競技パフォーマンスUP
昨年秋に新体制となって関東学生リーグで6勝1敗の好成績を残し、惜しくも甲子園ボウル出場は逃したものの、充実のシーズンを過ごした法政大学オレンジ。今シーズン、チームはフィジカルを前面に押し出した「世界基準のフットボール」の展開を目指す。
(※インタビューは2017年6月に実施)
有澤玄ヘッドコーチ
「チームの方針として、まずは安全管理の徹底を最優先に考えています。では安全をどう担保するか。しっかりとフィジカルトレーニングを積み、アメリカンフットボール選手の身体を作ることです。身体ができていないことは、大きなケガにつながります。安全はフィジカルと基本技術の向上から。フィジカルの強化が安全の確保とチームの強化につながっていきます」
語るのは、今年就任した有澤玄ヘッドコーチ。今季、法政オレンジが目指すのは「フィジカルで圧倒するフットボール」。今年の春のシーズン、チームはオープン戦の結果にこだわることなく、フィジカルの強化とブロッキング、タックリングなどファンダメンタルの徹底をはかった。
「目先の勝ちばかりにこだわると、安全を担保できなくなります。ケガをしてしまった選手が、負傷を隠すような環境はよくない。もちろんスポーツですから勝ちたいとは思いますし、勝つために全力を尽くします。でも、勝利至上主義になってはいけない。われわれが目指すのは、フィジカルで圧倒する世界基準のチーム。フィジカルで圧倒できれば安全なフットボールが実現される。そして強くて、愛されるチームになる。そんな理想を掲げています」
友岡和彦GM
有澤玄ヘッドコーチ
ストレングス&コンディショニングについては、昨年からチームを見ているドームアスリートハウスGM友岡和彦がプラン作成を行い、今年就任したパフォーマンスコーチ(兼DBコーチ)のジャバリ・ミラーが、日常のトレーニングを指導する。今年度のフィジカル強化方針について、二人はこう語る。
「チームを見るようになったのが昨年9月なので、昨シーズンは時間が足らず、ウエイトトレーニングのフォームを固め切れませんでした。そのため今年はフォーム作りを徹底。シーズンインの段階で、1年間しっかりとトレーニングできるよう、正しいフォームをしっかりと作り込んでいきました。
年間計画としては、1年を①筋肥大②最大筋力向上③パワーの養成をテーマに3つに期分けし、各期3~6週間を継続しながら繰り返していきます。いわゆるブロックピリオダイゼーションです。①でベースとなる筋肉量を上げ、②で挙上できるMAX重量のアップを狙い、③で爆発力を養うため、高重量を速く挙げる総合的パワー(筋力×スピード)を作っていく。そんなイメージです。ずっと同じメニューばかりだと、トレーニング効果はどうしても停滞しますから、リーグ戦や試験のスケジュールも考慮しながら、トレーニングメニューに波を持たせています。
ジャバリ・ミラー
パフォーマンスコーチ
今年のシーズンイン当初、まずは身体を大きくするために①を5~6週間+αと長めに取りました。そして春のオープン戦が終わった今現在(6月下旬)は、②から③へと移行したところ。春先に最低限のバルクアップはできたので、今はそれを筋力、パワーへと変換している段階です。7月初旬にMAX測定があるので、そこを目指してパワー、筋力を上げていきます。そして測定が終わったら、再び①に戻ります。9月にはシーズンが始まりますが、ここではまだまだたくさん負荷をかけていき、10月後半~11月に照準を合わせて、ここにフィジカルのピークを持って行くことをイメージしています」(友岡)
友岡和彦GM
「正しいトレーニングをしっかりやれば、強くなるのはごく普通のこと。ウエイトトレーニングは、やればやるだけ効果が出る。だから、まだまだ強くなれるはず。それとファンダメンタルについても、ヘッズアップフットボールができてきている。安全に対する意識は、かなり高まっていると思う」(ジャバリ)
ジャバリ・ミラー
パフォーマンスコーチ
