健康・体力・美容UP

Part 71 プーリー・ボールクランチ

Part 71 「プーリー・ボールクランチ」

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Part 71 プーリー・ボールクランチ

Part 71 「プーリー・ボールクランチ」

  • 目  的:腹直筋を主とした腹筋群の発達
  • メリット:腹直筋をストレッチさせつつ、負荷をかけることができる

ベンチプレスでは大胸筋、スクワットでは大腿四頭筋やハムストリングがボトムポジションにおいてストレッチされる。ダンベルフライやインクラインカールなどでは、動作中に対象筋群がストレッチされていることを感じる場合も多いだろう。
いっぽうで通常の腹筋運動、すなわちクランチやリバースクランチ、シットアップなどにおいて、腹筋群のストレッチは起こらない。ほとんどの腹筋エクササイズは、上体がまっすぐの状態から前に倒すだけだ。
しかし実際のところ、腹筋の可動域は前方に比べ、後方のほうが大きいのである。クランチのトップポジションと、うつ伏せになって上体反らしをしたときのポジションとを比べてみよう。後者のほうが明らかに大きく曲がっていることが分かるはずだ。
つまり普通のエクササイズでは、腹筋の可動域の半分以下しか使っていないということになる。これでは最大の効果は望むべくもない。

そこで腹筋をストレッチできる手軽なエクササイズとして、ボールクランチが浮上してくる。ボールの上に仰向けになってクランチを行うことにより、ボールの曲面に沿って腹筋群をストレッチできるわけだ。
これはバランスをとる必要もあるため、より多くのモーターユニットを使うことにもなり、腹筋のエクササイズとしては非常に有効なものとなる。
実際に測定した研究でも、不安定な場所で行うほうが、安定した場所で行うよりも腹筋群の筋活動が大きくなることが示されている。(※1、※2)

ただし問題がある。ボールクランチの場合、負荷を強くするのが意外に難しいのだ。頭の後ろにプレートを保持して行うと、重心が頭の方にズレるため、下手をすると頭のほうに転げ落ちてしまいかねない。
身体をしっかり固定するためには腰を低く落とす必要があるのだが、そうすると起きあがったとき(背骨を丸めたとき)に負荷がほとんどかからなくなってしまう。
ボールクランチで体重以上の負荷をかけるためにはどうするか。一つの方法として、ここで紹介する「プーリー・ボールクランチ」が解決策となろう。


プーリー・ボールクランチのやり方

  • 1. ロープを保持してボールの上に仰向けになる。
  • 2. やや腰を落とし、身体を安定させる。
  • 3. クランチの要領で、背骨を丸め込みながら上体を起こす。
  • 4. 外腹斜筋を刺激したい場合は、上体をひねりながら起こすようにする。
スタート フィニッシュ
20170420_1.jpg 20170420_2.jpg

<ひねった場合>

このように腰を落とした状態で行うことで、バランスを崩すことなく腹筋群に負荷をかけることが可能となる。
実際に測定した研究でも、マシンを使ったクランチより、ボールを使って負荷をかけた腹筋エクササイズのほうが高い筋活動を示している。(※3)


なおホームトレーニーなどでロープーリーが使えない場合、次のようにダンベルを使って足を固定する方法もある。

ダンベルを使って足を固定する方法

  • 1. ボールの前に重めのダンベルを二つ並べて置く。
  • 2. ダンベルのシャフトに足(つま先)を入れる。
  • 3. その状態で、頭の後ろにプレートなどを保持してボールクランチを行う。

こうすれば負荷を与えてもバランスを崩すこともなく、安定して行うことができる。ただし腸腰筋への負荷も少し高くなってしまうが。
なお小さめのボールの方が半径は小さいため、曲率は大きくなり、よりストレッチできる。最初は大きめのボールで試し、慣れてきたら小さめのボールに変えていくと良いだろう。

【参考文献】

  • 1:Abdominal muscle response during curl-ups on both stable and labile surfaces.Phys Ther. 2000 Jun;80(6):564-9.
  • 2:Changes in muscle activity and perceived exertion during exercises performed on a swiss ball.Appl Physiol Nutr Metab. 2006 Aug;31(4):376-83.
  • 3:Swiss ball abdominal crunch with added elastic resistance is an effective alternative to training machines.Int J Sports Phys Ther. 2012 Aug;7(4):372-80.
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  • 目  的:腹直筋を主とした腹筋群の発達
  • メリット:腹直筋をストレッチさせつつ、負荷をかけることができる

