競技パフォーマンスUP
目的:最大使用重量を知り、さらにそれを伸ばしていく
メリット:筋力の増強と、そのための方法を知ることができる
「何㎏挙がりますか?」
そうたずねられた経験は、誰にでもあるだろう。この時、多くのトレーニーは、スクワットでもデッドリフトでもなく、ベンチプレスの重量を答えるはずだ。また、セットで扱う重量ではなく「イッパツ」が挙がる重量を答えるはずだ。しかも、少し盛って。
トレーニングをはじめたばかりのころは、ギリギリ1回が挙がる重量に何度もチャレンジしたことがあるはずだ。MAXに挑戦するのは面白いし、筋力の伸びを実感できる。
しかし、筋力アップや筋肥大を効果的に行うためのトレーニングとして、MAXへの挑戦は適切とはいえない。そのため、普段のトレーニングでは6~10回でセットを組んでいるウォリアーが大半だろう。だいたい80~85%×1RMといったところではないか。
しかしその重量に慣れていると、100%×1RMに近い重量には適応できず、計算上イッパツが挙がるはずの重量が挙がらないことが多い。
重量に適応できないのは、神経系の問題だ。
具体的には、神経伝達を行う物質が十分に放出されず、脳から筋肉への指令がスムーズに行き届かない、ということである。
脳から筋肉に「収縮しろ!」と命令が行く時、電気信号が神経を伝わっていく。ただしそれは1回だけではなく、何度も何度も電気刺激が伝わることで、筋肉が収縮する。この電気刺激の頻度が高いほど、筋肉は強く収縮する。
この時に面白い現象がある。電気刺激の頻度が高くなると神経伝達物質の放出量が増え、その状態が長く続く。これを「テタヌス刺激後増強」と呼ぶ。
また高強度の筋収縮が起こると、筋肉がカルシウムイオンに反応しやすくなり、収縮力が一時的に高まる。これをPAP (Postactivation potentiation: 活動後増強)と呼ぶ。
重い重量のセットを行うと、次のセットで軽いウェイトを持ったときに、普通より軽く感じることがある。
これをトレーニングに応用してみよう。ベンチプレスのメインセットを100kgで行う場合、その前に110kgで1回だけ挙げておく。1回だけならば、筋肉の疲れは少ない。そして2~3分休んでから、100kgでのメインセットを行ってみよう。いつもより軽く感じられて、普段より多くのレップスができるはずだ。
また「ラックアップ」という方法もある。
この例で言うと、メインセットの前に120kgにバーベルをセットして「ラックから外す」。つまりバーをラックから外してスタートポジションまで持ってきたら、すぐにラックに戻すのである。これを1~2回だけ行う。そしてやはり2~3分休み、100kgでのメインセットにトライする。ラックアップした時、普段より軽く感じられて、多くのレップスをこなせるはずだ。
ここでのポイントは、「メインセットに入る前に、できるだけ筋肉を疲れさせないこと」である。
ではイッパツを狙う場合、どのようなアップをしていけばいいのか。ベンチプレス100kgにチャレンジする初~中級者の場合、次のように行おう。
1. 40kg/12回
2. 70kg/3回
3. 90kg/1回
4. 100kgにチャレンジ
最初の40kgでは全体的なウォームアップとして血流増進や筋温上昇を狙い、軽い重量で多めの回数を行う。次の70kgと90kgで神経系をアップさせ、本番の100kgに備えていく。
次に140kgにチャレンジする中~上級者の場合は、このように行う。
1. 60kg/15回
2. 100kg/3回
3. 130kg/1回
4. 150kgでラックアップ 1~2回
5. 140kgにチャレンジ
なおPAPの効力は意外に長く続き「7分のインターバルが最も効果的だった」とする報告もある。
アップではできるだけ疲れさせずに少なめのレップス、インターバルは長めに。これを念頭においてMAXにチャレンジすれば、いい結果を得られるはずだ。
