競技パフォーマンスUP
ひと昔前、スクワットは別名「ディープ・ニー・ベンド」と呼ばれていた。つまり「膝を深く曲げるエクササイズ」という意味だ。ウォリアーの中にも体育の授業で「膝の屈伸をしろ!」という号令のもとでスクワットをやらされた経験のある人がいるのではないか。
スクワットで大腿四頭筋を鍛え、レッグカールでハムストリングを鍛える。アーノルド・シュワルツェネッガーの時代はそうだった。しかし今は違う。スクワットにおいては膝関節よりも股関節の動きを重視するようになり、目的とする筋肉も大腿四頭筋ではなく、大殿筋やハムストリングに変わってきたのである。
なぜそうなったのか。手始めに、膝関節が主に使われるスクワットは膝の傷害をもたらす可能性があると、言われるようになったことがある。膝関節が主に動き、股関節があまり動かない動作だと、大腿四頭筋は強く働くがハムストリングはあまり働かない。この場合、大腿四頭筋が脛骨を前に引き出すように働いてしまうため、膝にストレスがかかってしまうのである。
逆に股関節が主に動く動作だと、ハムストリングが働くため、脛骨を後ろに引っ張る力が加わる。そのため大腿四頭筋による脛骨の引き出しが起こらず、膝にストレスがかからないというわけだ。
また走る動作において、着地するときは大腿四頭筋が働く。その一方で股関節を伸展させて身体を前方に進めるときには、ハムストリングが働く。そのため大腿四頭筋は「ブレーキ筋」、ハムストリングは「アクセル筋」と呼ばれることがあり、ハムストリングを鍛えることの重要性が高まってきたということもあるだろう。
さらに腰痛対策として、ハムストリングや大殿筋のトレーニングが推奨されるようになったこともある。ハムストリングや大殿筋が弱くなると骨盤が過度に前傾してしまい、腰痛の一因になるとされる。そこでスクワットで股関節を優位に動作させることにより、ハムストリングと大殿筋を鍛えようとする動きが出てきたのだ。
次に股関節を優位に動作させるスクワットの注意点を列記しておこう。
〇股関節スクワットの注意点
・重心はカカトに置く。
・膝を前に出さず、腰を後ろに引くようにしてしゃがんでいく。
・立ち上がるときは、後ろに引いた腰を前に突き出す意識で立ち上がる。
・腹圧をしっかりかけ、腰が丸まらないようにする。
股関節スクワットが難しい場合は、ステップアップ(踏み台昇降)を勧めたい。台に足を載せて行うステップアップは必然的に股関節を優位に動かすことになり、膝が前に出にくく、膝関節への負担を軽減することができる。それほど高くない台であれば、筋力の弱い女性や高齢者にも無理なく行うことができるだろう。また台を高くしたり、ダンベルを持ったりすることで負荷を強くしていくことも可能だ。
ステップアップが無理なくできるようになったら、ブルガリアンスクワットに挑戦してみよう。足幅は広めにとり、上体はやや前傾させて行う。重心はカカトに置き、腹を大腿部に近づけていくような意識でしゃがんでいく。このフォームで行うことで股関節を優位に働かせることが可能となる。負荷を高めるためには、ダンベルを持って行うといいだろう。
股関節スクワットを行うだけで、大腿四頭筋やハムストリング、大殿筋、内転筋など股関節周りの主要な筋肉ほとんどを鍛えることができる。しかし、股関節を外転させる「中殿筋」が抜けてしまっている。
中殿筋は体軸の安定を保つのに非常に重要であり、また左右への体重移動における主役を担っている。そして臀部の上部に位置するため、ヒップアップを目指す女性にも見逃せない部位である。
ここでは自重で中殿筋を鍛える「サイドブリッジ」を紹介しておこう。
最後に股関節周りを鍛えるためのレベル別モデルプログラムを記しておく。
◆初心者向け股関節プログラム
1. ステップアップ・・自重で片足20回ずつ → ダンベルを持って片足10回ずつ3セット
◆中級者向け股関節プログラム
1. 股関節スクワット・・アップ後、8~10回 3セット
2. ブルガリアンスクワット・・12~15回 3セット
◆上級者向け股関節プログラム
1. 股関節スクワット・・アップ後、8~10回 3セット
2. ブルガリアンスクワット・・10~12回 2セット
3. ステップアップ・・15~20回 2セット
4. サイドブリッジ・・15~20回 2セット
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【こちらもオススメ】
Part 72 バンド・ヒップスラストでモテ尻をつくれ
大腿四頭筋のトレーニング
大腿二頭筋のトレーニング
【もっとTHAT’Sトレーニングを読む】
Part 94 基本的トレーニング戦略 ~プログラムB
Part 93 基本的トレーニング戦略 ~プログラムA
Part 92 基本的なトレーニング戦略とは 第1編(全3編)
Part 91 強力な体幹部をつくりあげろ!
