競技パフォーマンスUP

読売ジャイアンツのビジター球場での食事

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読売ジャイアンツのビジター球場での食事

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2021年2月、DNSはジャイアンツとオフィシャルニュートリションサプライヤー契約を締結した。ここでは、DNSがジャイアンツに派遣し栄養サポートを行う、公認スポーツ栄養士・斉藤裕子が、選手達の食事情やスポーツ栄養にまつわるさまざまな情報をお伝えしていく。

■ビジター時のケータリングで意識していること。

シーズンも終盤になり、いよいよラストスパートに向かっています。

最後まで選手がよいコンディションを保てるように、日々栄養面のサポートをしていますが、その中の一つがビジター球場での食事調整。今回はこのことについてお伝えします。

試合前の食事はホームゲームの場合、東京ドームホテルのケータリングですが、ビジターでは土地によってケータリングが変わりますので、それぞれの場所の特徴を生かしながらメニュー調整を実施しています。

私自身、プロ野球をサポートし始めてから一番頭を悩ませたのは、この試合前のケータリングです。なぜなら、食事時間を把握しづらいからです。

チームによって試合前練習のタイミングが変わることは、野球の特徴ではないでしょうか。他のスポーツでは、試合前の練習を2チームが同じ時間帯に行うことも多いですが、野球の場合、それはできません。

試合前の練習は、ホームチーム⇒ビジターチームの順で始まります。バッティング練習の順番によっても動きは変わりますし、先攻・後攻がありますので、ホームなのかビジターなのかによって試合前のスケジュールは異なってきます。それにより、当然、試合前のケータリングの時間も変わります。ビジターチームの場合、試合開始までに使える時間がホームチームより短くなります。そのため、ビジター時のケータリングでは、試合開始に合わせたエネルギー補給を意識し、まずは消化吸収を優先しています。

そして、当日の先発メンバーとそうでない選手、中継ぎや抑えなのかによっても、アドバイス方法は変わります。そのため、食べ始める時間を確認しながら、選手が食事内容を選べるようにフォローしています。

試合前はあまり食事を摂りたくない、という感覚を持つ選手もいるのは仕方ありません。そういった選手については、ブランチのタイミングでしっかり量を確保してもらったり、練習の合間などにおにぎり類などの補食を摂るように促しています。

特に、野手でバッティング練習の順番が最後になる選手は、練習終了後から試合開始時間までの時間が最も短くなります。そのため、すべての練習を終えてから食事を摂ろうとすると、なかなか時間が取れないことが多くなるのです。練習終了後に試合に向けた自身の準備などをしていて「食事を摂る時間がなくなった!」という事態にもなりかねません。

栄養士目線としては、時間がない中でもエネルギーは確保していただきたいのが本音です。そのためこうなった際は、麺類やおにぎりなどの素早く食べられるものを勧めたりします。

試合前にしっかり栄養補給ができなかった選手に対しては、試合中でもエネルギーを補充するようにお伝えしています。しかし試合中も、こまめに食べられるタイミングが多くあるわけではありません。そこで最近は、ゼリー飲料やエネルギーが確保できるドリンクなどを利用する選手も増えてきました。

エナジーゼリー

【1個(180g)あたり】

エネルギー:200kcal、たんぱく質:4.1g、脂質:0g、炭水化物:46g、食塩相当量:0.05g、マグネシウム:20mg、ビタミンB1:0.74mg、ビタミンB2:0.63mg、ビタミンB6:0.59mg、ビタミンB12:1.3μg、ナイアシン:5.8mg、葉酸:90μg、パントテン酸:2.0mg、アルギニン:1,200mg、シトルリン:1,200㎎

詳しい情報・ご購入はこちらから DNS Online Shop

他にも今年の夏場から、暑熱対策を考えて「アイススラリー」の導入が始まりました。アイススラリーとは、液体と細かい氷を混ぜたドリンクのこと。氷が解ける際に熱を奪う性質を利用し、体内の熱を下げるといったドリンクとなります。熱中症予防のためにも、体内の温度を下げることは重要。運動時に上がった体温を効率よく下げよう、というのが狙いです。

■疲労がたまってくる時こそ、食事を楽しみに。

また、ケータリングの内容としては、麺類と丼ものを主として、その他野菜、おかずやフルーツなどを数種入れています。例えば当日先発しない選手については、後半に来るかもしれない出場機会に備えてエネルギーを確保します。この場では、先発する選手よりも消化吸収についてはそれほど敏感にならず、栄養素のバランスを重視。たんぱく質や野菜類なども入れることで、後半しっかりエネルギーとして働かせられるようにしたい、という意図があります。