安全のため、チームは体重管理を徹底している。身長比で適正体重を算出して、ポジション別に体重のノルマを設定し、クリアできない選手は練習でも試合でもプレーをさせない。その上で5月後半にスタートしたのが、短期増量プロジェクトだ。オフェンスライン(OL)とディフェンスバック(DB)の体重をアップさせたい選手11人を対象に、食生活を管理。1日3回の食事の間で2~3時間おきにサプリメントと捕食を摂取させ、筋肉量を増やす試みを行っている。今回のプロジェクトの具体的内容について、ニュートリションを担当する管理栄養士・小井土幸恵は語る。
「増量のための食事量の目安は1日4500kcal(サプリメントのカロリーは除く)。大きなポイントは、炭水化物とたんぱく質をしっかり摂ること、そして、そのタイミングをよく考えることです。毎日摂取するたんぱく質の総量は、体重(㎏)×2g量。そして1回あたりの摂取量目安はたんぱく質量として0.25g/体重kg(体重80kgの人で20g)で考えています。選ばれた11人の選手については毎食の写真をメッセージアプリで送ってもらい、それに対して全体量が足りているか、栄養素の偏りがないか、などを都度フィードバック。それを普段の食事に反映してもらうようにアドバイスしています。
食事は朝昼晩の3食に加えて捕食を摂ってもらっています。選手は3回の食事に加えておにぎり3個、バナナ3本、卵5個を各自で用意して持ち歩き、食事の間に食べます。朝食後の午前中におにぎりとバナナ1本、昼食後の午後、夕方までにバナナとソイフィットバー、そして日中で卵を5個。そして午後からウエイトトレーニングをしますが、その前後にプロテイン。そして練習前にBCAAとマルトデキストリンを摂り、5時半からグラウンドで練習。9時ごろに練習が終わるとすぐにプロテインと糖質を摂取し、その後、帰宅前にバナナやおにぎり、あんパンなどを食べてもらい、家に帰ったらパワーシェイクを飲んで夕食。就寝前にカゼインプロテイン、という流れです。選手には、その日に食べたものを翌日9時までに送ってもらいます」
小井土幸恵 管理栄養士
小井土幸恵 管理栄養士
90年代から長年にわたり、関東学生リーグのトップレベルのチームあり続ける法政大学アメリカンフットボール部。一方で、環境面のハンデを抱えているのも確かだ。そのうち一つが、キャンパスとグラウンドの場所が離れており、移動の手間がかかること。選手は市ヶ谷や多摩のキャンパスで授業を受けてから、午後~夕方にかけて川崎市の武蔵小杉にあるグラウンドへ移動。5時半ごろから夜9時過ぎまで練習やミーティングを行い、帰宅するのは深夜。武蔵小杉から自宅まで1時間以上かけて帰宅する選手もざらで、多くの選手が自宅で食事を終えるのは深夜12時近くになる。
「夕食の時間がここまで遅いことは正直、想定していませんでした。本当は夕食後に夜食を摂ってほしいところですが、なかなか難しいのが現状です。特に下級生は帰宅が深夜になり、翌日も午前から授業があることも多く、睡眠時間を十分に確保し切れなかったり、食欲が湧かずに朝食をしっかり摂る時間がなかったり、というケースもあります。できれば朝はしっかりと食べてほしいのですが、食欲がない時は最低でも、シリアルと牛乳にPro-Xを加えて摂ってもらうよう指導しています」(小井土)
「理想はいくらでも言えるけれど、現場ではそうもいかないことも多々あります。チームの環境を整えていくには、お金と時間が必要です。何もかも理想通りにはいきませんから、ベストが無理であればセカンドベスト、サードベストを提案していくしかない。大切なのは、現状の環境の中で最善のチョイスをしていくことです」(友岡)
7月末現在、はっきりと増量の成果が出ている選手と、まだ出ていない選手に分かれているのが現状だ。
「このひと月で一番増えた選手で3㎏強のアップです。大きくなっているのは主にOLの選手で、DBの選手は頑張ってはいるものの、まだまだという印象です。DBには食が細い選手もおり、何かしらの工夫が必要かもしれません。またDBの場合、体重が重くなってもフィジカルテストの成績が落ちてしまっては成功といえない。増量プロジェクトがパフォーマンスの妨げにならないよう、注意していきます」(小井土)