ベンチプレスでは大胸筋、スクワットでは大腿四頭筋やハムストリングがボトムポジションにおいてストレッチされる。ダンベルフライやインクラインカールなどでは、動作中に対象筋群がストレッチされていることを感じる場合も多いだろう。
いっぽうで通常の腹筋運動、すなわちクランチやリバースクランチ、シットアップなどにおいて、腹筋群のストレッチは起こらない。ほとんどの腹筋エクササイズは、上体がまっすぐの状態から前に倒すだけだ。
しかし実際のところ、腹筋の可動域は前方に比べ、後方のほうが大きいのである。クランチのトップポジションと、うつ伏せになって上体反らしをしたときのポジションとを比べてみよう。後者のほうが明らかに大きく曲がっていることが分かるはずだ。
つまり普通のエクササイズでは、腹筋の可動域の半分以下しか使っていないということになる。これでは最大の効果は望むべくもない。

そこで腹筋をストレッチできる手軽なエクササイズとして、ボールクランチが浮上してくる。ボールの上に仰向けになってクランチを行うことにより、ボールの曲面に沿って腹筋群をストレッチできるわけだ。
これはバランスをとる必要もあるため、より多くのモーターユニットを使うことにもなり、腹筋のエクササイズとしては非常に有効なものとなる。
実際に測定した研究でも、不安定な場所で行うほうが、安定した場所で行うよりも腹筋群の筋活動が大きくなることが示されている。(※1、※2)

ただし問題がある。ボールクランチの場合、負荷を強くするのが意外に難しいのだ。頭の後ろにプレートを保持して行うと、重心が頭の方にズレるため、下手をすると頭のほうに転げ落ちてしまいかねない。
身体をしっかり固定するためには腰を低く落とす必要があるのだが、そうすると起きあがったとき(背骨を丸めたとき)に負荷がほとんどかからなくなってしまう。
ボールクランチで体重以上の負荷をかけるためにはどうするか。一つの方法として、ここで紹介する「プーリー・ボールクランチ」が解決策となろう。


プーリー・ボールクランチのやり方

  • 1. ロープを保持してボールの上に仰向けになる。
  • 2. やや腰を落とし、身体を安定させる。
  • 3. クランチの要領で、背骨を丸め込みながら上体を起こす。
  • 4. 外腹斜筋を刺激したい場合は、上体をひねりながら起こすようにする。
スタート フィニッシュ
20170420_1.jpg 20170420_2.jpg

<ひねった場合>

このように腰を落とした状態で行うことで、バランスを崩すことなく腹筋群に負荷をかけることが可能となる。
実際に測定した研究でも、マシンを使ったクランチより、ボールを使って負荷をかけた腹筋エクササイズのほうが高い筋活動を示している。(※3)


なおホームトレーニーなどでロープーリーが使えない場合、次のようにダンベルを使って足を固定する方法もある。

ダンベルを使って足を固定する方法

  • 1. ボールの前に重めのダンベルを二つ並べて置く。
  • 2. ダンベルのシャフトに足(つま先)を入れる。
  • 3. その状態で、頭の後ろにプレートなどを保持してボールクランチを行う。

こうすれば負荷を与えてもバランスを崩すこともなく、安定して行うことができる。ただし腸腰筋への負荷も少し高くなってしまうが。
なお小さめのボールの方が半径は小さいため、曲率は大きくなり、よりストレッチできる。最初は大きめのボールで試し、慣れてきたら小さめのボールに変えていくと良いだろう。

【参考文献】

  • 1:Abdominal muscle response during curl-ups on both stable and labile surfaces.Phys Ther. 2000 Jun;80(6):564-9.
  • 2:Changes in muscle activity and perceived exertion during exercises performed on a swiss ball.Appl Physiol Nutr Metab. 2006 Aug;31(4):376-83.
  • 3:Swiss ball abdominal crunch with added elastic resistance is an effective alternative to training machines.Int J Sports Phys Ther. 2012 Aug;7(4):372-80.