競技パフォーマンスUP
目 的: | 筋力向上、スピード向上パフォーマンスアップ |
メリット: | 効率的なトレーニング |
「モーターユニット」という言葉がある。
これは1本の神経と、それが支配している筋繊維のことを指す。
そしてモーターユニットの数や1本の神経が支配している筋繊維の数は、筋肉の部位によって異なってくる。
例えば広頚筋のモーターユニット数は1096であり、1本の神経が支配する筋繊維数は25だ。
これに対して腓腹筋のモーターユニット数は579であり、1本の神経が支配する筋繊維数は1934となる。
一般に顔面や頸、指のように複雑な動きをする部位はモーターユニット数が多く、支配する筋繊維数は少なくなる。
逆に単純な動きをする部位はモーターユニット数が少なく、支配する筋繊維数が多くなる。
エクササイズについても同じことがいえる。
ベンチプレスやスクワットなどをフリーウェイトで行う場合は複雑な動きとなるため、動員されるモーターユニット数は多くなる。
逆にカーフレイズをマシンで行うような場合は単純な動きであるため、モーターユニットはあまり動員されない。
ウェイトトレーニングの効率を高めるためには、できるだけ多くの筋繊維を使うことが必要だ。多くのモーターユニットを動員できれば、それだけ多くの筋繊維を働かせることができる。そのためにはヘビーウェイトを用いることが重要だが、軽い重量でも多くのモーターユニットを動員させる方法がある。
それが「爆発的挙上」だ。一気にウェイトを持ち上げることで、多くのモーターユニットを動員することができるのだ。 (※1)
18~19歳のトレーニング経験のある若者20名を被験者として、3週間のベンチプレスを行わせた研究がある。
10名には爆発的に挙上するように伝え、残りの10名には自由に行わせた。
爆発的挙上グループは、平均0.8秒で挙上していた。下ろすときの速度は2秒。
自由に挙げたグループは平均1.3秒で挙上し、下ろすときの速度は1.5秒だった。
使用重量はどちらのグループも55%1RMであった。
このトレーニングを週2回行ったところ、爆発的挙上グループは10.2%の最大筋力向上と2.22%の最大速度向上が見られたのである。自由グループはどちらも向上が見られなかった。 (※2)
55%1RMという軽い重量でも、爆発的に挙げることで筋力が向上したのだ。
ヘビーにトレーニングしているが、なかなか筋力とスピードが高まらないと感じるウォリアーは、重量を軽くして爆発的に挙上するトレーニングを採り入れるといいかもしれない。
爆発的挙上は主に速筋繊維を刺激する。ということは、持久力系競技に効果はないのだろうか?
そうでもない。持久力系競技のアスリートが9週間にわたってさまざまなジャンプやレッグエクステンション、レッグプレスなどを爆発的に行ったところ、対照群と比較して5000mのランニングタイムが顕著に向上していたのだ。 (※3)
爆発的な挙上において、ケガをする危険性は高まるのであろうか。
それも心配ない。高齢女性を対象に行った研究で、12週間に渡って高重量・爆発的挙上タイプのエクササイズを行ったところ、安全に筋力を増加させることができている。 (※4)
また38名の老齢男女を対象に40%1RMでスピーディーに行う群と80%1RMで普通に行う群、対照群に分けて12週間のトレーニングを行ったところ、最大筋力とパワーの向上に違いはなかった。そしてピーク速度は40%1RMで行った群のほうが高まっていたという。 (※5)
スピーディーに行うこと自体はそれほどケガを誘発せず、使用重量が軽くなる分だけむしろ安全性は高まる。
普段とは違った刺激を与えることによって筋力とパワーを伸ばすだけでなく、スピードも高められるかもしれない。
「どうも最近伸び悩んでいる」というウォリアーは、試しに使用重量を軽くし、爆発的に挙げる期間を設けてみてはどうだろうか。
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(Part を65読む) |
◆目的
筋力向上、スピード向上パフォーマンスアップ
◆メリット
効率的なトレーニング
「モーターユニット」という言葉がある。
これは1本の神経と、それが支配している筋繊維のことを指す。
そしてモーターユニットの数や1本の神経が支配している筋繊維の数は、筋肉の部位によって異なってくる。
例えば広頚筋のモーターユニット数は1096であり、1本の神経が支配する筋繊維数は25だ。
これに対して腓腹筋のモーターユニット数は579であり、1本の神経が支配する筋繊維数は1934となる。
一般に顔面や頸、指のように複雑な動きをする部位はモーターユニット数が多く、支配する筋繊維数は少なくなる。
逆に単純な動きをする部位はモーターユニット数が少なく、支配する筋繊維数が多くなる。
エクササイズについても同じことがいえる。
ベンチプレスやスクワットなどをフリーウェイトで行う場合は複雑な動きとなるため、動員されるモーターユニット数は多くなる。
逆にカーフレイズをマシンで行うような場合は単純な動きであるため、モーターユニットはあまり動員されない。
ウェイトトレーニングの効率を高めるためには、できるだけ多くの筋繊維を使うことが必要だ。多くのモーターユニットを動員できれば、それだけ多くの筋繊維を働かせることができる。そのためにはヘビーウェイトを用いることが重要だが、軽い重量でも多くのモーターユニットを動員させる方法がある。
それが「爆発的挙上」だ。一気にウェイトを持ち上げることで、多くのモーターユニットを動員することができるのだ。 (※1)
18~19歳のトレーニング経験のある若者20名を被験者として、3週間のベンチプレスを行わせた研究がある。
10名には爆発的に挙上するように伝え、残りの10名には自由に行わせた。
爆発的挙上グループは、平均0.8秒で挙上していた。下ろすときの速度は2秒。
自由に挙げたグループは平均1.3秒で挙上し、下ろすときの速度は1.5秒だった。
使用重量はどちらのグループも55%1RMであった。
このトレーニングを週2回行ったところ、爆発的挙上グループは10.2%の最大筋力向上と2.22%の最大速度向上が見られたのである。自由グループはどちらも向上が見られなかった。 (※2)
55%1RMという軽い重量でも、爆発的に挙げることで筋力が向上したのだ。
ヘビーにトレーニングしているが、なかなか筋力とスピードが高まらないと感じるウォリアーは、重量を軽くして爆発的に挙上するトレーニングを採り入れるといいかもしれない。
爆発的挙上は主に速筋繊維を刺激する。ということは、持久力系競技に効果はないのだろうか?
そうでもない。持久力系競技のアスリートが9週間にわたってさまざまなジャンプやレッグエクステンション、レッグプレスなどを爆発的に行ったところ、対照群と比較して5000mのランニングタイムが顕著に向上していたのだ。 (※3)
爆発的な挙上において、ケガをする危険性は高まるのであろうか。
それも心配ない。高齢女性を対象に行った研究で、12週間に渡って高重量・爆発的挙上タイプのエクササイズを行ったところ、安全に筋力を増加させることができている。 (※4)
また38名の老齢男女を対象に40%1RMでスピーディーに行う群と80%1RMで普通に行う群、対照群に分けて12週間のトレーニングを行ったところ、最大筋力とパワーの向上に違いはなかった。そしてピーク速度は40%1RMで行った群のほうが高まっていたという。 (※5)
スピーディーに行うこと自体はそれほどケガを誘発せず、使用重量が軽くなる分だけむしろ安全性は高まる。
普段とは違った刺激を与えることによって筋力とパワーを伸ばすだけでなく、スピードも高められるかもしれない。
「どうも最近伸び悩んでいる」というウォリアーは、試しに使用重量を軽くし、爆発的に挙げる期間を設けてみてはどうだろうか。
Mr.D