競技パフォーマンスUP

Part 50  「回復期に行うトレーニングとは」

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Part 50  「回復期に行うトレーニングとは」

Part 50  「回復期に行うトレーニングとは」

目  的: 筋肉や関節、神経系の疲労回復。全身のコーディネーション改善
メリット: ケガの予防、筋力維持、トレーニング再開時にフレッシュな刺激を得られる

■筋肉が発達するメカニズムとは

「筋肉が強くなるのは、超回復によるものだ」。一般的にはそう考えられている。トレーニングという刺激によって筋肉は損傷して疲労困憊(ひろうこんぱい)し、一時的に筋肉がダメージを受ける。そして回復し、元の水準に戻る。
さらに時間が経過すると、同じような刺激によって筋肉が壊されてしまわないように、元のレベル以上に大きく、強くなる。この現象が一般的に「超回復」と呼ばれるものだ。
しかし、そうではない。「筋肉の超回復」は長きに渡って「グリコーゲンの超回復」と混同されていたのだ。いわゆるカーボ・ローディングのことであり、「トレーニング後、枯渇したグリコーゲンが36~72時間後に元の状態よりも多く蓄積される」現象のことが、いつの間にか筋発達にも適用されるようになってしまったのである。

では、実際に筋肉が発達するメカニズムとはなにか。それは「ストレスに対する適応現象」だ。
ウォリアーの身体がストレスを受けると、それに「適応」しようとする。この「適応」は3段階に分けられ、それぞれ「警告反応期」、「抵抗期」、「疲弊期」と呼ばれる。なお警告反応期は「ショック相」と「抗ショック相」とに分けることができる。
トレーニングをしたことのない人が、いきなりハードにトレーニングしたとする。翌日は強烈な筋肉痛に見舞われるだろう。これが「ショック相」だ。しかし数日経てば痛みは消える。それが「抗ショック相」である。
そしてトレーニングを続けているうちに、筋肉が強く大きくなってくる。それが「抵抗期」だ。しかしトレーニングを無茶に続けていると、オーバーワークになってしまう。それが「疲弊期」である。
つまり継続的に筋肉を発達させていくためには、疲弊期に陥ることなく、「警告反応期(トレーニングでフレッシュな刺激を与える)」と「抵抗期(筋肉が強くなる)」を繰り返すようにしなければならない。そのためにはどうすればよいのだろうか。

■アクティブレストとは

疲弊期になる前に、完全休養するというのも一つの方法である。休みを入れることで筋肉や神経、関節は回復し、トレーニング再開時に新鮮な刺激を得ることができるだろう。
しかし、もっとよい方法がある。それが「アクティブレスト(積極的休養)」だ。
アスリートがシーズンオフに普段とはまったく違うスポーツをやるという方法も、アクティブレストの一つだ。野球選手がバスケットをやったり、ゴルファーが水泳をやったりすることで、普段と違う筋肉を刺激し、いっぽうで普段使われている筋肉を休めることができる。

さて、ウォリアーの皆さんはウェイトリフティングのトレーニング方法を知っているだろうか。毎日のようにスナッチやジャークを高重量で行い、何セットも繰り返す。しかしそれでもオーバーワークにはならない。
その理由の一つとして、「全身運動」だということが挙げられる。特定の筋肉だけを鍛えるわけではなく、全身に負荷を分散させて行うエクササイズなので、疲労が特定の部位に蓄積するということがないのだ。またスナッチもジャークもポジティブのみの負荷であり、ネガティブでの負荷がかからないということも理由として考えられる。
このような全身運動はウォリアーのアクティブレストに最適である。ただしスナッチやジャークはフォームが難しいため、「ハング・プル」や「プッシュ・プレス」、「ケトルベル・クリーン」などがいいだろう。

【ハング・プル】
【プッシュ・プレス】
【ケトルベル・クリーン】

全身を爆発的に連動させるエクササイズはモーターユニットの動員数を高め、多くの筋肉を連動させるコーディネーション改善に効果的となる。
もちろん疲労困憊(ひろうこんぱい)するまでやるのではなく、各セットとも余裕のあるところで止めるようにしたい。
アクティブレストとしてこれらのエクササイズを数週間行い、また通常のトレーニングプログラムに戻る。これまでとは違った感覚でエクササイズの効果を感じることができるはずだ。