現在、チーム作りとフィジカル強化においてコーチ陣が特に気を使っているのが、選手達のモチベーションの維持。ほとんどの選手が高いモチベーションで練習や試合に臨んでいるのは確かだが、気持ちにムラがある選手も散見される。どんなに優れたプログラムでも、同じメニューばかりを提供し続けていれば、慣れよって伸びが鈍化する。選手達のモチベーションを保つためにも、期分けなどでメニューに変化をつけることは大切だ。
「大事なのはしっかり褒めること。高いモチベーションを持って記録が伸びている選手が称賛される文化を作ることが大事です。それがないと、頑張っている人が『頑張らなくていいのか』と流されてしまう。褒めることで選手のモチベーションを保たせる。それが、チーム全体の意識を高いものにしていきます」(友岡)
「あえて言うけれど、みんなまだまだ自覚が足りない。オレ達が手取り足取り何でもやってあげるようじゃ、決して一流の選手にはなれない。与えられた環境の中でただやっているだけじゃ、絶対に勝てない。だから、過度に甘やかしたらダメだと思っている。みんなまだまだメンタルが弱い。もっとハングリーになってほしい。口で何を言おうとも、プレーですべてがわかってしまうからね。何も言わず、やる。それだけ」(ジャバリ)
チームにまだまだ課題は多いが、選手達のフィジカルレベルが確実に向上していることは確かだ。
「MAX測定の結果だけを見れば、もしかすると数値はそれほど大きく伸びていないかもしれない。でも、今年は例えばスクワットの足の角度など、フォームにきちんと基準を設け、それを守ることを徹底しています。だから、フットボールに還元される実際のフィジカルが向上していることは間違いない。
友岡和彦GM
これまで多くのアスリートのトレーニングを見てきましたが、優れた選手は『頑張り抜く』ことができる。『頑張る』のは当たり前。そうじゃなく『頑張り抜く』。『走る』じゃなくて『走り抜く』。『やる』じゃなくて『やり切る』ことを意識するように、と選手達には伝えています。一人でも多くに、それを気づかせていきたいです」(友岡)
法政オレンジの改革はまだ、始まったばかりだ。本企画では引き続きチームのフィジカルアップの軌跡と、11人の選手達の身体作りについてフォローしていく。今シーズンの彼らの活躍に期待したい。
昨年秋に新体制となって関東学生リーグで6勝1敗の好成績を残し、惜しくも甲子園ボウル出場は逃したものの、充実のシーズンを過ごした法政大学オレンジ。今シーズン、チームはフィジカルを前面に押し出した「世界基準のフットボール」の展開を目指す。
(※インタビューは2017年6月に実施)
有澤玄ヘッドコーチ
「チームの方針として、まずは安全管理の徹底を最優先に考えています。では安全をどう担保するか。しっかりとフィジカルトレーニングを積み、アメリカンフットボール選手の身体を作ることです。身体ができていないことは、大きなケガにつながります。安全はフィジカルと基本技術の向上から。フィジカルの強化が安全の確保とチームの強化につながっていきます」
語るのは、今年就任した有澤玄ヘッドコーチ。今季、法政オレンジが目指すのは「フィジカルで圧倒するフットボール」。今年の春のシーズン、チームはオープン戦の結果にこだわることなく、フィジカルの強化とブロッキング、タックリングなどファンダメンタルの徹底をはかった。
「目先の勝ちばかりにこだわると、安全を担保できなくなります。ケガをしてしまった選手が、負傷を隠すような環境はよくない。もちろんスポーツですから勝ちたいとは思いますし、勝つために全力を尽くします。でも、勝利至上主義になってはいけない。われわれが目指すのは、フィジカルで圧倒する世界基準のチーム。フィジカルで圧倒できれば安全なフットボールが実現される。そして強くて、愛されるチームになる。そんな理想を掲げています」
友岡和彦GM
有澤玄ヘッドコーチ
ストレングス&コンディショニングについては、昨年からチームを見ているドームアスリートハウスGM友岡和彦がプラン作成を行い、今年就任したパフォーマンスコーチ(兼DBコーチ)のジャバリ・ミラーが、日常のトレーニングを指導する。今年度のフィジカル強化方針について、二人はこう語る。
「チームを見るようになったのが昨年9月なので、昨シーズンは時間が足らず、ウエイトトレーニングのフォームを固め切れませんでした。そのため今年はフォーム作りを徹底。シーズンインの段階で、1年間しっかりとトレーニングできるよう、正しいフォームをしっかりと作り込んでいきました。
