体重・筋量UP
HMB(β-hydroxy-β-methylbutyrate)は、アミノ酸のロイシンから派生した物質である。ロイシンは体内でKIC(αケトイソカプロン酸)となり、KICがHMBになる。20gのロイシンを摂取すると体内で3gのKICになり、さらにそれが1gのHMBに変換されると言われている。
HMBはHMB-CoAとなり、さらにHMG-CoAとなる。HMG-CoAはメバロン酸回路に入ってコレステロール合成に向かったり、アセチルCoAとなってエネルギー合成に向かったりする。
筋肉が増える時は、筋肉のタンパク質合成が高まる。この時は、タンパク質合成酵素が活性化しており、タンパク質合成酵素を活性化させるシグナル伝達経路を「mTOR」と呼ぶ。インスリンやテストステロン、成長ホルモンなどはすべて身体を大きくする方向に働くが、これらのホルモンはmTORを活性化することによって、その作用を発揮しているのである。
実はHMBにもmTORを活性化させる働きがある(※1, ※2, ※3, ※4)。つまりこれらのホルモンとは関係なく、筋肉を増やすことができるわけだ。
またHMBには筋肉の分解を抑える作用もある。タンパク質を合成する時は、すべてが完璧に行われるわけではない。時々、不良品のタンパク質ができてしまうことがある。特に感染症や癌などの病気にかかっていると、そうなることが多い。
このような不良タンパクを分解する経路が体内に備わっている。それを「ユビキチン・プロテアソーム系」と呼ぶ。
トレーニングを休むと、筋肉は減ってしまう。これは身体が「もう筋肉は必要ない」と判断し、分解してしまうからだ。この時にも、ユビキチン・プロテアソーム系が働いている。またトレーニングで増やした筋肉は、生命維持にはそれほど必要がない。タンパク質は重要な栄養素であり、酵素や神経伝達物質、ホルモン、内臓、骨などさまざまなところで必要とされる。
残念ながら生命維持において、筋肉の重要性は下のランクになってしまう。そのため、タンパク質を筋肉以外のところに使わせようとする「骨格筋形成抑制因子」がある。その名を「ミオスタチン(マイオスタチン)」と呼ぶ。
つまりユビキチン・プロテアソーム系やミオスタチンが筋肉を分解してしまうわけだが、HMBはこの両者の働きを抑えてくれる(※5, ※6, ※7, ※8, ※9, ※10, ※11, ※12)。HMBはmTORを活性化して筋肉を増やし、筋肉の分解を抑えることによっても筋肉を増やしてくれる、ということになる。
ここまで読んだ皆さんは、HMBを摂りたくてたまらなくなっているに違いない。ただし、摂取方法を間違えては台無しだ。
まずはタンパク質をしっかり摂取しておくこと。HMBは十全な栄養があってこそ、効果が得られる。タンパク質が足りない状態でHMBを飲むことは、お金をドブに捨てるようなものだ。
「HMBはプロテインより効果がある」などと言っている広告も見られるが、決してそんなことはない。プロテインの十分な摂取があってこそ、HMBの効果は期待できる。
またHMBにはカルシウムと結合した「HMBカルシウム」と、遊離体の「HMB-FA」がある。血中濃度の上昇の速さなどからHMB-FAの効果を喧伝する記事も多く見られるが、そもそもHMBに関するほとんどの研究はHMBカルシウムを使って行われたものだ。HMB-FAは高価でもあり、現時点ではHMBカルシウムとHMB-FAに効果の差はないと考えられている。
またHMB-FAを使って行われた研究は、HMB-FAを取り扱う会社がスポンサーになっており「トレーニング経験者が3ヵ月の摂取で筋肉量を7kgも増やした」などという、にわかには信じがたい結果が出ているという事情も、知っておくといいだろう。
なおHMBカルシウムは8割程度がHMBであり、残りはカルシウムだ。スポーツ栄養学の世界で示されているHMBの有効量はすなわちHMBカルシウムのことであり、1.5~3.0gと言われている。純粋なHMBとしては、1.2~2.4gが有効量であるため、HMBサプリメントはこのあたりの数字を考慮したうえで設計されている。
HMBは半減期が2時間半ほどであり(※13)、筋タンパク質の合成を高めたり、筋分解を抑えたりする効果を発揮するためには、できるだけ血中濃度が安定するよう、小分けにして摂取したい。具体的には1回1.5gのHMBを、1日2回に分け、合計3.0gを摂取するといいだろう。
今注目を集めている「HMB」の効果をぜひ実感してほしい。
