競技パフォーマンスUP

読売ジャイアンツ夏場の体重管理

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読売ジャイアンツ夏場の体重管理

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2021年2月、DNSはジャイアンツとオフィシャルニュートリションサプライヤー契約を締結した。ここでは、DNSがジャイアンツに派遣し栄養サポートを行う、公認スポーツ栄養士・斉藤裕子が、選手達の食事情やスポーツ栄養にまつわるさまざまな情報をお伝えしていく。

■体重の変動によって選手のコンディションを確認。

暑い日が続き、夏バテ気味の方もいらっしゃるのではないでしょうか。暑いと食欲が低下し、冷たいものばかり食べ続ける…一向に夏バテは解消されず体重は減少…なんて方もいらっしゃるかもしれません。

夏バテは、自律神経の乱れや睡眠不足などによって引き起こされるわけですが、体調の変化を見るには、食欲や体重の変動を見ることも一つの手段です。

チームに帯同している間、選手の日々のコンディションを確認する目安の一つに体重、体脂肪率があります。スポーツ栄養士の主な仕事は食事のサポートですが、日ごろの食事状況と合わせて、体重の変動によって選手のコンディションを確認しているのです。

体組成計は、東京ドーム、ジャイアンツ球場、ジャイアンツ寮にそれぞれ置いてあり、朝に来た時や起床後のタイミングで体重、体脂肪率を計測します。計測のタイミングは、体重であれば可能な限り毎日、体脂肪率は1カードに1回計測を促し、変動を確認しています。

朝イチの測定ができる寮生以外は、朝食やその前に食べた食べ物の影響も多く関係しますので、なるべく頻繁に測定を促し、長い目で見て数値がどう変動しているかを確認しています。

また定期的に体重を測定し、それぞれの選手のベストの体重がどの程度なのかを把握したり、前日の食事量や水分量が十分だったかを確認するための指標としています。特に試合に出続けた場合、翌日に体重が落ちてしまう選手もいますので、この数値をもとに、翌日の栄養補給を促すきっかけにしたりもします。

プロ野球は毎日のように試合があるので、リカバリーを重要視しているのは以前に書いた通り。これと合わせて、体調確認の一つの要素としてこの数値を利用しています。

またチームとして、除脂肪体重を低下させないことがテーマでもあります。そのため、体組成計から得られた除脂肪体重を確認するようにしています。この除脂肪体重に低下傾向が見られる選手がいた場合、まずS&Cコーチに相談。S&Cコーチが定期的に計測しているスピードやパワーの数値から、現在の低下が問題ないのか、少し問題ありなのか、などを相談し、今後の対策を立てていきます。筋肉はアスリートの身体を支えるものでもあるので、いくら練習を重ねて技術を磨こうとしても、筋肉が減っていては、なかなかパフォーマンスの向上に結びつかなくなってしまいます。

■理想は3時間おきの栄養補給。

特に暑くなる時期は、食べているつもりでもどうしても体重が減ってしまうことがあります。

体重が減りやすい選手とは「この体重を下回らないように」というデッドラインを決めていて、日々確認をしています。朝、球場に来たタイミングで「今日の体重は何kgだった?」というやりとりをしながら、少しでもデッドラインを下回ろうものなら、その日の中でプラスで行うことを伝えたり、その場で栄養補給を促したりしています。

毎回体重を確認していると、選手から「体重が減ってきていた!」といった報告があったり、遠征で体重が測定できていない場合でも「体重が減っているような気がする」といった声が寄せられます。日ごろ、自身の体重確認ができているからこその発言です。「減っていたからもう少し量やタイミングを考えよう」と考えられるので、この数値を確認する習慣は、とても重要だと感じています。

理想的な方法として私が選手にお伝えするのは、3時間おきの栄養補給です。といっても、毎日練習・試合を行うスケジュールでは、この通りに補給できないことの方が多いので、まずは3時間を意識し、その上で練習の合間のタイミングなどを見計らって補食を促しています。

