競技パフォーマンスUP
プロテインの効果をさらに引き上げ、トレーニング効果を最大化していきたい。前々回は筋発達のためにクレアチンとEPA、HMBを紹介し、前回はリカバリー促進のためにグルタミンとマルチビタミン、関節サプリメントを紹介した。今回は、試合前に摂取するべき栄養素について解説していこう。
炭水化物とタンパク質、脂肪は「エネルギー産生栄養素」と呼ばれる。炭水化物と脂肪は主にエネルギーになり、タンパク質は身体の材料となる。
短時間の運動の場合、エネルギー源として主に使われるのは炭水化物である。逆に長時間の運動のときは脂肪が主にエネルギーとして使われる。
脂肪は脂肪酸として血中に存在するが、脂肪酸は「酸」であるため、そのままでは問題が生じる。そのため脂肪酸は通常、アルブミンというタンパク質と結合している。そしてアルブミンはアミノ酸のトリプトファンとも結合している。
運動を開始して多くのエネルギーが要求されるようになると、脂肪酸の要求量が増えてくる。そのためアルブミンは多くの脂肪酸を運ぶために、トリプトファンを捨てざるを得なくなる。それにより、アルブミンと結合していない遊離状態のトリプトファンが増えることになるわけだ。アルブミンから離れた遊離状態のトリプトファンは、脳に入ることができるようになる。脳に入ったトリプトファンは、神経伝達物質である「セロトニン」の材料になる。
「疲労の原因」については様々な仮説があるが、セロトニンが増えると疲労を感じるという説がある。またセロトニン受容体の活性化は筋収縮の発火頻度を低下させることが知られている1。
またセロトニンはメラトニンに変化して眠気を生じさせる。これもウォリアーにとっては望ましくない状態。そこで摂取するといいのがBCAAだ。
脳にトリプトファンのようなアミノ酸が入り込むときには、運搬物質(トランスポーター)が必要となる。トリプトファンは中性アミノ酸であり、BCAAのような同じ中性アミノ酸とトランスポーターを同じくしている。そのため、BCAAが大量に存在するとトランスポーターの奪い合いが生じ、トリプトファンが脳内に入り込む量が少なくなるため、脳内セロトニンを減らすことができるのだ2。ラットによる実験では、BCAAを投与した群は99分運動を継続できたが、投与しなかった群は76分しか運動できなかった、という結果が出ている3。
また炭水化物とBCAA、カフェインを配合したドリンクを飲んで2時間のランニングを行ったところ、プラセボ群に比べて中枢系の疲労が明らかに抑えられ、通常よりも高いパフォーマンスを発揮することができている4。
さらに70%VO2maxでサイクリングを行った研究では、BCAA摂取によって運動後の筋ダメージを明らかに抑えることができている5。特にグリコーゲンが枯渇した状態では、BCAAが脂肪酸の酸化によるエネルギー合成を高めるため、疲労が起こりにくくなることがわかっている6。
BCAAを摂取した場合、摂取後30分くらいで血中レベルが最大になり、それからゆっくりと低下して2時間後には元のレベルに戻る。またBCAAは運動中のエネルギー源にもなる。そのため、摂取するタイミングとしては練習や試合の30~45分くらい前に10gを目安にして飲むといいだろう。
プロテインの効果をさらに引き上げ、トレーニング効果を最大化していきたい。前々回は筋発達のためにクレアチンとEPA、HMBを紹介し、前回はリカバリー促進のためにグルタミンとマルチビタミン、関節サプリメントを紹介した。今回は、試合前に摂取するべき栄養素について解説していこう。
炭水化物とタンパク質、脂肪は「エネルギー産生栄養素」と呼ばれる。炭水化物と脂肪は主にエネルギーになり、タンパク質は身体の材料となる。
短時間の運動の場合、エネルギー源として主に使われるのは炭水化物である。逆に長時間の運動のときは脂肪が主にエネルギーとして使われる。
脂肪は脂肪酸として血中に存在するが、脂肪酸は「酸」であるため、そのままでは問題が生じる。そのため脂肪酸は通常、アルブミンというタンパク質と結合している。そしてアルブミンはアミノ酸のトリプトファンとも結合している。
運動を開始して多くのエネルギーが要求されるようになると、脂肪酸の要求量が増えてくる。そのためアルブミンは多くの脂肪酸を運ぶために、トリプトファンを捨てざるを得なくなる。それにより、アルブミンと結合していない遊離状態のトリプトファンが増えることになるわけだ。アルブミンから離れた遊離状態のトリプトファンは、脳に入ることができるようになる。脳に入ったトリプトファンは、神経伝達物質である「セロトニン」の材料になる。
「疲労の原因」については様々な仮説があるが、セロトニンが増えると疲労を感じるという説がある。またセロトニン受容体の活性化は筋収縮の発火頻度を低下させることが知られている1。
またセロトニンはメラトニンに変化して眠気を生じさせる。これもウォリアーにとっては望ましくない状態。そこで摂取するといいのがBCAAだ。
脳にトリプトファンのようなアミノ酸が入り込むときには、運搬物質(トランスポーター)が必要となる。トリプトファンは中性アミノ酸であり、BCAAのような同じ中性アミノ酸とトランスポーターを同じくしている。そのため、BCAAが大量に存在するとトランスポーターの奪い合いが生じ、トリプトファンが脳内に入り込む量が少なくなるため、脳内セロトニンを減らすことができるのだ2。ラットによる実験では、BCAAを投与した群は99分運動を継続できたが、投与しなかった群は76分しか運動できなかった、という結果が出ている3。
また炭水化物とBCAA、カフェインを配合したドリンクを飲んで2時間のランニングを行ったところ、プラセボ群に比べて中枢系の疲労が明らかに抑えられ、通常よりも高いパフォーマンスを発揮することができている4。
さらに70%VO2maxでサイクリングを行った研究では、BCAA摂取によって運動後の筋ダメージを明らかに抑えることができている5。特にグリコーゲンが枯渇した状態では、BCAAが脂肪酸の酸化によるエネルギー合成を高めるため、疲労が起こりにくくなることがわかっている6。
BCAAを摂取した場合、摂取後30分くらいで血中レベルが最大になり、それからゆっくりと低下して2時間後には元のレベルに戻る。またBCAAは運動中のエネルギー源にもなる。そのため、摂取するタイミングとしては練習や試合の30~45分くらい前に10gを目安にして飲むといいだろう。