HMB(β-hydroxy-β-methylbutyrate)は、アミノ酸のロイシンから派生した物質である。ロイシンは体内でKIC(αケトイソカプロン酸)となり、KICがHMBになる。20gのロイシンを摂取すると体内で3gのKICになり、さらにそれが1gのHMBに変換されると言われている。
HMBはHMB-CoAとなり、さらにHMG-CoAとなる。HMG-CoAはメバロン酸回路に入ってコレステロール合成に向かったり、アセチルCoAとなってエネルギー合成に向かったりする。
筋肉が増える時は、筋肉のタンパク質合成が高まる。この時は、タンパク質合成酵素が活性化しており、タンパク質合成酵素を活性化させるシグナル伝達経路を「mTOR」と呼ぶ。インスリンやテストステロン、成長ホルモンなどはすべて身体を大きくする方向に働くが、これらのホルモンはmTORを活性化することによって、その作用を発揮しているのである。
実はHMBにもmTORを活性化させる働きがある(※1, ※2, ※3, ※4)。つまりこれらのホルモンとは関係なく、筋肉を増やすことができるわけだ。
またHMBには筋肉の分解を抑える作用もある。タンパク質を合成する時は、すべてが完璧に行われるわけではない。時々、不良品のタンパク質ができてしまうことがある。特に感染症や癌などの病気にかかっていると、そうなることが多い。
このような不良タンパクを分解する経路が体内に備わっている。それを「ユビキチン・プロテアソーム系」と呼ぶ。
トレーニングを休むと、筋肉は減ってしまう。これは身体が「もう筋肉は必要ない」と判断し、分解してしまうからだ。この時にも、ユビキチン・プロテアソーム系が働いている。またトレーニングで増やした筋肉は、生命維持にはそれほど必要がない。タンパク質は重要な栄養素であり、酵素や神経伝達物質、ホルモン、内臓、骨などさまざまなところで必要とされる。
残念ながら生命維持において、筋肉の重要性は下のランクになってしまう。そのため、タンパク質を筋肉以外のところに使わせようとする「骨格筋形成抑制因子」がある。その名を「ミオスタチン(マイオスタチン)」と呼ぶ。
つまりユビキチン・プロテアソーム系やミオスタチンが筋肉を分解してしまうわけだが、HMBはこの両者の働きを抑えてくれる(※5, ※6, ※7, ※8, ※9, ※10, ※11, ※12)。HMBはmTORを活性化して筋肉を増やし、筋肉の分解を抑えることによっても筋肉を増やしてくれる、ということになる。
ここまで読んだ皆さんは、HMBを摂りたくてたまらなくなっているに違いない。ただし、摂取方法を間違えては台無しだ。
まずはタンパク質をしっかり摂取しておくこと。HMBは十全な栄養があってこそ、効果が得られる。タンパク質が足りない状態でHMBを飲むことは、お金をドブに捨てるようなものだ。
「HMBはプロテインより効果がある」などと言っている広告も見られるが、決してそんなことはない。プロテインの十分な摂取があってこそ、HMBの効果は期待できる。
またHMBにはカルシウムと結合した「HMBカルシウム」と、遊離体の「HMB-FA」がある。血中濃度の上昇の速さなどからHMB-FAの効果を喧伝する記事も多く見られるが、そもそもHMBに関するほとんどの研究はHMBカルシウムを使って行われたものだ。HMB-FAは高価でもあり、現時点ではHMBカルシウムとHMB-FAに効果の差はないと考えられている。
またHMB-FAを使って行われた研究は、HMB-FAを取り扱う会社がスポンサーになっており「トレーニング経験者が3ヵ月の摂取で筋肉量を7kgも増やした」などという、にわかには信じがたい結果が出ているという事情も、知っておくといいだろう。
なおHMBカルシウムは8割程度がHMBであり、残りはカルシウムだ。スポーツ栄養学の世界で示されているHMBの有効量はすなわちHMBカルシウムのことであり、1.5~3.0gと言われている。純粋なHMBとしては、1.2~2.4gが有効量であるため、HMBサプリメントはこのあたりの数字を考慮したうえで設計されている。
HMBは半減期が2時間半ほどであり(※13)、筋タンパク質の合成を高めたり、筋分解を抑えたりする効果を発揮するためには、できるだけ血中濃度が安定するよう、小分けにして摂取したい。具体的には1回1.5gのHMBを、1日2回に分け、合計3.0gを摂取するといいだろう。
今注目を集めている「HMB」の効果をぜひ実感してほしい。