競技パフォーマンスUP

Part 87  パフォーマンスに落とし込め! Part 1

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パフォーマンスに落とし込め! Part 1

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競技パフォーマンスUP

Part 87  パフォーマンスに落とし込め! Part 1

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パフォーマンスに落とし込め! Part 1

  • 目  的:ストレングストレーニングで培った能力をパフォーマンスに反映させる
  • メリット:競技能力の向上

オフシーズンはウェイトトレーニングに集中した。ベンチプレスもスクワットも格段に強くなり、筋肉量も明らかに増えたようだ。それなのに、いざシーズンがはじまって競技に戻ってみると、思うように身体が動かない。いったいなぜだろう? どうにももどかしい気持ちだ。

ウェイトトレーニングで筋力を高めることは、車に例えるとエンジンの馬力を増やすことに相当する。しかし軽自動車にいきなりF1マシンのエンジンを載せても、そう簡単には乗りこなせないだろう。ブレーキを踏む感覚、ハンドルを切るタイミングなどが、馬力が変わればまったく違ってくるからだ。チューンナップされた車を乗りこなすには、それなりのドライビング練習が必要になるのである。競技パフォーマンスも同じことで、筋力やパワーが変われば、それに適応するための期間が必要になる。通常は競技練習を続けるだけで、ある程度は適応できるはずだ。

しかし、それだけでは足らない。増大した筋力やパワーをパフォーマンスに反映させるためのトレーニング方法があるのだ。これから数回に分けて、その方法を紹介していこう。

■SSCとは

ジャンプする時は、誰もが一度しゃがんでから跳び上がるだろう。しゃがんで静止した状態から跳び上がっても、あまり高くはジャンプできない。これはSSCの作用によるものだ。

ではSSC(Stretch Shortening Cycle ; ストレッチ・ショートニング・サイクル)とは何か。
筋肉は一気に伸ばされると、断裂してしまう。それでは困るので、伸ばされると収縮しようとする反射が起こる。それを「伸展反射」と呼ぶ。急にしゃがみこむと、脚の筋肉が伸ばされる。このときに伸展反射が起こるため、より強い力で脚の筋肉を収縮させることができ、高くジャンプできるようになるのだ。野球やゴルフのスイングでもSSCが応用される。弓を引き絞るようなものだと考えてほしい。
また筋肉にはエラスチンという弾性作用を持つ繊維がある。ゴムが伸びると縮むように、エラスチンも伸ばされると自然に縮もうとする。この弾性エネルギーもSSCとして働いてくる。

ここで重要なのは、反射も弾性エネルギーも脳を介さない、ということ。ヒトが何らかの動きで力を発揮しようとする時、心理的な抑制が働いて本来出せる力の半分程度しか発揮できない。ウォリアーは訓練によって心理的な抑制をある程度解除することができるが、それでも発揮できるのは最大の60%程度である。なお大声を出して叫ぶことで、この抑制をさらに解除できる。投擲の選手が大声を出して投げているのは、心理的抑制を解除しているのだ。
SSCの場合、この心理的抑制が働かない。そのため、より強い筋力・パワーを発揮することができるのである。

■SSCを応用したエクササイズと注意点

スクワットでSSCを応用してみよう。普通はゆっくりとしゃがみ、ゆっくりと立ち上がる。SSCを利用したスクワットでは、一気にしゃがみこんで、一気に切り返して爆発的に立ち上がるのである。
この場合、フルにしゃがむと膝関節に負担がかかるため、パラレル(大腿部が床と並行)まで下ろせば十分である。
ベンチプレスも同様に行う。一気に下ろし、瞬間的に切り返して一気に持ち上げるのである。ベンチプレスの場合、胸に当たることによる反動を避けるため、胸に当たる直前で切り返すようにしたい。

チンニングもSSCを取り入れやすいエクササイズだ。下まで下げた瞬間、ゴムが伸び縮みするような意識ですぐに身体を持ち上げる。持ち上げたら一気に下ろし、また一気に切り返して持ち上げる。

SSCを取り入れる上で注意したいことがある。まずは使用重量の設定だ。あまり重い重量だと一気に切り返して挙げることができない。逆に軽すぎる重量だとトレーニング効果が少なく、また心理的抑制を取り外すことにならないため、意味がない。
まずは入念なウォームアップの後、60%1RMで試してみよう。普通に行えば20レップスくらいできるはずだ。この重量でSSCを利用する場合、ネガティブでの刺激が弱くなるため、20レップス以上できるかもしれない。しかし、あえて15レップス程度でやめるのである。後半のレップスは「粘って」挙げることになるため、SSCによる強化とはいえなくなる。無理なく15レップスができるようになったら、徐々に重量を増やし、最終的に「粘れば10レップスできるけど、あえて6レップスでやめる」ように重量設定を行う。

SSCを積極的にトレーニングに取り入れることで、競技においても爆発的な筋収縮をさせることがデフォルトになってくるはずだ。心理的な抑制も取り除かれ、無意識に強大な筋力を発揮することができるようになるだろう。