 

(Part 49を読む)
(Part 51を読む)

 

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◆目的
筋肉や関節、神経系の疲労回復。全身のコーディネーション改善

◆メリット
ケガの予防、筋力維持、トレーニング再開時にフレッシュな刺激を得られる

■筋肉が発達するメカニズムとは

「筋肉が強くなるのは、超回復によるものだ」。一般的にはそう考えられている。トレーニングという刺激によって筋肉は損傷して疲労困憊(ひろうこんぱい)し、一時的に筋肉がダメージを受ける。そして回復し、元の水準に戻る。
さらに時間が経過すると、同じような刺激によって筋肉が壊されてしまわないように、元のレベル以上に大きく、強くなる。この現象が一般的に「超回復」と呼ばれるものだ。
しかし、そうではない。「筋肉の超回復」は長きに渡って「グリコーゲンの超回復」と混同されていたのだ。いわゆるカーボ・ローディングのことであり、「トレーニング後、枯渇したグリコーゲンが36~72時間後に元の状態よりも多く蓄積される」現象のことが、いつの間にか筋発達にも適用されるようになってしまったのである。

では、実際に筋肉が発達するメカニズムとはなにか。それは「ストレスに対する適応現象」だ。
ウォリアーの身体がストレスを受けると、それに「適応」しようとする。この「適応」は3段階に分けられ、それぞれ「警告反応期」、「抵抗期」、「疲弊期」と呼ばれる。なお警告反応期は「ショック相」と「抗ショック相」とに分けることができる。
トレーニングをしたことのない人が、いきなりハードにトレーニングしたとする。翌日は強烈な筋肉痛に見舞われるだろう。これが「ショック相」だ。しかし数日経てば痛みは消える。それが「抗ショック相」である。
そしてトレーニングを続けているうちに、筋肉が強く大きくなってくる。それが「抵抗期」だ。しかしトレーニングを無茶に続けていると、オーバーワークになってしまう。それが「疲弊期」である。
つまり継続的に筋肉を発達させていくためには、疲弊期に陥ることなく、「警告反応期(トレーニングでフレッシュな刺激を与える)」と「抵抗期(筋肉が強くなる)」を繰り返すようにしなければならない。そのためにはどうすればよいのだろうか。

■アクティブレストとは

疲弊期になる前に、完全休養するというのも一つの方法である。休みを入れることで筋肉や神経、関節は回復し、トレーニング再開時に新鮮な刺激を得ることができるだろう。
しかし、もっとよい方法がある。それが「アクティブレスト(積極的休養)」だ。
アスリートがシーズンオフに普段とはまったく違うスポーツをやるという方法も、アクティブレストの一つだ。野球選手がバスケットをやったり、ゴルファーが水泳をやったりすることで、普段と違う筋肉を刺激し、いっぽうで普段使われている筋肉を休めることができる。

さて、ウォリアーの皆さんはウェイトリフティングのトレーニング方法を知っているだろうか。毎日のようにスナッチやジャークを高重量で行い、何セットも繰り返す。しかしそれでもオーバーワークにはならない。
その理由の一つとして、「全身運動」だということが挙げられる。特定の筋肉だけを鍛えるわけではなく、全身に負荷を分散させて行うエクササイズなので、疲労が特定の部位に蓄積するということがないのだ。またスナッチもジャークもポジティブのみの負荷であり、ネガティブでの負荷がかからないということも理由として考えられる。
このような全身運動はウォリアーのアクティブレストに最適である。ただしスナッチやジャークはフォームが難しいため、「ハング・プル」や「プッシュ・プレス」、「ケトルベル・クリーン」などがいいだろう。

【ハング・プル】
【プッシュ・プレス】
【ケトルベル・クリーン】

全身を爆発的に連動させるエクササイズはモーターユニットの動員数を高め、多くの筋肉を連動させるコーディネーション改善に効果的となる。
もちろん疲労困憊(ひろうこんぱい)するまでやるのではなく、各セットとも余裕のあるところで止めるようにしたい。
アクティブレストとしてこれらのエクササイズを数週間行い、また通常のトレーニングプログラムに戻る。これまでとは違った感覚でエクササイズの効果を感じることができるはずだ。

 

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