健康・体力・美容UP
皆さん、こんにちは。DNS栄養士の田中です。本シリーズでは、アスリートが思いっきり競技に打ち込むために大切な「食事」にフォーカスをし、食事の基礎知識から、実際に食事を作る際のポイントを押さえた献立・レシピをご紹介していきます。頑張るアスリートを食事から応援したい、と日々奮闘されている応援隊長の皆さんにぜひご一読いただきたいページです。
食事よりも食材よりもさらに細かい栄養素。食事を構成する食材にはそれぞれに様々な栄養素が含まれています。その栄養素は大きく分けてたんぱく質、脂質、糖質(炭水化物)、ビタミン、ミネラルの5種類あります。また、生命維持の為には水分も忘れてはいけません。水分の働きについてはまた別の記事で詳しくお話していきますので、今回は水を除く5つの栄養素、それぞれの働きをご紹介します。
Ⅰ)たんぱく質
ヒトの身体は、水分と脂肪を除くとほとんどがたんぱく質からできています。特にアスリートはたんぱく質を身体作りの材料として使うため、1日に体重1kgあたり2gを目安に摂取していくことをおすすめしています。また、たんぱく質の不足は、思うように身体作りが出来ないだけでなく、集中力の低下やスポーツ貧血の原因となることもあります。普段の食事の中で意識的にたんぱく質の入っているメニューを選べると良いと思います。
【主な働き】
・筋肉、内臓、骨、皮膚、血液等の材料
・ホルモン、酵素、抗体等の材料
・エネルギー源
・必須アミノ酸(体内で合成できないアミノ酸)の供給
Ⅱ)脂質
「脂質」というと「体脂肪」が連想され、アスリートにとっては控えるべき栄養素と思われがちですが、実は身体の中で様々な働きを担っているため、適度に取り入れる必要があります。脂質の摂取量が極端に少ないアスリートは、骨膜炎や筋膜炎・肉離れなどの筋肉や膜の損傷が多いとの報告もあります。しかし、摂りすぎは肥満につながりますので適量を心掛けましょう。
【主な働き】
・細胞膜の構成成分
・エネルギー源
(糖質制限時のエネルギーとして使われるケトン体も脂質が材料です)
・ホルモンの材料
・脂溶性ビタミン(A,D,E,K)の吸収を助ける
・必須脂肪酸(体内で合成できない脂肪酸)の供給
・その他、血管の内壁を保護、内臓の位置を正常に保つ、体温調節、代謝のコントロールなど
Ⅲ)糖質(炭水化物)
糖質は摂取してから最も早くエネルギーに変わるため、即効性のあるエネルギー源として脳や身体を動かす際に利用される大切な栄養素です。すぐにエネルギーとして使われる一方、蓄えられる量に限りがあり、消費されやすいため、小まめな補給が必要となります。運動前後の補食でも意識的に摂りたい栄養素ですので、選手を送り出すときには、持たせてあげたい栄養素です。
【主な働き】
・エネルギー源
・グリコーゲンとして筋肉や肝臓に貯蔵される
Ⅳ)ビタミン
ビタミンの多くは、代謝を助ける働きをしているため、コンディション調整に欠かせない栄養素となります。また、体内ではほとんど作ることができないため、外から摂取する必要があります。
【主な働き】
・代謝を助ける
(ビタミンB群は糖質、脂質、たんぱく質からのエネルギー産生を助ける)
・他の栄養素の吸収を促進
(ビタミンCは鉄、ビタミンDはカルシウムやリンの吸収を高める など)
・骨や関節の形成に関わる
(ビタミンCはコラーゲン合成に関わり、ビタミンKはカルシウムの代謝を促し骨や歯の形成に関わる)
・抗酸化作用
(ビタミンA,C,Eは運動によるダメージから身体を守る)
Ⅴ)ミネラル
ミネラルはビタミンと同様に身体の機能の維持・調節に欠くことのできない栄養素です。ミネラルの中には、身体を作る材料となるものもあります。
【主な働き】
・代謝反応の触媒
・ホルモンの材料
・組織の構成成分
どんなにハードなトレーニングを行っても、身体が必要としている栄養素が不足していると本来期待される効果を得ることはできません。そして発揮できるはずであったパフォーマンスを発揮することもできません。そのため、これらの栄養素をバランス良く摂ることがとても重要になります。
バランスの良い食事が大事ということは多くの方が認識しつつ、実際それをどう摂ればよいのか、が難しいところではないでしょうか。 『多種多様な食事』、それが一番の近道といえます。
