健康・体力・美容UP

脂肪の力で身体を護れ!ー前編ー

脂肪の力で身体を護れ!ー前編ー

DESIRE TO EVOLUTION

健康・体力・美容UP

脂肪の力で身体を護れ!ー前編ー

脂肪の力で身体を護れ!ー前編ー

たんぱく質は筋肉になり、炭水化物はエネルギーになる。ここまではウォリアーの常識だろう。だが脂肪については、エネルギーになる以外の働きについて、あまり詳しくは知られていないようだ。

 

■脂肪にはさまざまな働きがある

 

脂肪はエネルギーになるだけでなく、細胞膜などを含めた身体の重要な構成物質にもなる。細胞の表面にある膜は細胞膜と呼ばれ、これは必要な物質を細胞の中に入れ、不必要な物質は入れないようにするという、非常に重要な役割を果たしている。

 

細胞膜を構成する重要な物質の代表がリン脂質やコレステロールであり、これらを作るために脂肪が材料となるのである。

 

また脂肪はホルモンの材料にもなる。副腎皮質ホルモンや男性ホルモン、女性ホルモンなどは、コレステロールから作られる。実際に脂肪の摂取量が減ってコレステロールの数値が低くなると、男性ホルモンや女性ホルモンのレベルが下がることが知られている。

他にもビタミンAやDなどの脂溶性ビタミンの吸収を助けたり、血管の内壁を保護したり、内臓の位置を正常に保ったりする働きもある。

 

■脂肪はエイコサノイドの材料に

体温や血圧、血糖値などは、常にある一定の幅に収まるようになっており、これを「ホメオスタシス」と呼ぶ。

ホメオスタシスはホルモンや神経によって維持されている。ホルモンも神経も、全身のダイナミックなアクションによってホメオスタシスの維持に働く。例えば空腹になって血糖値が下がると、膵臓からグルカゴンが出てグリコーゲンをブドウ糖に変え、血糖値を上げようとする。

こうしたダイナミックなアクションだけでなく、もっと細かいアクションによって微妙にカラダの状態を正常に保とうとする経路も存在する。それが「エイコサノイド」という、局部的に働くホルモン様物質の作用だ。

エイコサノイドにはプロスタグランジンやトロンボキサン、ロイコトリエンなどの種類があり、これらは大きく次の3系統に分けることができる。

・ガンマリノレン酸(GLA)からつくられる1系統エイコサノイド
・アラキドン酸(AA)からつくられる2系統エイコサノイド
・エイコサペンタエン酸(EPA)からつくられる3系統エイコサノイド

 

■善玉と悪玉

1系統と3系統のエイコサノイドを、一般的に「善玉エイコサノイド」と呼び、血液をサラサラにしたり、免疫を高めたり、炎症を抑えるなどの作用がある。

そして2系統のエイコサノイドを「悪玉エイコサノイド」と呼ぶ。作用としては善玉の逆で、血液を固まりやすくしたり、免疫を低下させたり、炎症を促進したりなどだ。

ただし、悪玉が無条件に悪いというわけではない。血液が固まりやすくなると血栓ができやすくなるため、悪いことのように思われがちだが、出血した時に血が止まりやすくなる面もある。

また免疫が高まり過ぎると逆にアレルギーを発症したりするが、免疫を下げることでそれを防ぐこともできる。

炎症はケガが治る時の正常な治癒反応なので、あまり炎症を抑えすぎると、かえって治りが遅くなってしまうこともある。

とはいえ、一般的な食事では悪玉エイコサノイドが優位に立ってしまい、血栓生成や炎症促進、免疫低下が問題となることの方が多い。通常は善玉エイコサノイドを優先的に作るようにした方がいいだろう。

(後編へ続く)
Share
twitter
facebook
印刷用ページへ

たんぱく質は筋肉になり、炭水化物はエネルギーになる。ここまではウォリアーの常識だろう。だが脂肪については、エネルギーになる以外の働きについて、あまり詳しくは知られていないようだ。

 

■脂肪にはさまざまな働きがある

 

脂肪はエネルギーになるだけでなく、細胞膜などを含めた身体の重要な構成物質にもなる。細胞の表面にある膜は細胞膜と呼ばれ、これは必要な物質を細胞の中に入れ、不必要な物質は入れないようにするという、非常に重要な役割を果たしている。

 

細胞膜を構成する重要な物質の代表がリン脂質やコレステロールであり、これらを作るために脂肪が材料となるのである。

 

また脂肪はホルモンの材料にもなる。副腎皮質ホルモンや男性ホルモン、女性ホルモンなどは、コレステロールから作られる。実際に脂肪の摂取量が減ってコレステロールの数値が低くなると、男性ホルモンや女性ホルモンのレベルが下がることが知られている。

他にもビタミンAやDなどの脂溶性ビタミンの吸収を助けたり、血管の内壁を保護したり、内臓の位置を正常に保ったりする働きもある。

 

■脂肪はエイコサノイドの材料に

体温や血圧、血糖値などは、常にある一定の幅に収まるようになっており、これを「ホメオスタシス」と呼ぶ。

ホメオスタシスはホルモンや神経によって維持されている。ホルモンも神経も、全身のダイナミックなアクションによってホメオスタシスの維持に働く。例えば空腹になって血糖値が下がると、膵臓からグルカゴンが出てグリコーゲンをブドウ糖に変え、血糖値を上げようとする。

こうしたダイナミックなアクションだけでなく、もっと細かいアクションによって微妙にカラダの状態を正常に保とうとする経路も存在する。それが「エイコサノイド」という、局部的に働くホルモン様物質の作用だ。

エイコサノイドにはプロスタグランジンやトロンボキサン、ロイコトリエンなどの種類があり、これらは大きく次の3系統に分けることができる。

・ガンマリノレン酸(GLA)からつくられる1系統エイコサノイド
・アラキドン酸(AA)からつくられる2系統エイコサノイド
・エイコサペンタエン酸(EPA)からつくられる3系統エイコサノイド

 

■善玉と悪玉

1系統と3系統のエイコサノイドを、一般的に「善玉エイコサノイド」と呼び、血液をサラサラにしたり、免疫を高めたり、炎症を抑えるなどの作用がある。

そして2系統のエイコサノイドを「悪玉エイコサノイド」と呼ぶ。作用としては善玉の逆で、血液を固まりやすくしたり、免疫を低下させたり、炎症を促進したりなどだ。

ただし、悪玉が無条件に悪いというわけではない。血液が固まりやすくなると血栓ができやすくなるため、悪いことのように思われがちだが、出血した時に血が止まりやすくなる面もある。

また免疫が高まり過ぎると逆にアレルギーを発症したりするが、免疫を下げることでそれを防ぐこともできる。

炎症はケガが治る時の正常な治癒反応なので、あまり炎症を抑えすぎると、かえって治りが遅くなってしまうこともある。

とはいえ、一般的な食事では悪玉エイコサノイドが優位に立ってしまい、血栓生成や炎症促進、免疫低下が問題となることの方が多い。通常は善玉エイコサノイドを優先的に作るようにした方がいいだろう。

(後編へ続く)