■アミノ酸バランスのいい卵で、朝のたんぱく質を確保。

また「体重が減りやすい」と訴えてくる選手ほど、朝食の量が少なくなる傾向にあります。デーゲームの朝食会場やナイターゲームのブランチ会場では、ここに重点を置いて説明することもあります。

私自身、卵と魚を促すことが多くありますが、朝食などで増えているのが「目玉焼き3個オーダー」。ホテルでは可能な限り、選手が来てその場で好きな卵料理をオーダーできるようにしていただいています。そうすると皆、1個ではなく2個、3個と卵を増やすようになり今では2個や3個が当たり前になっています。

この目玉焼き一つ取っても、卵1個で何もつけない派、卵3個の醤油両面焼き派など、選手によってオーダーが異なり、個数だけでなく、醤油・塩・こしょう・ケチャップ派から、やわらかめ、よく焼き派とさまざま。卵の食べ方を見ているだけでも面白いです。

卵はアミノ酸バランスがよく、たんぱく質を朝に摂ることは体重低下を防ぐために必要。そのため1個当たりのたんぱく質量などを説明しながら、なかなか摂りづらい朝のたんぱく質を確保するようにしています。

いかに体重を落とさないようにするか。その中では選手の食べる意欲も大事になります。選手の喫食の状況を見つつ、その点を刺激できるような対策を今後も行っていきたいと思います。

⇒読売ジャイアンツの選手が使用している商品はこちら



斉藤 裕子

斉藤 裕子 │ Hiroko Saito

管理栄養士、公認スポーツ栄養士、NSCA-CPT、教育学修士
実践女子大学卒業後、東京学芸大学大学院にて、スポーツバイオメカニクス・運動生理学を専攻。食品メーカーやスポーツアパレルメーカー所属の管理栄養士としてJリーグチームやラグビー、アメフト、自転車、ラクロス等様々なアスリートの試合帯同・栄養サポート、その他アーティストに対するライブに向けた栄養面からのサポートを経験。また、セミナーなどを通し、ジュニア世代から学生アスリートに対する選手育成を担当。2018年よりプロ野球チームに常駐し、パフォーマンスを栄養面から支える。

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2021年2月、DNSはジャイアンツとオフィシャルニュートリションサプライヤー契約を締結した。ここでは、DNSがジャイアンツに派遣し栄養サポートを行う、公認スポーツ栄養士・斉藤裕子が、選手達の食事情やスポーツ栄養にまつわるさまざまな情報をお伝えしていく。

■体重の変動によって選手のコンディションを確認。

暑い日が続き、夏バテ気味の方もいらっしゃるのではないでしょうか。暑いと食欲が低下し、冷たいものばかり食べ続ける…一向に夏バテは解消されず体重は減少…なんて方もいらっしゃるかもしれません。

夏バテは、自律神経の乱れや睡眠不足などによって引き起こされるわけですが、体調の変化を見るには、食欲や体重の変動を見ることも一つの手段です。

チームに帯同している間、選手の日々のコンディションを確認する目安の一つに体重、体脂肪率があります。スポーツ栄養士の主な仕事は食事のサポートですが、日ごろの食事状況と合わせて、体重の変動によって選手のコンディションを確認しているのです。

体組成計は、東京ドーム、ジャイアンツ球場、ジャイアンツ寮にそれぞれ置いてあり、朝に来た時や起床後のタイミングで体重、体脂肪率を計測します。計測のタイミングは、体重であれば可能な限り毎日、体脂肪率は1カードに1回計測を促し、変動を確認しています。

朝イチの測定ができる寮生以外は、朝食やその前に食べた食べ物の影響も多く関係しますので、なるべく頻繁に測定を促し、長い目で見て数値がどう変動しているかを確認しています。

また定期的に体重を測定し、それぞれの選手のベストの体重がどの程度なのかを把握したり、前日の食事量や水分量が十分だったかを確認するための指標としています。特に試合に出続けた場合、翌日に体重が落ちてしまう選手もいますので、この数値をもとに、翌日の栄養補給を促すきっかけにしたりもします。

