競技パフォーマンスUP
史上最多となる甲子園ボウル優勝27回を誇る、名門・関西学院大アメリカンフットボール部ファイターズ。昨年は宿敵・立命館大に敗れ、捲土重来を誓う今年は、身体をより大きくすることにフォーカス。打倒立命館と大学王座奪回、そして社会人チームに勝利しての日本一を目指す。彼らのフィジカルアップへの取り組みについて、大村和輝アシスタントヘッドコーチ、油谷浩之ストレングスコーチに話をうかがった。
(※インタビューは、2016年9月に実施。)
「われわれの最大の目標は、日本選手権(ライスボウル)で社会人チームに勝ち、真の日本一になること。サイズの大きい社会人チームとの戦いを想定すると、まずは身体を大きくして、その上でスピードをつける。そのやり方がベストだと考えています。
ウエイトトレーニングにしっかりと取り組むのは、もちろん例年のこと。しかし昨年までは、秋の肝心な試合の前に身体がしぼむ傾向がありました。毎年春にフィジカルをしっかりやっても、試合が近づき実戦練習が増える夏の終わりぐらいから、どうしても筋力が落ちてしまう。毎年、その繰り返しでした。
でも今年に関しては、その課題をある程度解決できています。今は秋のシーズン中ですが、ここ数年で最も大きなサイズを保てている。トレーニングで扱う重量も、大きく伸びており、ここまでゲームをこなしてきた中で当たり負けもしておりません。身体作りは非常に上手くいっています」
大村和輝アシスタントヘッドコーチはそう語る。今シーズン、ファイターズの選手達のサイズが大きいことには、いくつかの理由がある。そのうち一つが、トレーニング施設の充実だ。今年2月に大学の新しいトレーニング施設が完成。これまでの朝10時から夕方までだったオープン時間が長くなったことでスケジュールが組みやすくなった。
油谷浩之ストレングスコーチは語る。「今年は、早朝からウエイトトレーニングに取り組んでいます。ジムの開館と閉館の時間を延ばしてもらえたことで、選手達は余裕を持ってトレーニングできている。おかげで、皆よう膨らんでいますわ(笑)」
トレーニングメニューの作成は、油谷コーチと学生トレーナーが行っている。目標とする社会人リーグの選手のサイズを基準に、必要なトレーニングメニューとクリアすべき重量をポジション別に設定。そして体重のノルマを設け、それを割り込む選手はグラウンドでの練習に参加させない決まりになっている。
「ノルマは、例え十分な技術があっても関係ありません。筋肉や体脂肪の少ないペラペラの身体で100㎏クラスの選手に思い切りヒットされたら、大ケガをしてしまいます。そのため、体重が際どいところにある選手は皆、朝から一所懸命食べてトレーニングしています」(大村)
選手のサイズが大型化したもう一つの理由。それは、栄養摂取と疲労回復のマネージメント強化だ。選手達は朝のウエイトトレーニング前後にプロテインを摂取。トレーニング後は学校の食堂で朝食を摂る。その後に今年から昼寝を取り入れ、全員で睡眠を取って超回復を図る。そして各自で昼食を摂りながらミーティング、そして授業への出席をすませ、グラウンドでの練習に入る。
「朝のウエイトトレーニング後に朝食会を行っています。学食で選手用の朝食を作ってもらい、特に一人暮らしのメンバーや体重の軽いメンバーは、そこでしっかり食べさせています。そして、昼寝。昨年まで休養に関しては個人任せでしたが、今年は全員で昼寝をさせて、リカバリーについても管理しています。
そして、16時ころから19時ごろまで行われるグラウンド練習の途中に『サプリメントタイム』を2回設けています。何を摂るかは選手に任せており、主にゼリーやドリンク、おにぎりなど。各自で用意したものを学生トレーナーがチェックし、持参し忘れた場合は、買いに行かせます。また練習中は糖質を水に溶かしたものを飲ませ、血糖値が下がらないよう工夫しています」(大村)
「今は、トレーニングしてサプリメントを摂れば無条件に身体が大きくなる時代ではありません。なぜなら学生達は学業をしっかりとこなさなくてはなりませんし、スマートフォンなど、便利ですが時には生活のじゃまになるものが身近にあります。彼らは多くのストレスを抱え、交感神経と副交感神経の切り替えが難しい生活をしている。それらの要素は明らかに、彼らが大きくなることを阻害します。でも昼寝を取り入れたことで、そのストレスを多少、緩和することができている。今年の選手達のサイズが大きいのは、これらの取り組みによるところが大きいです」(油谷)
ファイターズは今シーズンの関西学生リーグで順調に勝ち星を積み重ね、全勝をキープ。しかし、大村コーチは現状にまったく満足していない。
「ぜんぜんダメです。なぜなら、学生達がまだ考えられていないから。原因の多くは4年生にあります。彼らは入学してから2年間、上級生に引っ張ってもらって学生日本一を経験してきました。そのため生みの苦しみを味わっておらず、甘えて育っていることは否定できません。
ウチはそもそも、コーチ陣が手取り足取り世話してあげるチームではありません。こちらはヒントだけは与えますが、考えるのは学生。特に4年生です。彼ら自身が日本一になるにはどうすればいいのかを考え、悩み、行動し、強さを積み上げていく。それがファイターズのやり方ですが、今年のチームはまだ、その域に達していないのが現状です」