球場それぞれの特徴というべきなのか、おなじみメニュー“やこの球場はこれがおいしいというものがあり「球場のごはんに合わせて朝食の内容を考えて食べてきた」と言う選手もいます。また、普段は試合前のケータリングでそばを頼んでいる選手がルーティンで「そばお願いします!」と言った後に「違った! ここはうどんがおいしかったんだ! 明日は絶対うどんを食べよう」となることもあります。毎日毎日試合が続きますので「この球場に来たら、これを食べる!」といったことも楽しみにしてもらえたら、と思います。

またビジターでも自宅から通う際は、到着してまずケータリングを食べ、練習後にもケータリングと、一度に食べ切れない2種類を二度に分けて楽しむ選手もいます。宿泊を伴うビジターの時は、ブランチ会場でしっかり食べていたのに、球場に着いて並べられている補食類に手を伸ばす伸ばす…。「アスリートは頻回食を」とよくいいますが、しっかり実践してくれています(笑)。「これ、めっちゃおいしい」などと、選手それぞれからたびたびいただく報告を聞きながら、今後のメニュー内容の材料にもしています。

アスリートは「食べるチカラ」が重要、と前回記載しましたが、疲労がたまってくる時こそ、食事を楽しみに栄養補給を万全にして、試合に臨めるようフォローしていきたいと思います。



斉藤 裕子

斉藤 裕子 │ Hiroko Saito

管理栄養士、公認スポーツ栄養士、NSCA-CPT、教育学修士
実践女子大学卒業後、東京学芸大学大学院にて、スポーツバイオメカニクス・運動生理学を専攻。食品メーカーやスポーツアパレルメーカー所属の管理栄養士としてJリーグチームやラグビー、アメフト、自転車、ラクロス等様々なアスリートの試合帯同・栄養サポート、その他アーティストに対するライブに向けた栄養面からのサポートを経験。また、セミナーなどを通し、ジュニア世代から学生アスリートに対する選手育成を担当。2018年よりプロ野球チームに常駐し、パフォーマンスを栄養面から支える。

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2021年2月、DNSはジャイアンツとオフィシャルニュートリションサプライヤー契約を締結した。ここでは、DNSがジャイアンツに派遣し栄養サポートを行う、公認スポーツ栄養士・斉藤裕子が、選手達の食事情やスポーツ栄養にまつわるさまざまな情報をお伝えしていく。

■ビジター時のケータリングで意識していること。

シーズンも終盤になり、いよいよラストスパートに向かっています。

最後まで選手がよいコンディションを保てるように、日々栄養面のサポートをしていますが、その中の一つがビジター球場での食事調整。今回はこのことについてお伝えします。

試合前の食事はホームゲームの場合、東京ドームホテルのケータリングですが、ビジターでは土地によってケータリングが変わりますので、それぞれの場所の特徴を生かしながらメニュー調整を実施しています。

私自身、プロ野球をサポートし始めてから一番頭を悩ませたのは、この試合前のケータリングです。なぜなら、食事時間を把握しづらいからです。

チームによって試合前練習のタイミングが変わることは、野球の特徴ではないでしょうか。他のスポーツでは、試合前の練習を2チームが同じ時間帯に行うことも多いですが、野球の場合、それはできません。

試合前の練習は、ホームチーム⇒ビジターチームの順で始まります。バッティング練習の順番によっても動きは変わりますし、先攻・後攻がありますので、ホームなのかビジターなのかによって試合前のスケジュールは異なってきます。それにより、当然、試合前のケータリングの時間も変わります。ビジターチームの場合、試合開始までに使える時間がホームチームより短くなります。そのため、ビジター時のケータリングでは、試合開始に合わせたエネルギー補給を意識し、まずは消化吸収を優先しています。

そして、当日の先発メンバーとそうでない選手、中継ぎや抑えなのかによっても、アドバイス方法は変わります。そのため、食べ始める時間を確認しながら、選手が食事内容を選べるようにフォローしています。

試合前はあまり食事を摂りたくない、という感覚を持つ選手もいるのは仕方ありません。そういった選手については、ブランチのタイミングでしっかり量を確保してもらったり、練習の合間などにおにぎり類などの補食を摂るように促しています。

