体重・筋量UP
筋肉が発達するメカニズムは「超回復」ではなく、「ストレス応答」によるものだということは、すでに周知となっている。ではストレスとは何か。
身体には、常に現在の状態を保とうとする働きがある。これを「ホメオスタシス」と呼ぶ。血圧や体温、血糖値などが高くなったり低くなったりすると、ホメオスタシスが働いて迅速にそれらを正常域に戻そうとするのだ。
筋肉もホメオスタシスの影響を受ける。微弱な刺激を受けても正常域のままであり、ストレスとはならない。しかし強力な刺激を受けると正常域を突破し、ホメオスタシスが打ち破られ、身体はそれをストレスだと感じる。
ジムに何時間も居座って、同じエクササイズを何セットも何セットもやっているトレーニーがいる。このように長時間行えるトレーニングは、強度が弱い。体力は削られるが、ただ疲れるだけで、筋肉にとって強力な刺激とはならない。
では、どうすれば良いのか。短時間で一気に追い込み、限界突破する。こうしてこそ、身体はそれをストレスと感じ取るのである。短時間で一気に限界突破できるテクニック、その代表格が「レストポーズ法」である。
ベンチプレスのマックスが100kgのウォリアーを例に、さっそくその方法を紹介しよう。
このように短いインターバルを入れながら高重量を扱い、レップスを重ねていって最終的に1回が限界となるまで行うテクニックをレストポーズ法と呼ぶ。ここでは最初のセットで限界に近いところまで行うのがポイントである。ここで余裕を持たせると、その後に続くセットで何レップスもできてしまう。これでは単なる「短インターバル法」になってしまう。
「モーターユニット」という言葉がある。これは一本の神経と、それが支配する筋繊維の塊のことだ。高重量を扱ったり、爆発的な動作を行ったりするときには、多くのモーターユニットが動員される。そしてレストポーズ法も多くのモーターユニットを動員することができる。これは高重量だからというだけではない。
14名のトレーニング経験者を用い、80%1RMの重量で20レップスのスクワットを行った研究がある。(※1)
A群は4レップスで5セットをインターバル3分。B群は4レップスで5セットをインターバル20秒。C群はレストポーズ法で、最初のセットで可能な限りのレップスを行い、その後は20秒のインターバルで合計20レップスになるまで行った。
その結果、レストポーズ群がもっとも高いモーターユニット動員数だったのだ。内側広筋は8.4%、大腿二頭筋は46.1%、脊柱起立筋は41.1%の筋活動増加が起こっていた。
なお合計20レップスを行うまでに、A群は780秒、B群は140秒、レストポーズ群は103秒かかっていた。実に2分以内で終了したのである。
トレーニング効果としてはどうだろうか。20名のトレーニング経験者を用い、4週間に渡って週2回のベンチプレスを行った研究がある。(※2)
80%1RMで4セットをインターバル2分で行った「普通群」と、限界まで追い込んでから短インターバルで行う「レストポーズ群」とで比較した。
その結果、筋力や筋活動に大きな違いは見られなかった。しかし「重量*レップス」を計算したところ、普通群は38315lbsだったのに対し、レストポーズ群は56778lbsとなり、仕事量としてはレストポーズ群が大きなアドバンテージを得たようだ。
つまり最初のセットで追い込むことにより、トータルで大きな仕事量を得ることができたという結果が出たようである。
また「80%1RMで限界まで行い、20秒のインターバルを挟みつつ、トータルで18レップス行う」群と、「80%1RMで6レップス3セット、インターバル2分でトータル18レップス」群とで比較した研究がある。その結果、上半身は同程度の発達だったのに対し、脚はレストポーズ群のほうが筋肥大効果が大きかったのである。(※3)
レストポーズ法だと、1セットで十分に刺激を与えることができる。短時間でトレーニングを終了させたい場合にも有用だろう。今後のトレーニングに大いに役立てて欲しい。