目的:最大使用重量を知り、さらにそれを伸ばしていく
メリット:筋力の増強と、そのための方法を知ることができる
「何㎏挙がりますか?」
そうたずねられた経験は、誰にでもあるだろう。この時、多くのトレーニーは、スクワットでもデッドリフトでもなく、ベンチプレスの重量を答えるはずだ。また、セットで扱う重量ではなく「イッパツ」が挙がる重量を答えるはずだ。しかも、少し盛って。
トレーニングをはじめたばかりのころは、ギリギリ1回が挙がる重量に何度もチャレンジしたことがあるはずだ。MAXに挑戦するのは面白いし、筋力の伸びを実感できる。
しかし、筋力アップや筋肥大を効果的に行うためのトレーニングとして、MAXへの挑戦は適切とはいえない。そのため、普段のトレーニングでは6~10回でセットを組んでいるウォリアーが大半だろう。だいたい80~85%×1RMといったところではないか。
しかしその重量に慣れていると、100%×1RMに近い重量には適応できず、計算上イッパツが挙がるはずの重量が挙がらないことが多い。
重量に適応できないのは、神経系の問題だ。
具体的には、神経伝達を行う物質が十分に放出されず、脳から筋肉への指令がスムーズに行き届かない、ということである。
脳から筋肉に「収縮しろ!」と命令が行く時、電気信号が神経を伝わっていく。ただしそれは1回だけではなく、何度も何度も電気刺激が伝わることで、筋肉が収縮する。この電気刺激の頻度が高いほど、筋肉は強く収縮する。
この時に面白い現象がある。電気刺激の頻度が高くなると神経伝達物質の放出量が増え、その状態が長く続く。これを「テタヌス刺激後増強」と呼ぶ。
また高強度の筋収縮が起こると、筋肉がカルシウムイオンに反応しやすくなり、収縮力が一時的に高まる。これをPAP (Postactivation potentiation: 活動後増強)と呼ぶ。
重い重量のセットを行うと、次のセットで軽いウェイトを持ったときに、普通より軽く感じることがある。
これをトレーニングに応用してみよう。ベンチプレスのメインセットを100kgで行う場合、その前に110kgで1回だけ挙げておく。1回だけならば、筋肉の疲れは少ない。そして2~3分休んでから、100kgでのメインセットを行ってみよう。いつもより軽く感じられて、普段より多くのレップスができるはずだ。
また「ラックアップ」という方法もある。
この例で言うと、メインセットの前に120kgにバーベルをセットして「ラックから外す」。つまりバーをラックから外してスタートポジションまで持ってきたら、すぐにラックに戻すのである。これを1~2回だけ行う。そしてやはり2~3分休み、100kgでのメインセットにトライする。ラックアップした時、普段より軽く感じられて、多くのレップスをこなせるはずだ。
ここでのポイントは、「メインセットに入る前に、できるだけ筋肉を疲れさせないこと」である。
ではイッパツを狙う場合、どのようなアップをしていけばいいのか。ベンチプレス100kgにチャレンジする初~中級者の場合、次のように行おう。
1. 40kg/12回
2. 70kg/3回
3. 90kg/1回
4. 100kgにチャレンジ
最初の40kgでは全体的なウォームアップとして血流増進や筋温上昇を狙い、軽い重量で多めの回数を行う。次の70kgと90kgで神経系をアップさせ、本番の100kgに備えていく。
次に140kgにチャレンジする中~上級者の場合は、このように行う。
1. 60kg/15回
2. 100kg/3回
3. 130kg/1回
4. 150kgでラックアップ 1~2回
5. 140kgにチャレンジ
なおPAPの効力は意外に長く続き「7分のインターバルが最も効果的だった」とする報告もある。
アップではできるだけ疲れさせずに少なめのレップス、インターバルは長めに。これを念頭においてMAXにチャレンジすれば、いい結果を得られるはずだ。