「コレがいい!と聞いたからコレだけ食べよう。」「アレがいいみたいだからアレをたくさん食べよう。」 という食べ方をすると一つひとつがどんなに優れたモノであってもどうしてもバランスに偏りが生じてしまいます。 いろいろな食材を、いろいろな調理法で組合せ、バリエーション豊かな食卓を目指します。
また、日常の中では栄養素で考えるよりもお皿で考えた方が考えやすいかもしれません。
〇ご飯や麺、パンのお皿(主食): 糖質を多く含む
〇メインの肉や魚,豆類,卵のお皿(主菜): たんぱく質を多く含む
〇和え物など野菜や海藻のお皿(副菜): ビタミンやミネラルを多く含む
〇汁物で野菜や海藻を具材とするお皿(副菜/汁物): ビタミンやミネラルを多く含む
〇果物のお皿 : ビタミンやミネラルを多く含む
〇牛乳やヨーグルトなどの乳製品のお皿 : ビタミンやミネラルを多く含む
これらのお皿を揃えると必然的にバランスの良い食事を組み立てることが出来ます。
さらにアスリートはメインの肉や魚,豆類,卵のお皿、野菜や海藻のお皿、このお皿を2皿ずつ揃えることで身体が必要としている栄養素を補うことができます。
【理想的な食事例】
かやくご飯、鶏つくね、さんま塩焼き、
ほうれん草のおひたし、かぼちゃ煮、豚汁、
サラダ、りんご、ヨーグルト
白飯、豚しゃぶ、鮭の塩焼き、麻婆大根、
小松菜のおひたし、なめこの味噌汁、サラダ、
グレープフルーツ、ヨーグルト
先にも書きましたが、多種多様な食事を心掛けることでアスリートの身体が必要とする栄養素を満遍なく補えますので、是非いろいろな食材を使って、いろいろな調理法のお料理で選手の身体作り、パフォーマンス最大化を応援していただけたらと思います。
栄養士
東京農業大学卒業。2017年株式会社ドーム入社後、サプリメント事業部、ドームアスリートハウスを経て、2020年より株式会社DNS OMO Div兼マーケティングDivに所属。アスリートや健康の保持・増進を目指す方への食事指導のほか、自社ブランドサイトにて、チーム帯同レポートや食事コンテンツに関わる記事執筆を行う。チームサポートではいわきFCを担当。自身も5歳から少林寺拳法に打ち込む現役アスリート。一児の母として、子育てにも奮闘中。
皆さん、こんにちは。DNS栄養士の田中です。本シリーズでは、アスリートが思いっきり競技に打ち込むために大切な「食事」にフォーカスをし、食事の基礎知識から、実際に食事を作る際のポイントを押さえた献立・レシピをご紹介していきます。頑張るアスリートを食事から応援したい、と日々奮闘されている応援隊長の皆さんにぜひご一読いただきたいページです。
食事よりも食材よりもさらに細かい栄養素。食事を構成する食材にはそれぞれに様々な栄養素が含まれています。その栄養素は大きく分けてたんぱく質、脂質、糖質(炭水化物)、ビタミン、ミネラルの5種類あります。また、生命維持の為には水分も忘れてはいけません。水分の働きについてはまた別の記事で詳しくお話していきますので、今回は水を除く5つの栄養素、それぞれの働きをご紹介します。
Ⅰ)たんぱく質
ヒトの身体は、水分と脂肪を除くとほとんどがたんぱく質からできています。特にアスリートはたんぱく質を身体作りの材料として使うため、1日に体重1kgあたり2gを目安に摂取していくことをおすすめしています。また、たんぱく質の不足は、思うように身体作りが出来ないだけでなく、集中力の低下やスポーツ貧血の原因となることもあります。普段の食事の中で意識的にたんぱく質の入っているメニューを選べると良いと思います。
【主な働き】
・筋肉、内臓、骨、皮膚、血液等の材料
・ホルモン、酵素、抗体等の材料
・エネルギー源
・必須アミノ酸(体内で合成できないアミノ酸)の供給
Ⅱ)脂質
「脂質」というと「体脂肪」が連想され、アスリートにとっては控えるべき栄養素と思われがちですが、実は身体の中で様々な働きを担っているため、適度に取り入れる必要があります。脂質の摂取量が極端に少ないアスリートは、骨膜炎や筋膜炎・肉離れなどの筋肉や膜の損傷が多いとの報告もあります。しかし、摂りすぎは肥満につながりますので適量を心掛けましょう。
【主な働き】
・細胞膜の構成成分
・エネルギー源
(糖質制限時のエネルギーとして使われるケトン体も脂質が材料です)
・ホルモンの材料
・脂溶性ビタミン(A,D,E,K)の吸収を助ける
