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スポーツ栄養の学会について

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スポーツ栄養の学会について

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(こちらの記事は2018年12月に公開されました)

皆さんは、スポーツ栄養に関係する学会の世界の勢力図がどうなっているか、ご存じでしょうか?
世界中にはさまざまな学会があり、その中には、スポーツ栄養に特化した学会がいくつかあります。研究結果やガイドラインなどをジャーナルで発行して、最新のスポーツ栄養学の情報の普及と、アスリートのパフォーマンスを実際に向上させるための活動を行っています。

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図1に示すのが、世界の主な栄養関連の学会と、大きな学会のグループ(連合)です。スポーツ栄養学に限らず、栄養について一番進んでいるのはやはりアメリカの学会です。「Academy of Nutrition and Dietetics(栄養と食事のアカデミー)」は、その中心的存在といえます。また「American College of Sports Medicine(アメリカスポーツ医学会)」も、さまざまな活動をしています。
この2学会と「Dietitians of Canada(カナダ栄養士会)」が、2017年に共同で『栄養とアスレティックパフォーマンス』という、スポーツ栄養に関するガイドラインを発表しました。

一般の人の栄養摂取基準については、わが国では厚生労働省が5年ごとに発行する『日本人の食事摂取基準』、アメリカでは米国科学アカデミーが発行する『DRI (Dietary Reference Intakes)』に記載されています。
それに対し、アスリートの栄養摂取基準について記載されているのが、この『栄養とアスレティックパフォーマンス』です。言うなれば「アスリートの食事指針を示した国際的な基準」ということ。内容も、エネルギーやたんぱく質の必要量や摂取方法、身体組成とスポーツパフォーマンス、競技前・競技中・競技後の食事、サプリメントとエルゴジェニックエイドなど、多岐にわたって科学的エビデンスが記されています。

Academy of Nutrition and Dietetics、American College of Sports Medicine、Dietitians of Canadaといった「北米グループ」とやや毛色が違う学会として「International Society of Sports Nutrition(ISSN:国際スポーツ栄養学会)」があります。彼らはスポーツ栄養やサプリメントに関するPosition Paper(見解声明)を、精力的に発表しています。
特に2017年6月に発表された「たんぱく質と運動」では、プロテインの摂取量やタイミングについて、多くのエビデンスに基づいた知見が書かれています。ぜひ、参考にしてみてください。

すでによく知られたことではありますが、筋肥大を目指すアスリートの1日あたりのたんぱく質摂取量は、体重1kgあたり1.4~2.0 gです。理想としては3~4時間ごとなど、1日を通して均等に摂ることが望ましいとされています。
さらに、低エネルギー状態(ダイエット中)には、より多くのたんぱく質を摂ることが大事で、体重1kgあたり2.3~3.1 gが必要と書かれています。また、たんぱく質の過剰摂取に関しても触れられていますが、体重1kgあたり3.4~4.4 gのたんぱく質を8週間、毎日摂取し続けても、腎臓または肝機能に影響は認められなかったそうです。

さらに、ISSNから2018年8月に発表された『運動およびスポーツニュートリッションの最新レビュー:研究及び推奨』には、ビタミンやミネラルのエルゴジェニックとしての価値やサプリメントの効果について、エビデンスがあるかどうかの評価が書かれてあります。さまざまな情報が混在する昨今ですが、正しい知識をベースにして、サプリメントを使うかどうかを自ら判断できる、非常に優れた内容となっています。こちらも今、翻訳作業が進んでおり、おそらく2019年の初頭には読んでいただけると思います。

一方、北米以外の世界に目を向けると、PINES(Professionals in Nutrition for Exercise and Sports)という連合があり、各国のスポーツ栄養学会(イギリス、オーストラリア、イタリア、メキシコなど)が加盟しています。そして日本では「日本スポーツ栄養学会」がPINESのメンバーです。Academy of Nutrition and Dietetics(栄養と食事のアカデミー)のサブグループである「SCAN(Sports, Cardiovascular, and Wellness Nutrition)」が、アメリカを代表するPINESのメンバーです。

日本の栄養士さんで「公認スポーツ栄養士」という資格を持つ方々がいらっしゃいますが、この資格は、日本栄養士会と日本スポーツ協会との共同認定によるものです。そして公認スポーツ栄養士の育成事業は、日本スポーツ栄養学会の重要な役割の一つです。
公認スポーツ栄養士の資格を取るのはなかなか大変で、3~5年をかけて講習、実技・実習、インターンシップを修了せねばなりません。しかも1回目の試験の合格率は、わずか17%。全国に5万人いる栄養士/管理栄養士の中でも、この資格を持っているのは約300名(2018年10月現在)に過ぎません。
逆を言えば、日本にはそれだけ質の高いスポーツ栄養士が育っているということ。心強い限りです。ちなみにDNSを展開する株式会社DNSにも、この資格を有している栄養士/管理栄養士が1人います。
もしあなたの周りにスポーツ栄養士の方がいらしたら、とても優秀な方だと思って間違いありません。栄養やサプリメントに関する悩みがある人は相談してみるといいでしょう。

(終わり)



青柳 清治

青柳 清治 │ Seiji_Aoyagi

栄養学博士、(株)DNS 執行役員 
米国オキシデンタル大学卒業後、㈱協和発酵バイオでアミノ酸研究に従事する中で、イリノイ大学で栄養学の博士号を取得。以降、外資企業で栄養剤ビジネス、商品開発の責任者を歴任した。日本へ帰国後2015年から、ウェアブランド「アンダーアーマー」の日本総代理店・㈱ドームのサプリメントブランド「DNS」にて責任者を務める。2020年より分社化した㈱DNSでサイエンティフィックオフィサーを務める。