(Part 2に続く)

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  • 目  的:ストレングストレーニングで培った能力をパフォーマンスに反映させる
  • メリット:競技能力の向上

オフシーズンはウェイトトレーニングに集中した。ベンチプレスもスクワットも格段に強くなり、筋肉量も明らかに増えたようだ。それなのに、いざシーズンがはじまって競技に戻ってみると、思うように身体が動かない。いったいなぜだろう? どうにももどかしい気持ちだ。

ウェイトトレーニングで筋力を高めることは、車に例えるとエンジンの馬力を増やすことに相当する。しかし軽自動車にいきなりF1マシンのエンジンを載せても、そう簡単には乗りこなせないだろう。ブレーキを踏む感覚、ハンドルを切るタイミングなどが、馬力が変わればまったく違ってくるからだ。チューンナップされた車を乗りこなすには、それなりのドライビング練習が必要になるのである。競技パフォーマンスも同じことで、筋力やパワーが変われば、それに適応するための期間が必要になる。通常は競技練習を続けるだけで、ある程度は適応できるはずだ。

しかし、それだけでは足らない。増大した筋力やパワーをパフォーマンスに反映させるためのトレーニング方法があるのだ。これから数回に分けて、その方法を紹介していこう。

■SSCとは

ジャンプする時は、誰もが一度しゃがんでから跳び上がるだろう。しゃがんで静止した状態から跳び上がっても、あまり高くはジャンプできない。これはSSCの作用によるものだ。

ではSSC(Stretch Shortening Cycle ; ストレッチ・ショートニング・サイクル)とは何か。
筋肉は一気に伸ばされると、断裂してしまう。それでは困るので、伸ばされると収縮しようとする反射が起こる。それを「伸展反射」と呼ぶ。急にしゃがみこむと、脚の筋肉が伸ばされる。このときに伸展反射が起こるため、より強い力で脚の筋肉を収縮させることができ、高くジャンプできるようになるのだ。野球やゴルフのスイングでもSSCが応用される。弓を引き絞るようなものだと考えてほしい。
また筋肉にはエラスチンという弾性作用を持つ繊維がある。ゴムが伸びると縮むように、エラスチンも伸ばされると自然に縮もうとする。この弾性エネルギーもSSCとして働いてくる。

ここで重要なのは、反射も弾性エネルギーも脳を介さない、ということ。ヒトが何らかの動きで力を発揮しようとする時、心理的な抑制が働いて本来出せる力の半分程度しか発揮できない。ウォリアーは訓練によって心理的な抑制をある程度解除することができるが、それでも発揮できるのは最大の60%程度である。なお大声を出して叫ぶことで、この抑制をさらに解除できる。投擲の選手が大声を出して投げているのは、心理的抑制を解除しているのだ。
SSCの場合、この心理的抑制が働かない。そのため、より強い筋力・パワーを発揮することができるのである。

■SSCを応用したエクササイズと注意点

スクワットでSSCを応用してみよう。普通はゆっくりとしゃがみ、ゆっくりと立ち上がる。SSCを利用したスクワットでは、一気にしゃがみこんで、一気に切り返して爆発的に立ち上がるのである。
この場合、フルにしゃがむと膝関節に負担がかかるため、パラレル(大腿部が床と並行)まで下ろせば十分である。
ベンチプレスも同様に行う。一気に下ろし、瞬間的に切り返して一気に持ち上げるのである。ベンチプレスの場合、胸に当たることによる反動を避けるため、胸に当たる直前で切り返すようにしたい。

チンニングもSSCを取り入れやすいエクササイズだ。下まで下げた瞬間、ゴムが伸び縮みするような意識ですぐに身体を持ち上げる。持ち上げたら一気に下ろし、また一気に切り返して持ち上げる。

SSCを取り入れる上で注意したいことがある。まずは使用重量の設定だ。あまり重い重量だと一気に切り返して挙げることができない。逆に軽すぎる重量だとトレーニング効果が少なく、また心理的抑制を取り外すことにならないため、意味がない。
まずは入念なウォームアップの後、60%1RMで試してみよう。普通に行えば20レップスくらいできるはずだ。この重量でSSCを利用する場合、ネガティブでの刺激が弱くなるため、20レップス以上できるかもしれない。しかし、あえて15レップス程度でやめるのである。後半のレップスは「粘って」挙げることになるため、SSCによる強化とはいえなくなる。無理なく15レップスができるようになったら、徐々に重量を増やし、最終的に「粘れば10レップスできるけど、あえて6レップスでやめる」ように重量設定を行う。

SSCを積極的にトレーニングに取り入れることで、競技においても爆発的な筋収縮をさせることがデフォルトになってくるはずだ。心理的な抑制も取り除かれ、無意識に強大な筋力を発揮することができるようになるだろう。

(Part 2に続く)