・必須脂肪酸(体内で合成できない脂肪酸)の供給
・その他、血管の内壁を保護、内臓の位置を正常に保つ、体温調節、代謝のコントロールなど
Ⅲ)糖質(炭水化物)
糖質は摂取してから最も早くエネルギーに変わるため、即効性のあるエネルギー源として脳や身体を動かす際に利用される大切な栄養素です。すぐにエネルギーとして使われる一方、蓄えられる量に限りがあり、消費されやすいため、小まめな補給が必要となります。運動前後の補食でも意識的に摂りたい栄養素ですので、選手を送り出すときには、持たせてあげたい栄養素です。
【主な働き】
・エネルギー源
・グリコーゲンとして筋肉や肝臓に貯蔵される
Ⅳ)ビタミン
ビタミンの多くは、代謝を助ける働きをしているため、コンディション調整に欠かせない栄養素となります。また、体内ではほとんど作ることができないため、外から摂取する必要があります。
【主な働き】
・代謝を助ける
(ビタミンB群は糖質、脂質、たんぱく質からのエネルギー産生を助ける)
・他の栄養素の吸収を促進
(ビタミンCは鉄、ビタミンDはカルシウムやリンの吸収を高める など)
・骨や関節の形成に関わる
(ビタミンCはコラーゲン合成に関わり、ビタミンKはカルシウムの代謝を促し骨や歯の形成に関わる)
・抗酸化作用
(ビタミンA,C,Eは運動によるダメージから身体を守る)
Ⅴ)ミネラル
ミネラルはビタミンと同様に身体の機能の維持・調節に欠くことのできない栄養素です。ミネラルの中には、身体を作る材料となるものもあります。
【主な働き】
・代謝反応の触媒
・ホルモンの材料
・組織の構成成分
どんなにハードなトレーニングを行っても、身体が必要としている栄養素が不足していると本来期待される効果を得ることはできません。そして発揮できるはずであったパフォーマンスを発揮することもできません。そのため、これらの栄養素をバランス良く摂ることがとても重要になります。
バランスの良い食事が大事ということは多くの方が認識しつつ、実際それをどう摂ればよいのか、が難しいところではないでしょうか。 『多種多様な食事』、それが一番の近道といえます。
「コレがいい!と聞いたからコレだけ食べよう。」「アレがいいみたいだからアレをたくさん食べよう。」 という食べ方をすると一つひとつがどんなに優れたモノであってもどうしてもバランスに偏りが生じてしまいます。 いろいろな食材を、いろいろな調理法で組合せ、バリエーション豊かな食卓を目指します。
また、日常の中では栄養素で考えるよりもお皿で考えた方が考えやすいかもしれません。
〇ご飯や麺、パンのお皿(主食): 糖質を多く含む
〇メインの肉や魚,豆類,卵のお皿(主菜): たんぱく質を多く含む
〇和え物など野菜や海藻のお皿(副菜): ビタミンやミネラルを多く含む
〇汁物で野菜や海藻を具材とするお皿(副菜/汁物): ビタミンやミネラルを多く含む
〇果物のお皿 : ビタミンやミネラルを多く含む
〇牛乳やヨーグルトなどの乳製品のお皿 : ビタミンやミネラルを多く含む
これらのお皿を揃えると必然的にバランスの良い食事を組み立てることが出来ます。
さらにアスリートはメインの肉や魚,豆類,卵のお皿、野菜や海藻のお皿、このお皿を2皿ずつ揃えることで身体が必要としている栄養素を補うことができます。
【理想的な食事例】
かやくご飯、鶏つくね、さんま塩焼き、
ほうれん草のおひたし、かぼちゃ煮、豚汁、
サラダ、りんご、ヨーグルト
白飯、豚しゃぶ、鮭の塩焼き、麻婆大根、
小松菜のおひたし、なめこの味噌汁、サラダ、
グレープフルーツ、ヨーグルト
先にも書きましたが、多種多様な食事を心掛けることでアスリートの身体が必要とする栄養素を満遍なく補えますので、是非いろいろな食材を使って、いろいろな調理法のお料理で選手の身体作り、パフォーマンス最大化を応援していただけたらと思います。
栄養士
東京農業大学卒業。2017年株式会社ドーム入社後、サプリメント事業部、ドームアスリートハウスを経て、2020年より株式会社DNS OMO Div兼マーケティングDivに所属。アスリートや健康の保持・増進を目指す方への食事指導のほか、自社ブランドサイトにて、チーム帯同レポートや食事コンテンツに関わる記事執筆を行う。チームサポートではいわきFCを担当。自身も5歳から少林寺拳法に打ち込む現役アスリート。一児の母として、子育てにも奮闘中。