史上最多となる甲子園ボウル優勝27回を誇る、名門・関西学院大アメリカンフットボール部ファイターズ。昨年は宿敵・立命館大に敗れ、捲土重来を誓う今年は、身体をより大きくすることにフォーカス。打倒立命館と大学王座奪回、そして社会人チームに勝利しての日本一を目指す。彼らのフィジカルアップへの取り組みについて、大村和輝アシスタントヘッドコーチ、油谷浩之ストレングスコーチに話をうかがった。
(※インタビューは、2016年9月に実施。)
「われわれの最大の目標は、日本選手権(ライスボウル)で社会人チームに勝ち、真の日本一になること。サイズの大きい社会人チームとの戦いを想定すると、まずは身体を大きくして、その上でスピードをつける。そのやり方がベストだと考えています。
ウエイトトレーニングにしっかりと取り組むのは、もちろん例年のこと。しかし昨年までは、秋の肝心な試合の前に身体がしぼむ傾向がありました。毎年春にフィジカルをしっかりやっても、試合が近づき実戦練習が増える夏の終わりぐらいから、どうしても筋力が落ちてしまう。毎年、その繰り返しでした。
でも今年に関しては、その課題をある程度解決できています。今は秋のシーズン中ですが、ここ数年で最も大きなサイズを保てている。トレーニングで扱う重量も、大きく伸びており、ここまでゲームをこなしてきた中で当たり負けもしておりません。身体作りは非常に上手くいっています」
大村和輝アシスタントヘッドコーチはそう語る。今シーズン、ファイターズの選手達のサイズが大きいことには、いくつかの理由がある。そのうち一つが、トレーニング施設の充実だ。今年2月に大学の新しいトレーニング施設が完成。これまでの朝10時から夕方までだったオープン時間が長くなったことでスケジュールが組みやすくなった。
油谷浩之ストレングスコーチは語る。「今年は、早朝からウエイトトレーニングに取り組んでいます。ジムの開館と閉館の時間を延ばしてもらえたことで、選手達は余裕を持ってトレーニングできている。おかげで、皆よう膨らんでいますわ(笑)」
トレーニングメニューの作成は、油谷コーチと学生トレーナーが行っている。目標とする社会人リーグの選手のサイズを基準に、必要なトレーニングメニューとクリアすべき重量をポジション別に設定。そして体重のノルマを設け、それを割り込む選手はグラウンドでの練習に参加させない決まりになっている。
「ノルマは、例え十分な技術があっても関係ありません。筋肉や体脂肪の少ないペラペラの身体で100㎏クラスの選手に思い切りヒットされたら、大ケガをしてしまいます。そのため、体重が際どいところにある選手は皆、朝から一所懸命食べてトレーニングしています」(大村)
選手のサイズが大型化したもう一つの理由。それは、栄養摂取と疲労回復のマネージメント強化だ。選手達は朝のウエイトトレーニング前後にプロテインを摂取。トレーニング後は学校の食堂で朝食を摂る。その後に今年から昼寝を取り入れ、全員で睡眠を取って超回復を図る。そして各自で昼食を摂りながらミーティング、そして授業への出席をすませ、グラウンドでの練習に入る。
「朝のウエイトトレーニング後に朝食会を行っています。学食で選手用の朝食を作ってもらい、特に一人暮らしのメンバーや体重の軽いメンバーは、そこでしっかり食べさせています。そして、昼寝。昨年まで休養に関しては個人任せでしたが、今年は全員で昼寝をさせて、リカバリーについても管理しています。
そして、16時ころから19時ごろまで行われるグラウンド練習の途中に『サプリメントタイム』を2回設けています。何を摂るかは選手に任せており、主にゼリーやドリンク、おにぎりなど。各自で用意したものを学生トレーナーがチェックし、持参し忘れた場合は、買いに行かせます。また練習中は糖質を水に溶かしたものを飲ませ、血糖値が下がらないよう工夫しています」(大村)
「今は、トレーニングしてサプリメントを摂れば無条件に身体が大きくなる時代ではありません。なぜなら学生達は学業をしっかりとこなさなくてはなりませんし、スマートフォンなど、便利ですが時には生活のじゃまになるものが身近にあります。彼らは多くのストレスを抱え、交感神経と副交感神経の切り替えが難しい生活をしている。それらの要素は明らかに、彼らが大きくなることを阻害します。でも昼寝を取り入れたことで、そのストレスを多少、緩和することができている。今年の選手達のサイズが大きいのは、これらの取り組みによるところが大きいです」(油谷)
ファイターズは今シーズンの関西学生リーグで順調に勝ち星を積み重ね、全勝をキープ。しかし、大村コーチは現状にまったく満足していない。
「ぜんぜんダメです。なぜなら、学生達がまだ考えられていないから。原因の多くは4年生にあります。彼らは入学してから2年間、上級生に引っ張ってもらって学生日本一を経験してきました。そのため生みの苦しみを味わっておらず、甘えて育っていることは否定できません。
ウチはそもそも、コーチ陣が手取り足取り世話してあげるチームではありません。こちらはヒントだけは与えますが、考えるのは学生。特に4年生です。彼ら自身が日本一になるにはどうすればいいのかを考え、悩み、行動し、強さを積み上げていく。それがファイターズのやり方ですが、今年のチームはまだ、その域に達していないのが現状です」