Part 90 爆発的なパワーを発揮しろ!
ひと昔前、スクワットは別名「ディープ・ニー・ベンド」と呼ばれていた。つまり「膝を深く曲げるエクササイズ」という意味だ。ウォリアーの中にも体育の授業で「膝の屈伸をしろ!」という号令のもとでスクワットをやらされた経験のある人がいるのではないか。
スクワットで大腿四頭筋を鍛え、レッグカールでハムストリングを鍛える。アーノルド・シュワルツェネッガーの時代はそうだった。しかし今は違う。スクワットにおいては膝関節よりも股関節の動きを重視するようになり、目的とする筋肉も大腿四頭筋ではなく、大殿筋やハムストリングに変わってきたのである。
なぜそうなったのか。手始めに、膝関節が主に使われるスクワットは膝の傷害をもたらす可能性があると、言われるようになったことがある。膝関節が主に動き、股関節があまり動かない動作だと、大腿四頭筋は強く働くがハムストリングはあまり働かない。この場合、大腿四頭筋が脛骨を前に引き出すように働いてしまうため、膝にストレスがかかってしまうのである。
逆に股関節が主に動く動作だと、ハムストリングが働くため、脛骨を後ろに引っ張る力が加わる。そのため大腿四頭筋による脛骨の引き出しが起こらず、膝にストレスがかからないというわけだ。
また走る動作において、着地するときは大腿四頭筋が働く。その一方で股関節を伸展させて身体を前方に進めるときには、ハムストリングが働く。そのため大腿四頭筋は「ブレーキ筋」、ハムストリングは「アクセル筋」と呼ばれることがあり、ハムストリングを鍛えることの重要性が高まってきたということもあるだろう。
さらに腰痛対策として、ハムストリングや大殿筋のトレーニングが推奨されるようになったこともある。ハムストリングや大殿筋が弱くなると骨盤が過度に前傾してしまい、腰痛の一因になるとされる。そこでスクワットで股関節を優位に動作させることにより、ハムストリングと大殿筋を鍛えようとする動きが出てきたのだ。
次に股関節を優位に動作させるスクワットの注意点を列記しておこう。
〇股関節スクワットの注意点
・重心はカカトに置く。
・膝を前に出さず、腰を後ろに引くようにしてしゃがんでいく。
・立ち上がるときは、後ろに引いた腰を前に突き出す意識で立ち上がる。
・腹圧をしっかりかけ、腰が丸まらないようにする。
股関節スクワットが難しい場合は、ステップアップ(踏み台昇降)を勧めたい。台に足を載せて行うステップアップは必然的に股関節を優位に動かすことになり、膝が前に出にくく、膝関節への負担を軽減することができる。それほど高くない台であれば、筋力の弱い女性や高齢者にも無理なく行うことができるだろう。また台を高くしたり、ダンベルを持ったりすることで負荷を強くしていくことも可能だ。
ステップアップが無理なくできるようになったら、ブルガリアンスクワットに挑戦してみよう。足幅は広めにとり、上体はやや前傾させて行う。重心はカカトに置き、腹を大腿部に近づけていくような意識でしゃがんでいく。このフォームで行うことで股関節を優位に働かせることが可能となる。負荷を高めるためには、ダンベルを持って行うといいだろう。
股関節スクワットを行うだけで、大腿四頭筋やハムストリング、大殿筋、内転筋など股関節周りの主要な筋肉ほとんどを鍛えることができる。しかし、股関節を外転させる「中殿筋」が抜けてしまっている。
中殿筋は体軸の安定を保つのに非常に重要であり、また左右への体重移動における主役を担っている。そして臀部の上部に位置するため、ヒップアップを目指す女性にも見逃せない部位である。
ここでは自重で中殿筋を鍛える「サイドブリッジ」を紹介しておこう。
最後に股関節周りを鍛えるためのレベル別モデルプログラムを記しておく。
◆初心者向け股関節プログラム
1. ステップアップ・・自重で片足20回ずつ → ダンベルを持って片足10回ずつ3セット
◆中級者向け股関節プログラム
1. 股関節スクワット・・アップ後、8~10回 3セット
2. ブルガリアンスクワット・・12~15回 3セット
◆上級者向け股関節プログラム
1. 股関節スクワット・・アップ後、8~10回 3セット
2. ブルガリアンスクワット・・10~12回 2セット
3. ステップアップ・・15~20回 2セット
4. サイドブリッジ・・15~20回 2セット
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Part 92 基本的なトレーニング戦略とは 第1編(全3編)
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