体重・筋量UP
目的:筋力増加、筋肥大
メリット:トレーニングのレベルアップ、怪我の防止
「Three more reps!」「もっと追い込め!」
ハードなトレーニングはウォリアーの代名詞だ。何万回も素振りをしたり、ダッシュを何十本も繰り返したり、フリースローを何千回も練習したりといったシーンはスポ根漫画にはつきもの。実際にそれを真似たことのあるウォリアーも多いだろう。
技術的な練習は、動きを身体に覚えこませるために何度も反復する必要がある。では、レジスタンストレーニングも同じように考えていいのだろうか。何十セットもスクワットを行って、最後はへたりこむくらいまで追い込めば、それだけ大きい効果が得られるのだろうか。
真実は真逆である。「やればやるほどいい」という考えはレジスタンストレーニングにおいては間違いだ。レジスタンストレーニングの目的は、あくまでも「発達のためのスイッチを押す」こと。身体が休んでいる時にこそ筋肉は発達しているのだ。大量のセットをこなしたり、ギリギリまで追い込んだりするのは「スイッチを押し続ける」ようなもので、まったく意味がない。いや意味がないばかりか、逆効果だ。
試合後のラグビー選手のホルモン動態を調べた研究では、コルチゾルレベルは試合12時間後に56%、試合36時間後に59%の増加を示している。そして60時間後も34%増加したままであった。
テストステロンは試合12時間後に26%低下し、36時間後は15%低下、60時間後も8%低下したままであった。出力パワーは36時間後も7%低下したままで、60時間後にやっと元のレベルに戻ったのである。(※1)
つまり疲労困憊まで追い込むと、むしろ筋発達に悪影響となる可能性があるのだ。毎日のようにハードに追い込むレジスタンストレーニングを行うのは結局のところ、周りに見栄を張っているだけ。ただの自己満足に過ぎないのだ。
では、追い込まないトレーニングでも効果はあるのだろうか?
26名の男子学生を対象に、12週間にわたって週3回の上腕二頭筋トレーニングを行わせた研究(※2)がある。MAX×85%の重量を使い、あるグループにはギリギリまで追い込ませ、別のグループは1セットで4レップス行うだけにとどめさせた。また別のグループは4レップスだけにとどめ、かつ爆発的にウェイトを挙げるようにした。
その結果、「4レップス&爆発的」が最も筋力が向上した。筋肥大効果は「ギリギリ」と「4レップスのみ」グループとで差がなかった。
また、15名の女性がサイドレイズ(15レップス)を行い、筋電図を調べた研究(※3)では、モーターユニット動員はギリギリまで追い込んでも増加せず、レップスをこなせなくなる3~5回手前の時点で筋活動はプラトーに到達することが判明した。
バスケットボール選手を対象にした11週間にわたる研究(※4)では、11週間にわたって週2回のトレーニング(ベンチプレスとショルダープレス、ラットプルダウン、スクワット、レッグエクステンション、レッグカール、クランチ)を行い、14名の「ギリギリまで追い込むグループ」と、15名の「追い込まないグループ」とで比較している。
ギリギリまで追い込むグループは、8~10レップスできる重量でギリギリまで行い、追い込まないグループは同じ重量で5レップスにとどめた。その結果、ベンチプレスとスクワットどちらも効果に差がなかったのである。
このように、追い込まないトレーニングでも十分に効果はある。レジスタンストレーニングで追い込まないことで、技術練習に体力を割くことができるし、オーバーワークによるケガを避けることもできるだろう。
ガンガンやらないと不安になるかもしれない。しかし追い込まずに我慢ができることも、ウォリアーの大切な資質なのである。
(Part 55を読む) |
(Part 57を読む) |
目的:筋力増加、筋肥大
メリット:トレーニングのレベルアップ、怪我の防止
「Three more reps!」「もっと追い込め!」
ハードなトレーニングはウォリアーの代名詞だ。何万回も素振りをしたり、ダッシュを何十本も繰り返したり、フリースローを何千回も練習したりといったシーンはスポ根漫画にはつきもの。実際にそれを真似たことのあるウォリアーも多いだろう。
技術的な練習は、動きを身体に覚えこませるために何度も反復する必要がある。では、レジスタンストレーニングも同じように考えていいのだろうか。何十セットもスクワットを行って、最後はへたりこむくらいまで追い込めば、それだけ大きい効果が得られるのだろうか。
真実は真逆である。「やればやるほどいい」という考えはレジスタンストレーニングにおいては間違いだ。レジスタンストレーニングの目的は、あくまでも「発達のためのスイッチを押す」こと。身体が休んでいる時にこそ筋肉は発達しているのだ。大量のセットをこなしたり、ギリギリまで追い込んだりするのは「スイッチを押し続ける」ようなもので、まったく意味がない。いや意味がないばかりか、逆効果だ。
試合後のラグビー選手のホルモン動態を調べた研究では、コルチゾルレベルは試合12時間後に56%、試合36時間後に59%の増加を示している。そして60時間後も34%増加したままであった。
テストステロンは試合12時間後に26%低下し、36時間後は15%低下、60時間後も8%低下したままであった。出力パワーは36時間後も7%低下したままで、60時間後にやっと元のレベルに戻ったのである。(※1)
つまり疲労困憊まで追い込むと、むしろ筋発達に悪影響となる可能性があるのだ。毎日のようにハードに追い込むレジスタンストレーニングを行うのは結局のところ、周りに見栄を張っているだけ。ただの自己満足に過ぎないのだ。
では、追い込まないトレーニングでも効果はあるのだろうか?
26名の男子学生を対象に、12週間にわたって週3回の上腕二頭筋トレーニングを行わせた研究(※2)がある。MAX×85%の重量を使い、あるグループにはギリギリまで追い込ませ、別のグループは1セットで4レップス行うだけにとどめさせた。また別のグループは4レップスだけにとどめ、かつ爆発的にウェイトを挙げるようにした。
その結果、「4レップス&爆発的」が最も筋力が向上した。筋肥大効果は「ギリギリ」と「4レップスのみ」グループとで差がなかった。
また、15名の女性がサイドレイズ(15レップス)を行い、筋電図を調べた研究(※3)では、モーターユニット動員はギリギリまで追い込んでも増加せず、レップスをこなせなくなる3~5回手前の時点で筋活動はプラトーに到達することが判明した。
バスケットボール選手を対象にした11週間にわたる研究(※4)では、11週間にわたって週2回のトレーニング(ベンチプレスとショルダープレス、ラットプルダウン、スクワット、レッグエクステンション、レッグカール、クランチ)を行い、14名の「ギリギリまで追い込むグループ」と、15名の「追い込まないグループ」とで比較している。
ギリギリまで追い込むグループは、8~10レップスできる重量でギリギリまで行い、追い込まないグループは同じ重量で5レップスにとどめた。その結果、ベンチプレスとスクワットどちらも効果に差がなかったのである。
このように、追い込まないトレーニングでも十分に効果はある。レジスタンストレーニングで追い込まないことで、技術練習に体力を割くことができるし、オーバーワークによるケガを避けることもできるだろう。
ガンガンやらないと不安になるかもしれない。しかし追い込まずに我慢ができることも、ウォリアーの大切な資質なのである。
(Part 55を読む) |
(Part 57を読む) |