年間計画としては、1年を①筋肥大②最大筋力向上③パワーの養成をテーマに3つに期分けし、各期3~6週間を継続しながら繰り返していきます。いわゆるブロックピリオダイゼーションです。①でベースとなる筋肉量を上げ、②で挙上できるMAX重量のアップを狙い、③で爆発力を養うため、高重量を速く挙げる総合的パワー(筋力×スピード)を作っていく。そんなイメージです。ずっと同じメニューばかりだと、トレーニング効果はどうしても停滞しますから、リーグ戦や試験のスケジュールも考慮しながら、トレーニングメニューに波を持たせています。
ジャバリ・ミラー
パフォーマンスコーチ
今年のシーズンイン当初、まずは身体を大きくするために①を5~6週間+αと長めに取りました。そして春のオープン戦が終わった今現在(6月下旬)は、②から③へと移行したところ。春先に最低限のバルクアップはできたので、今はそれを筋力、パワーへと変換している段階です。7月初旬にMAX測定があるので、そこを目指してパワー、筋力を上げていきます。そして測定が終わったら、再び①に戻ります。9月にはシーズンが始まりますが、ここではまだまだたくさん負荷をかけていき、10月後半~11月に照準を合わせて、ここにフィジカルのピークを持って行くことをイメージしています」(友岡)
友岡和彦GM
「正しいトレーニングをしっかりやれば、強くなるのはごく普通のこと。ウエイトトレーニングは、やればやるだけ効果が出る。だから、まだまだ強くなれるはず。それとファンダメンタルについても、ヘッズアップフットボールができてきている。安全に対する意識は、かなり高まっていると思う」(ジャバリ)
ジャバリ・ミラー
パフォーマンスコーチ
安全のため、チームは体重管理を徹底している。身長比で適正体重を算出して、ポジション別に体重のノルマを設定し、クリアできない選手は練習でも試合でもプレーをさせない。その上で5月後半にスタートしたのが、短期増量プロジェクトだ。オフェンスライン(OL)とディフェンスバック(DB)の体重をアップさせたい選手11人を対象に、食生活を管理。1日3回の食事の間で2~3時間おきにサプリメントと捕食を摂取させ、筋肉量を増やす試みを行っている。今回のプロジェクトの具体的内容について、ニュートリションを担当する管理栄養士・小井土幸恵は語る。
「増量のための食事量の目安は1日4500kcal(サプリメントのカロリーは除く)。大きなポイントは、炭水化物とたんぱく質をしっかり摂ること、そして、そのタイミングをよく考えることです。毎日摂取するたんぱく質の総量は、体重(㎏)×2g量。そして1回あたりの摂取量目安はたんぱく質量として0.25g/体重kg(体重80kgの人で20g)で考えています。選ばれた11人の選手については毎食の写真をメッセージアプリで送ってもらい、それに対して全体量が足りているか、栄養素の偏りがないか、などを都度フィードバック。それを普段の食事に反映してもらうようにアドバイスしています。
食事は朝昼晩の3食に加えて捕食を摂ってもらっています。選手は3回の食事に加えておにぎり3個、バナナ3本、卵5個を各自で用意して持ち歩き、食事の間に食べます。朝食後の午前中におにぎりとバナナ1本、昼食後の午後、夕方までにバナナとソイフィットバー、そして日中で卵を5個。そして午後からウエイトトレーニングをしますが、その前後にプロテイン。そして練習前にBCAAとマルトデキストリンを摂り、5時半からグラウンドで練習。9時ごろに練習が終わるとすぐにプロテインと糖質を摂取し、その後、帰宅前にバナナやおにぎり、あんパンなどを食べてもらい、家に帰ったらパワーシェイクを飲んで夕食。就寝前にカゼインプロテイン、という流れです。選手には、その日に食べたものを翌日9時までに送ってもらいます」
小井土幸恵 管理栄養士
小井土幸恵 管理栄養士
