が目立って高く、「アルコールとマルトデキストリン」の群はかなり低くなっているのだ(※1)。
「トレーニング後の一杯」は確かにうまい。だが、トレーニング効果を最大限にしようと考えるなら、せめてトレーニングがオフの日に飲むことにしよう。それでも、どうしても…というのなら、せめてホエイプロテインを飲んでほしい。(※1)の研究では、アルコールに加えてマルトデキストリン(25g)を摂った群に比べ、ホエイプロテイン(25g)を飲んだ群は、少しだけ筋タンパク質合成が高くなっている。
アルコールのダメなところばかり取り上げて、少々辟易してしまったかもしれない。最後にアルコールのメリットも書いておこう。
アルコールによってリラックスすると、人間関係がよくなると言われる。これはアルコールがGABA受容体やグリシン受容体などの抑制性の神経伝達を亢進させるからだ(※2)。また、アルコールの香りがGABA受容体に作用しているという可能性もある。
アルコールで眠くなるのも、この働きによるものである。なかなか寝つけない場合は、寝酒も一つの方法ではある。
また体重が増えにくいウォリアーの場合、アルコールの食欲増進作用も有効だ。これはアペリティフ(食前酒)効果とも呼ばれる。酔うと満腹中枢がマヒし、普段より多く食べられるようになる。またアルコールによってガストリンという消化管ホルモンが分泌され、胃液が増えて消化が促進される面もある。
またアルコールは、大脳新皮質の働きを抑える。これは脳において、理性を受け持っている箇所。つまり、理性がなくなるということ。そして大脳旧皮質、大脳辺縁系の働きが活発になり、本能や感情が出る。これが「アルコールは人間の本性を暴く」と言われるゆえんである。
自らの本性に自信のあるウォリアーならば、アルコールを怖がることはない。ただし右手にナイアシン(ビタミンSP)、左手にホエイプロテインを。