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(こちらの記事は2018年12月に公開されました)

皆さんは、スポーツ栄養に関係する学会の世界の勢力図がどうなっているか、ご存じでしょうか?
世界中にはさまざまな学会があり、その中には、スポーツ栄養に特化した学会がいくつかあります。研究結果やガイドラインなどをジャーナルで発行して、最新のスポーツ栄養学の情報の普及と、アスリートのパフォーマンスを実際に向上させるための活動を行っています。

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図1に示すのが、世界の主な栄養関連の学会と、大きな学会のグループ(連合)です。スポーツ栄養学に限らず、栄養について一番進んでいるのはやはりアメリカの学会です。「Academy of Nutrition and Dietetics(栄養と食事のアカデミー)」は、その中心的存在といえます。また「American College of Sports Medicine(アメリカスポーツ医学会)」も、さまざまな活動をしています。
この2学会と「Dietitians of Canada(カナダ栄養士会)」が、2017年に共同で『栄養とアスレティックパフォーマンス』という、スポーツ栄養に関するガイドラインを発表しました。

一般の人の栄養摂取基準については、わが国では厚生労働省が5年ごとに発行する『日本人の食事摂取基準』、アメリカでは米国科学アカデミーが発行する『DRI (Dietary Reference Intakes)』に記載されています。
それに対し、アスリートの栄養摂取基準について記載されているのが、この『栄養とアスレティックパフォーマンス』です。言うなれば「アスリートの食事指針を示した国際的な基準」ということ。内容も、エネルギーやたんぱく質の必要量や摂取方法、身体組成とスポーツパフォーマンス、競技前・競技中・競技後の食事、サプリメントとエルゴジェニックエイドなど、多岐にわたって科学的エビデンスが記されています。

Academy of Nutrition and Dietetics、American College of Sports Medicine、Dietitians of Canadaといった「北米グループ」とやや毛色が違う学会として「International Society of Sports Nutrition(ISSN:国際スポーツ栄養学会)」があります。彼らはスポーツ栄養やサプリメントに関するPosition Paper(見解声明)を、精力的に発表しています。
特に2017年6月に発表された「たんぱく質と運動」では、プロテインの摂取量やタイミングについて、多くのエビデンスに基づいた知見が書かれています。ぜひ、参考にしてみてください。

すでによく知られたことではありますが、筋肥大を目指すアスリートの1日あたりのたんぱく質摂取量は、体重1kgあたり1.4~2.0 gです。理想としては3~4時間ごとなど、1日を通して均等に摂ることが望ましいとされています。
さらに、低エネルギー状態(ダイエット中)には、より多くのたんぱく質を摂ることが大事で、体重1kgあたり2.3~3.1 gが必要と書かれています。また、たんぱく質の過剰摂取に関しても触れられていますが、体重1kgあたり3.4~4.4 gのたんぱく質を8週間、毎日摂取し続けても、腎臓または肝機能に影響は認められなかったそうです。

さらに、ISSNから2018年8月に発表された『運動およびスポーツニュートリッションの最新レビュー:研究及び推奨』には、ビタミンやミネラルのエルゴジェニックとしての価値やサプリメントの効果について、エビデンスがあるかどうかの評価が書かれてあります。さまざまな情報が混在する昨今ですが、正しい知識をベースにして、サプリメントを使うかどうかを自ら判断できる、非常に優れた内容となっています。こちらも今、翻訳作業が進んでおり、おそらく2019年の初頭には読んでいただけると思います。

一方、北米以外の世界に目を向けると、PINES(Professionals in Nutrition for Exercise and Sports)という連合があり、各国のスポーツ栄養学会(イギリス、オーストラリア、イタリア、メキシコなど)が加盟しています。そして日本では「日本スポーツ栄養学会」がPINESのメンバーです。Academy of Nutrition and Dietetics(栄養と食事のアカデミー)のサブグループである「SCAN(Sports, Cardiovascular, and Wellness Nutrition)」が、アメリカを代表するPINESのメンバーです。

日本の栄養士さんで「公認スポーツ栄養士」という資格を持つ方々がいらっしゃいますが、この資格は、日本栄養士会と日本スポーツ協会との共同認定によるものです。そして公認スポーツ栄養士の育成事業は、日本スポーツ栄養学会の重要な役割の一つです。
公認スポーツ栄養士の資格を取るのはなかなか大変で、3~5年をかけて講習、実技・実習、インターンシップを修了せねばなりません。しかも1回目の試験の合格率は、わずか17%。全国に5万人いる栄養士/管理栄養士の中でも、この資格を持っているのは約300名(2018年10月現在)に過ぎません。
逆を言えば、日本にはそれだけ質の高いスポーツ栄養士が育っているということ。心強い限りです。ちなみにDNSを展開する株式会社DNSにも、この資格を有している栄養士/管理栄養士が1人います。
もしあなたの周りにスポーツ栄養士の方がいらしたら、とても優秀な方だと思って間違いありません。栄養やサプリメントに関する悩みがある人は相談してみるといいでしょう。

(終わり)



青柳 清治

青柳 清治 │ Seiji_Aoyagi

栄養学博士、(株)DNS 執行役員 
米国オキシデンタル大学卒業後、㈱協和発酵バイオでアミノ酸研究に従事する中で、イリノイ大学で栄養学の博士号を取得。以降、外資企業で栄養剤ビジネス、商品開発の責任者を歴任した。日本へ帰国後2015年から、ウェアブランド「アンダーアーマー」の日本総代理店・㈱ドームのサプリメントブランド「DNS」にて責任者を務める。2020年より分社化した㈱DNSでサイエンティフィックオフィサーを務める。

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