健康・体力・美容UP
まだまだとめどなく吹き出る汗。残暑のなかで闘うウォリアーの勲章だ。
しかし、身近過ぎて気づかないこともある。いつものことだからと流れ出る汗をそのままに放置しておくと、突然パフォーマンスが低下する。集中力が落ち、思うように身体が動かず、何が何だかわからないうちに試合が終了してしまう。終わってからも体調が悪い・・
これは脱水によるものだ。体重の1%の水が失われるだけでパフォーマンスの低下が起こるのだが、喉の渇きを感じるのは既に2%が失われた時点だ。そして3%が失われるとパフォーマンスの低下と集中力の低下が自覚されるようになる。つまり喉の渇きを感じる前に、水分を補給しておかねばならない。
ただし「ただの水」を飲むだけではダメだ。汗をかくとき、同時にミネラルも流出している。このとき「ただの水」を大量に飲むと、体内のミネラル濃度が低下する。つまり体液が薄まるわけだ。
体液が薄まるのは問題だ。そこで逆に水の排出を増やし、体液を濃くしようとする働きが起こる。この現象を「自発的脱水」と呼ぶ。つまり水を飲めば飲むほど、自発的脱水により体内から水が排出されるという悪循環に陥ってしまうのである。
すなわち、汗をかいたときに補給すべきなのは、水だけではない。ミネラルも補給する必要があるのだ。
なおミネラルのうち、ナトリウムやカリウム、カルシウム、マグネシウムなどは水に溶けることによって電気を通す性質を持っている。これらを特に電解質(イオン)と呼ぶ。
ミネラルが必要なのは自発的脱水を防止するためだけではない。ミネラルそのものに、重要な作用が存在するのだ。
マラソンのTV中継を見ていると、練習では調子よく走れていたはずの選手が、本番だと調子を崩すことがある。急にペースが落ちたり、脚が攣ってしまったりする。レース後半で良く起こるため、「35キロの壁」と言われているそうだ。
これはミネラルの不足によるものである。では、詳しく解説していこう。
自発的脱水を防ぐためのポイントとなるミネラル、それは細胞外液の主要成分であるナトリウムだ。日本体育協会のガイドラインでは「0.1~0.2%の食塩」が推奨されている。つまり1000mlの水を飲むときは、1000~2000mgの食塩を同時に摂取すれば良いわけだ。
ざっと「1リットルあたり、1~2gの食塩」と覚えておくと良いだろう。
なおナトリウム量に2.54をかけると食塩相当量になる。つまり1~2gの食塩は、だいたい400~800mgのナトリウムを含むことになる。
「ナトリウムを摂る」というと、血圧が心配になるウォリアーも多いだろう。しかしここでは汗で流出した分を補うだけなので、まったく問題はない。
逆にナトリウムの不足のほうが問題である。ナトリウムの不足が続くと、骨からナトリウムを取り出そうとする働きが起こる。さらにそのとき、同時にカルシウムやマグネシウムも骨から取り出されてしまうのだ。一日に2.2gのナトリウム(塩分として約5.6g)の食事を10日間続けたところ、尿中に排出されるカルシウムとマグネシウムの量が格段に増えてしまったという報告もある。(※1)
またIOM(米国医学研究所)の発表では、「心臓に問題を抱える人が塩分摂取を減らし過ぎると、かえってリスクが高まる」とされている。(※2)
さらにCDC(アメリカ疾病予防管理センター)の設定した「一日1500~2300mg以下」にすると、かえって死亡率が高くなったというメタ・アナリシスもある。(※3)
ウォリアーはナトリウムが不足しないように、しっかりと塩分を摂取しておくようにしなければならない。
他にも気を付けて摂取したいミネラルは存在する。また、それに有効なサプリメントもある。
それについては次号で説明しよう。
まだまだとめどなく吹き出る汗。残暑のなかで闘うウォリアーの勲章だ。
しかし、身近過ぎて気づかないこともある。いつものことだからと流れ出る汗をそのままに放置しておくと、突然パフォーマンスが低下する。集中力が落ち、思うように身体が動かず、何が何だかわからないうちに試合が終了してしまう。終わってからも体調が悪い・・
これは脱水によるものだ。体重の1%の水が失われるだけでパフォーマンスの低下が起こるのだが、喉の渇きを感じるのは既に2%が失われた時点だ。そして3%が失われるとパフォーマンスの低下と集中力の低下が自覚されるようになる。つまり喉の渇きを感じる前に、水分を補給しておかねばならない。
ただし「ただの水」を飲むだけではダメだ。汗をかくとき、同時にミネラルも流出している。このとき「ただの水」を大量に飲むと、体内のミネラル濃度が低下する。つまり体液が薄まるわけだ。
体液が薄まるのは問題だ。そこで逆に水の排出を増やし、体液を濃くしようとする働きが起こる。この現象を「自発的脱水」と呼ぶ。つまり水を飲めば飲むほど、自発的脱水により体内から水が排出されるという悪循環に陥ってしまうのである。
すなわち、汗をかいたときに補給すべきなのは、水だけではない。ミネラルも補給する必要があるのだ。
なおミネラルのうち、ナトリウムやカリウム、カルシウム、マグネシウムなどは水に溶けることによって電気を通す性質を持っている。これらを特に電解質(イオン)と呼ぶ。
ミネラルが必要なのは自発的脱水を防止するためだけではない。ミネラルそのものに、重要な作用が存在するのだ。
マラソンのTV中継を見ていると、練習では調子よく走れていたはずの選手が、本番だと調子を崩すことがある。急にペースが落ちたり、脚が攣ってしまったりする。レース後半で良く起こるため、「35キロの壁」と言われているそうだ。
これはミネラルの不足によるものである。では、詳しく解説していこう。
自発的脱水を防ぐためのポイントとなるミネラル、それは細胞外液の主要成分であるナトリウムだ。日本体育協会のガイドラインでは「0.1~0.2%の食塩」が推奨されている。つまり1000mlの水を飲むときは、1000~2000mgの食塩を同時に摂取すれば良いわけだ。
ざっと「1リットルあたり、1~2gの食塩」と覚えておくと良いだろう。
なおナトリウム量に2.54をかけると食塩相当量になる。つまり1~2gの食塩は、だいたい400~800mgのナトリウムを含むことになる。
「ナトリウムを摂る」というと、血圧が心配になるウォリアーも多いだろう。しかしここでは汗で流出した分を補うだけなので、まったく問題はない。
逆にナトリウムの不足のほうが問題である。ナトリウムの不足が続くと、骨からナトリウムを取り出そうとする働きが起こる。さらにそのとき、同時にカルシウムやマグネシウムも骨から取り出されてしまうのだ。一日に2.2gのナトリウム(塩分として約5.6g)の食事を10日間続けたところ、尿中に排出されるカルシウムとマグネシウムの量が格段に増えてしまったという報告もある。(※1)
またIOM(米国医学研究所)の発表では、「心臓に問題を抱える人が塩分摂取を減らし過ぎると、かえってリスクが高まる」とされている。(※2)
さらにCDC(アメリカ疾病予防管理センター)の設定した「一日1500~2300mg以下」にすると、かえって死亡率が高くなったというメタ・アナリシスもある。(※3)
ウォリアーはナトリウムが不足しないように、しっかりと塩分を摂取しておくようにしなければならない。
他にも気を付けて摂取したいミネラルは存在する。また、それに有効なサプリメントもある。
それについては次号で説明しよう。