90年代から長年にわたり、関東学生リーグのトップレベルのチームあり続ける法政大学アメリカンフットボール部。一方で、環境面のハンデを抱えているのも確かだ。そのうち一つが、キャンパスとグラウンドの場所が離れており、移動の手間がかかること。選手は市ヶ谷や多摩のキャンパスで授業を受けてから、午後~夕方にかけて川崎市の武蔵小杉にあるグラウンドへ移動。5時半ごろから夜9時過ぎまで練習やミーティングを行い、帰宅するのは深夜。武蔵小杉から自宅まで1時間以上かけて帰宅する選手もざらで、多くの選手が自宅で食事を終えるのは深夜12時近くになる。
「夕食の時間がここまで遅いことは正直、想定していませんでした。本当は夕食後に夜食を摂ってほしいところですが、なかなか難しいのが現状です。特に下級生は帰宅が深夜になり、翌日も午前から授業があることも多く、睡眠時間を十分に確保し切れなかったり、食欲が湧かずに朝食をしっかり摂る時間がなかったり、というケースもあります。できれば朝はしっかりと食べてほしいのですが、食欲がない時は最低でも、シリアルと牛乳にPro-Xを加えて摂ってもらうよう指導しています」(小井土)
「理想はいくらでも言えるけれど、現場ではそうもいかないことも多々あります。チームの環境を整えていくには、お金と時間が必要です。何もかも理想通りにはいきませんから、ベストが無理であればセカンドベスト、サードベストを提案していくしかない。大切なのは、現状の環境の中で最善のチョイスをしていくことです」(友岡)
7月末現在、はっきりと増量の成果が出ている選手と、まだ出ていない選手に分かれているのが現状だ。
「このひと月で一番増えた選手で3㎏強のアップです。大きくなっているのは主にOLの選手で、DBの選手は頑張ってはいるものの、まだまだという印象です。DBには食が細い選手もおり、何かしらの工夫が必要かもしれません。またDBの場合、体重が重くなってもフィジカルテストの成績が落ちてしまっては成功といえない。増量プロジェクトがパフォーマンスの妨げにならないよう、注意していきます」(小井土)
現在、チーム作りとフィジカル強化においてコーチ陣が特に気を使っているのが、選手達のモチベーションの維持。ほとんどの選手が高いモチベーションで練習や試合に臨んでいるのは確かだが、気持ちにムラがある選手も散見される。どんなに優れたプログラムでも、同じメニューばかりを提供し続けていれば、慣れよって伸びが鈍化する。選手達のモチベーションを保つためにも、期分けなどでメニューに変化をつけることは大切だ。
「大事なのはしっかり褒めること。高いモチベーションを持って記録が伸びている選手が称賛される文化を作ることが大事です。それがないと、頑張っている人が『頑張らなくていいのか』と流されてしまう。褒めることで選手のモチベーションを保たせる。それが、チーム全体の意識を高いものにしていきます」(友岡)
「あえて言うけれど、みんなまだまだ自覚が足りない。オレ達が手取り足取り何でもやってあげるようじゃ、決して一流の選手にはなれない。与えられた環境の中でただやっているだけじゃ、絶対に勝てない。だから、過度に甘やかしたらダメだと思っている。みんなまだまだメンタルが弱い。もっとハングリーになってほしい。口で何を言おうとも、プレーですべてがわかってしまうからね。何も言わず、やる。それだけ」(ジャバリ)
チームにまだまだ課題は多いが、選手達のフィジカルレベルが確実に向上していることは確かだ。
「MAX測定の結果だけを見れば、もしかすると数値はそれほど大きく伸びていないかもしれない。でも、今年は例えばスクワットの足の角度など、フォームにきちんと基準を設け、それを守ることを徹底しています。だから、フットボールに還元される実際のフィジカルが向上していることは間違いない。
友岡和彦GM
これまで多くのアスリートのトレーニングを見てきましたが、優れた選手は『頑張り抜く』ことができる。『頑張る』のは当たり前。そうじゃなく『頑張り抜く』。『走る』じゃなくて『走り抜く』。『やる』じゃなくて『やり切る』ことを意識するように、と選手達には伝えています。一人でも多くに、それを気づかせていきたいです」(友岡)
法政オレンジの改革はまだ、始まったばかりだ。本企画では引き続きチームのフィジカルアップの軌跡と、11人の選手達の身体作りについてフォローしていく。今シーズンの彼らの活躍に期待したい。