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筋肉が発達するメカニズムは「超回復」ではなく、「ストレス応答」によるものだということは、すでに周知となっている。ではストレスとは何か。
身体には、常に現在の状態を保とうとする働きがある。これを「ホメオスタシス」と呼ぶ。血圧や体温、血糖値などが高くなったり低くなったりすると、ホメオスタシスが働いて迅速にそれらを正常域に戻そうとするのだ。
筋肉もホメオスタシスの影響を受ける。微弱な刺激を受けても正常域のままであり、ストレスとはならない。しかし強力な刺激を受けると正常域を突破し、ホメオスタシスが打ち破られ、身体はそれをストレスだと感じる。
ジムに何時間も居座って、同じエクササイズを何セットも何セットもやっているトレーニーがいる。このように長時間行えるトレーニングは、強度が弱い。体力は削られるが、ただ疲れるだけで、筋肉にとって強力な刺激とはならない。
では、どうすれば良いのか。短時間で一気に追い込み、限界突破する。こうしてこそ、身体はそれをストレスと感じ取るのである。短時間で一気に限界突破できるテクニック、その代表格が「レストポーズ法」である。
ベンチプレスのマックスが100kgのウォリアーを例に、さっそくその方法を紹介しよう。
このように短いインターバルを入れながら高重量を扱い、レップスを重ねていって最終的に1回が限界となるまで行うテクニックをレストポーズ法と呼ぶ。ここでは最初のセットで限界に近いところまで行うのがポイントである。ここで余裕を持たせると、その後に続くセットで何レップスもできてしまう。これでは単なる「短インターバル法」になってしまう。
「モーターユニット」という言葉がある。これは一本の神経と、それが支配する筋繊維の塊のことだ。高重量を扱ったり、爆発的な動作を行ったりするときには、多くのモーターユニットが動員される。そしてレストポーズ法も多くのモーターユニットを動員することができる。これは高重量だからというだけではない。
14名のトレーニング経験者を用い、80%1RMの重量で20レップスのスクワットを行った研究がある。(※1)
A群は4レップスで5セットをインターバル3分。B群は4レップスで5セットをインターバル20秒。C群はレストポーズ法で、最初のセットで可能な限りのレップスを行い、その後は20秒のインターバルで合計20レップスになるまで行った。
その結果、レストポーズ群がもっとも高いモーターユニット動員数だったのだ。内側広筋は8.4%、大腿二頭筋は46.1%、脊柱起立筋は41.1%の筋活動増加が起こっていた。
なお合計20レップスを行うまでに、A群は780秒、B群は140秒、レストポーズ群は103秒かかっていた。実に2分以内で終了したのである。
トレーニング効果としてはどうだろうか。20名のトレーニング経験者を用い、4週間に渡って週2回のベンチプレスを行った研究がある。(※2)
80%1RMで4セットをインターバル2分で行った「普通群」と、限界まで追い込んでから短インターバルで行う「レストポーズ群」とで比較した。
その結果、筋力や筋活動に大きな違いは見られなかった。しかし「重量*レップス」を計算したところ、普通群は38315lbsだったのに対し、レストポーズ群は56778lbsとなり、仕事量としてはレストポーズ群が大きなアドバンテージを得たようだ。
つまり最初のセットで追い込むことにより、トータルで大きな仕事量を得ることができたという結果が出たようである。
また「80%1RMで限界まで行い、20秒のインターバルを挟みつつ、トータルで18レップス行う」群と、「80%1RMで6レップス3セット、インターバル2分でトータル18レップス」群とで比較した研究がある。その結果、上半身は同程度の発達だったのに対し、脚はレストポーズ群のほうが筋肥大効果が大きかったのである。(※3)
レストポーズ法だと、1セットで十分に刺激を与えることができる。短時間でトレーニングを終了させたい場合にも有用だろう。今後のトレーニングに大いに役立てて欲しい。
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