体重・筋量UP

Part 61 「 デッドストップ・スクワット ~アンダーソン・スクワットとは?」

Part 61 「 デッドストップ・スクワット ~アンダーソン・スクワットとは?」

DESIRE TO EVOLUTION

体重・筋量UP

Part 61 「 デッドストップ・スクワット ~アンダーソン・スクワットとは?」

Part 61 「 デッドストップ・スクワット ~アンダーソン・スクワットとは?」

目  的: スクワットの使用重量向上、下肢および体幹部の筋力向上
メリット: 関節への負担を僅少にして爆発的パワーを得ることができる

競技能力を向上させるためのトレーニングとして、プライオメトリクスがある。デプスジャンプやハードルホップなどは、多くのウォリアーが練習に採り入れているはずだ。
なぜプライオメトリクスを行うのか。それはSSCを利用して運動能力を向上させるためである。SSCとはStretch-Shortening Cycleのことだ。
筋肉や腱は急激に引き延ばされると、断裂してしまわないように収縮しようとする特性がある。これを「伸張反射」と呼び、通常よりも強い力で収縮することができる。また筋肉や腱にはエラスチンという弾性を持つ繊維があり、これが引き延ばされると弾性エネルギーによりゴムが縮むように、強く収縮しようとするのである。これらの働きにより、SSCが起こる。

誰でもジャンプするときには、一度しゃがんでから一気に膝を伸ばそうとするだろう。一度しゃがんでから切り返すことで、より高くジャンプできるからだ。これぞSSCの働きである。
また通常のウェイトトレーニングにおいても、弱いながらも自然とSSCが起こってくる。スクワットやベンチプレス、チンニングなどのエクササイズをイメージしてみよう。多くの場合、ボトムまで下ろしてから一気に持ち上げようとするはずだ。ここではSSCが起こっているのである。

参考記事
Part 45 「SSCを応用したエクササイズ」

しかし伸展反射や弾性エネルギーに頼り過ぎるのも問題である。ボトムポジションでの筋力が鍛えられないのだ。
スプリントにおけるスタートダッシュやPK時におけるキーパー、アメフトのスナップ後など、多くの競技において「静から動」の動きが重要となる。「動から動」ならばSSCが使えるが、「静から動」の場合は使えない。
「静から動」の能力を高める方法の一つとして、「ストップ&ゴー」というやり方がある。これはボトムで一瞬だけ静止し、静止した状態から一気に挙げるというものだ。

参考記事
Part 19「エクスプロッシブ・エクササイズ」

ストップ&ゴーの考え方をさらに進めたものとして、「デッドストップ」という方法がある。ストップ&ゴーではボトムで力を入れた状態を続けるが、デッドストップの場合はボトムにおいてウェイトを床やセーフティバーに置いて一度完全に力を抜き、そこから力を入れなおして挙げるのである。以前に紹介した「クラスター・トレーニング」も、デッドストップの応用である。

参考記事
Part 39 「クラスター・トレーニングでデッドリフトを伸ばせ!」

今回お勧めするのはスクワットをデッドストップで行うもので、これは特に「アンダーソン・スクワット」と呼ばれる。1950年代に大活躍したポール・アンダーソンというウェイトリフターが好んだ方法のためそのように呼ばれるのだが、彼は非公認ながら、なんと540kgのスクワットに成功したと言われているのである。

アンダーソン・スクワットを行うためには、セーフティバーが必要だ。セーフティバーの高さは目的によって変わってくるが、最初はしゃがんだときに大腿部が地面と平行になるところでシャフトがセーフティに当たるくらいの高さで良いだろう。
そしてシャフトを担ぎ、ゆっくりとしゃがんでセーフティバーにバーが触れるまで下ろす。
ここで力を抜き、1秒ほど休んで脱力し、そこから一気に力を入れて爆発的に立ち上がる。これを3~5レップス行う。

【スタート】
【ボトム】
【アンダーソン・スクワット(バックスクワット編)】

なお、この方法はフロントスクワットでも応用できる。フロントスクワットはバーの位置を定めにくく、数レップス行うだけで肩からバーが外れそうになってしまうことがある。しかしデッドストップ・フロントスクワットなら1レップ毎に位置を確保できるため、その問題がない。

【スタート】
【ボトム】
【アンダーソン・スクワット(フロントスクワット編)】

スクワットをやるといつもボトムで力が入らず、つぶれそうになってしまうというウォリアーには特に有効である。静から動への動きを高めたいウォリアーにも、ぜひ試して欲しい。

Mr.D

 