プロ野球は毎日のように試合があるので、リカバリーを重要視しているのは以前に書いた通り。これと合わせて、体調確認の一つの要素としてこの数値を利用しています。

またチームとして、除脂肪体重を低下させないことがテーマでもあります。そのため、体組成計から得られた除脂肪体重を確認するようにしています。この除脂肪体重に低下傾向が見られる選手がいた場合、まずS&Cコーチに相談。S&Cコーチが定期的に計測しているスピードやパワーの数値から、現在の低下が問題ないのか、少し問題ありなのか、などを相談し、今後の対策を立てていきます。筋肉はアスリートの身体を支えるものでもあるので、いくら練習を重ねて技術を磨こうとしても、筋肉が減っていては、なかなかパフォーマンスの向上に結びつかなくなってしまいます。

■理想は3時間おきの栄養補給。

特に暑くなる時期は、食べているつもりでもどうしても体重が減ってしまうことがあります。

体重が減りやすい選手とは「この体重を下回らないように」というデッドラインを決めていて、日々確認をしています。朝、球場に来たタイミングで「今日の体重は何kgだった?」というやりとりをしながら、少しでもデッドラインを下回ろうものなら、その日の中でプラスで行うことを伝えたり、その場で栄養補給を促したりしています。

毎回体重を確認していると、選手から「体重が減ってきていた!」といった報告があったり、遠征で体重が測定できていない場合でも「体重が減っているような気がする」といった声が寄せられます。日ごろ、自身の体重確認ができているからこその発言です。「減っていたからもう少し量やタイミングを考えよう」と考えられるので、この数値を確認する習慣は、とても重要だと感じています。

理想的な方法として私が選手にお伝えするのは、3時間おきの栄養補給です。といっても、毎日練習・試合を行うスケジュールでは、この通りに補給できないことの方が多いので、まずは3時間を意識し、その上で練習の合間のタイミングなどを見計らって補食を促しています。

■アミノ酸バランスのいい卵で、朝のたんぱく質を確保。

また「体重が減りやすい」と訴えてくる選手ほど、朝食の量が少なくなる傾向にあります。デーゲームの朝食会場やナイターゲームのブランチ会場では、ここに重点を置いて説明することもあります。

私自身、卵と魚を促すことが多くありますが、朝食などで増えているのが「目玉焼き3個オーダー」。ホテルでは可能な限り、選手が来てその場で好きな卵料理をオーダーできるようにしていただいています。そうすると皆、1個ではなく2個、3個と卵を増やすようになり今では2個や3個が当たり前になっています。

この目玉焼き一つ取っても、卵1個で何もつけない派、卵3個の醤油両面焼き派など、選手によってオーダーが異なり、個数だけでなく、醤油・塩・こしょう・ケチャップ派から、やわらかめ、よく焼き派とさまざま。卵の食べ方を見ているだけでも面白いです。

卵はアミノ酸バランスがよく、たんぱく質を朝に摂ることは体重低下を防ぐために必要。そのため1個当たりのたんぱく質量などを説明しながら、なかなか摂りづらい朝のたんぱく質を確保するようにしています。

いかに体重を落とさないようにするか。その中では選手の食べる意欲も大事になります。選手の喫食の状況を見つつ、その点を刺激できるような対策を今後も行っていきたいと思います。

⇒読売ジャイアンツの選手が使用している商品はこちら



斉藤 裕子

斉藤 裕子 │ Hiroko Saito

管理栄養士、公認スポーツ栄養士、NSCA-CPT、教育学修士
実践女子大学卒業後、東京学芸大学大学院にて、スポーツバイオメカニクス・運動生理学を専攻。食品メーカーやスポーツアパレルメーカー所属の管理栄養士としてJリーグチームやラグビー、アメフト、自転車、ラクロス等様々なアスリートの試合帯同・栄養サポート、その他アーティストに対するライブに向けた栄養面からのサポートを経験。また、セミナーなどを通し、ジュニア世代から学生アスリートに対する選手育成を担当。2018年よりプロ野球チームに常駐し、パフォーマンスを栄養面から支える。

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