特に、野手でバッティング練習の順番が最後になる選手は、練習終了後から試合開始時間までの時間が最も短くなります。そのため、すべての練習を終えてから食事を摂ろうとすると、なかなか時間が取れないことが多くなるのです。練習終了後に試合に向けた自身の準備などをしていて「食事を摂る時間がなくなった!」という事態にもなりかねません。

栄養士目線としては、時間がない中でもエネルギーは確保していただきたいのが本音です。そのためこうなった際は、麺類やおにぎりなどの素早く食べられるものを勧めたりします。

試合前にしっかり栄養補給ができなかった選手に対しては、試合中でもエネルギーを補充するようにお伝えしています。しかし試合中も、こまめに食べられるタイミングが多くあるわけではありません。そこで最近は、ゼリー飲料やエネルギーが確保できるドリンクなどを利用する選手も増えてきました。

エナジーゼリー

【1個(180g)あたり】

エネルギー:200kcal、たんぱく質:4.1g、脂質:0g、炭水化物:46g、食塩相当量:0.05g、マグネシウム:20mg、ビタミンB1:0.74mg、ビタミンB2:0.63mg、ビタミンB6:0.59mg、ビタミンB12:1.3μg、ナイアシン:5.8mg、葉酸:90μg、パントテン酸:2.0mg、アルギニン:1,200mg、シトルリン:1,200㎎

詳しい情報・ご購入はこちらから DNS Online Shop

他にも今年の夏場から、暑熱対策を考えて「アイススラリー」の導入が始まりました。アイススラリーとは、液体と細かい氷を混ぜたドリンクのこと。氷が解ける際に熱を奪う性質を利用し、体内の熱を下げるといったドリンクとなります。熱中症予防のためにも、体内の温度を下げることは重要。運動時に上がった体温を効率よく下げよう、というのが狙いです。

■疲労がたまってくる時こそ、食事を楽しみに。

また、ケータリングの内容としては、麺類と丼ものを主として、その他野菜、おかずやフルーツなどを数種入れています。例えば当日先発しない選手については、後半に来るかもしれない出場機会に備えてエネルギーを確保します。この場では、先発する選手よりも消化吸収についてはそれほど敏感にならず、栄養素のバランスを重視。たんぱく質や野菜類なども入れることで、後半しっかりエネルギーとして働かせられるようにしたい、という意図があります。

球場それぞれの特徴というべきなのか、おなじみメニュー“やこの球場はこれがおいしいというものがあり「球場のごはんに合わせて朝食の内容を考えて食べてきた」と言う選手もいます。また、普段は試合前のケータリングでそばを頼んでいる選手がルーティンで「そばお願いします!」と言った後に「違った! ここはうどんがおいしかったんだ! 明日は絶対うどんを食べよう」となることもあります。毎日毎日試合が続きますので「この球場に来たら、これを食べる!」といったことも楽しみにしてもらえたら、と思います。

またビジターでも自宅から通う際は、到着してまずケータリングを食べ、練習後にもケータリングと、一度に食べ切れない2種類を二度に分けて楽しむ選手もいます。宿泊を伴うビジターの時は、ブランチ会場でしっかり食べていたのに、球場に着いて並べられている補食類に手を伸ばす伸ばす…。「アスリートは頻回食を」とよくいいますが、しっかり実践してくれています(笑)。「これ、めっちゃおいしい」などと、選手それぞれからたびたびいただく報告を聞きながら、今後のメニュー内容の材料にもしています。

アスリートは「食べるチカラ」が重要、と前回記載しましたが、疲労がたまってくる時こそ、食事を楽しみに栄養補給を万全にして、試合に臨めるようフォローしていきたいと思います。



斉藤 裕子

斉藤 裕子 │ Hiroko Saito

管理栄養士、公認スポーツ栄養士、NSCA-CPT、教育学修士
実践女子大学卒業後、東京学芸大学大学院にて、スポーツバイオメカニクス・運動生理学を専攻。食品メーカーやスポーツアパレルメーカー所属の管理栄養士としてJリーグチームやラグビー、アメフト、自転車、ラクロス等様々なアスリートの試合帯同・栄養サポート、その他アーティストに対するライブに向けた栄養面からのサポートを経験。また、セミナーなどを通し、ジュニア世代から学生アスリートに対する選手育成を担当。2018年よりプロ野球チームに常駐し、パフォーマンスを栄養面から支える。

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