Mr.D
栄養・サプリメント・トレーニングについて、聞けば全てに答えを持っているウォリアー界の生き字引的存在。数々の有名選手のパフォーマンスアップの裏にもMr.Dの存在が…。

Share
twitter
facebook
印刷用ページへ

◆目的
スクワットの使用重量向上、下肢および体幹部の筋力向上

◆メリット
関節への負担を僅少にして爆発的パワーを得ることができる

競技能力を向上させるためのトレーニングとして、プライオメトリクスがある。デプスジャンプやハードルホップなどは、多くのウォリアーが練習に採り入れているはずだ。
なぜプライオメトリクスを行うのか。それはSSCを利用して運動能力を向上させるためである。SSCとはStretch-Shortening Cycleのことだ。
筋肉や腱は急激に引き延ばされると、断裂してしまわないように収縮しようとする特性がある。これを「伸張反射」と呼び、通常よりも強い力で収縮することができる。また筋肉や腱にはエラスチンという弾性を持つ繊維があり、これが引き延ばされると弾性エネルギーによりゴムが縮むように、強く収縮しようとするのである。これらの働きにより、SSCが起こる。

誰でもジャンプするときには、一度しゃがんでから一気に膝を伸ばそうとするだろう。一度しゃがんでから切り返すことで、より高くジャンプできるからだ。これぞSSCの働きである。
また通常のウェイトトレーニングにおいても、弱いながらも自然とSSCが起こってくる。スクワットやベンチプレス、チンニングなどのエクササイズをイメージしてみよう。多くの場合、ボトムまで下ろしてから一気に持ち上げようとするはずだ。ここではSSCが起こっているのである。

参考記事
Part 45 「SSCを応用したエクササイズ」

しかし伸展反射や弾性エネルギーに頼り過ぎるのも問題である。ボトムポジションでの筋力が鍛えられないのだ。
スプリントにおけるスタートダッシュやPK時におけるキーパー、アメフトのスナップ後など、多くの競技において「静から動」の動きが重要となる。「動から動」ならばSSCが使えるが、「静から動」の場合は使えない。
「静から動」の能力を高める方法の一つとして、「ストップ&ゴー」というやり方がある。これはボトムで一瞬だけ静止し、静止した状態から一気に挙げるというものだ。

参考記事
Part 19「エクスプロッシブ・エクササイズ」

ストップ&ゴーの考え方をさらに進めたものとして、「デッドストップ」という方法がある。ストップ&ゴーではボトムで力を入れた状態を続けるが、デッドストップの場合はボトムにおいてウェイトを床やセーフティバーに置いて一度完全に力を抜き、そこから力を入れなおして挙げるのである。以前に紹介した「クラスター・トレーニング」も、デッドストップの応用である。

参考記事
Part 39 「クラスター・トレーニングでデッドリフトを伸ばせ!」

今回お勧めするのはスクワットをデッドストップで行うもので、これは特に「アンダーソン・スクワット」と呼ばれる。1950年代に大活躍したポール・アンダーソンというウェイトリフターが好んだ方法のためそのように呼ばれるのだが、彼は非公認ながら、なんと540kgのスクワットに成功したと言われているのである。

アンダーソン・スクワットを行うためには、セーフティバーが必要だ。セーフティバーの高さは目的によって変わってくるが、最初はしゃがんだときに大腿部が地面と平行になるところでシャフトがセーフティに当たるくらいの高さで良いだろう。
そしてシャフトを担ぎ、ゆっくりとしゃがんでセーフティバーにバーが触れるまで下ろす。
ここで力を抜き、1秒ほど休んで脱力し、そこから一気に力を入れて爆発的に立ち上がる。これを3~5レップス行う。

【スタート】
【ボトム】
【アンダーソン・スクワット(バックスクワット編)】

なお、この方法はフロントスクワットでも応用できる。フロントスクワットはバーの位置を定めにくく、数レップス行うだけで肩からバーが外れそうになってしまうことがある。しかしデッドストップ・フロントスクワットなら1レップ毎に位置を確保できるため、その問題がない。

【スタート】
【ボトム】
【アンダーソン・スクワット(フロントスクワット編)】

スクワットをやるといつもボトムで力が入らず、つぶれそうになってしまうというウォリアーには特に有効である。静から動への動きを高めたいウォリアーにも、ぜひ試して欲しい。

Mr.D

 



Mr.D
栄養・サプリメント・トレーニングについて、聞けば全てに答えを持っているウォリアー界の生き字引的存在。数々の有名選手のパフォーマンスアップの裏にもMr.Dの存在が…。