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勝利のためのアミノ酸 ~BCAAの多彩な効果とは

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勝利のためのアミノ酸 ~BCAAの多彩な効果とは

勝利のためのアミノ酸 ~BCAAの多彩な効果とは

ウォリアーの肉体は20種類のアミノ酸から作られている。DNAの設計図の通りにアミノ酸がさまざまな順番で並べられ、骨や筋肉、内臓、血液などを構成するたんぱく質が合成されていく。

このアミノ酸はどこから来ているのか。まずは「外部から取り入れるアミノ酸」。つまり食事やプロテインで摂取するたんぱく質である。そして「体内で再生産されるアミノ酸」もある。ウォリアーの細胞で古いものは壊され、日々、新しいものに作り変えられていく。毎日のようにレゴブロックの家を建て替えているようなものだと思ってほしい。

しかしレゴブロックの家を建て替える時、ピースに当てはまらない仲間外れのブロックが出てしまう。また建て替える時に、多くのブロックが傷ついてしまう。

傷ついたブロック、仲間外れのブロックは身体にとって邪魔なので、体外に排出される。すると当然、ブロックは足りなくなる。新しいブロックを調達するためには、外部から補う必要があるわけだ。

食事やプロテインで摂取するたんぱく質が足りないと、どうなるのか。ブロックが足りなければ、レゴの家は小さくなる。どこが小さくなるのか。内臓や血液は命にとって必須なので、それを小さくするわけにはいかない。つまり、小さくするのは筋肉ということになる。

逆にブロックが十分にあり、「もっと家を大きくしろ」という命令(=トレーニング)が存在すれば、レゴの家を大きくする(=筋肉を増やす)ことができるのである。

 

■BCAAの多彩な働き

1.筋肉のピース

20種類のアミノ酸のうち、特に筋肉に必要とされるものがロイシンとバリン、イソロイシン。この3種類のアミノ酸であり、分岐をもつその特徴的な構造からbranched-chain amino acids、頭文字をとってBCAAと呼ばれる。筋肉に含まれるアミノ酸の35%をBCAAが占めている。

2.筋肉の合成増加

BCAAは筋肉を作るピースとして重要なだけではない。「筋肉を増やせ」というメッセージを伝える働きもしているのである。細胞が増える時にはmTORと呼ばれるシグナル伝達 経路が活性化し、その下流でp70S6kという酵素や4E-BP1と呼ばれるたんぱく質をリン酸化することによって、たんぱく質合成が促進される。BCAAにはこのmTORを活性化する働きがあるのだ。特にロイシンの代謝産物であるHMBに、その働きが強い。

3.集中力の増加

疲労を誘発するといわれている神経伝達物質のセロトニンが脳内に増えてくると、集中力が低下したり、筋収縮の発火頻度が低下したりする可能性がある。BCAAには脳内にセロトニンが増えるのを防ぐ働きがあるため、長時間の運動中でも集中力を維持し、筋力の低下を抑えてくれる。

4.ホルモンレベルの維持

運動時間が長くなるとテストステロンが低下し、コルチゾールが増えてくる。テストステロンは男性ホルモンであり、筋肉を増やして脂肪を減らす働きがある。またコルチゾールは筋肉を分解してしまう作用がある。そのため、長時間の運動はトレーニングの効果を減らし、オーバーワークに陥る可能性を高めてしまう。しかしBCAAには長時間の運動に伴うテストステロンの低下やコルチゾールの増加を防ぐ作用があり、オーバーワークを未然に防いでくれるのだ。

次号にて、BCAAの具体的な摂取方法について紹介しよう。

 

(後編に続く)

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ウォリアーの肉体は20種類のアミノ酸から作られている。DNAの設計図の通りにアミノ酸がさまざまな順番で並べられ、骨や筋肉、内臓、血液などを構成するたんぱく質が合成されていく。

このアミノ酸はどこから来ているのか。まずは「外部から取り入れるアミノ酸」。つまり食事やプロテインで摂取するたんぱく質である。そして「体内で再生産されるアミノ酸」もある。ウォリアーの細胞で古いものは壊され、日々、新しいものに作り変えられていく。毎日のようにレゴブロックの家を建て替えているようなものだと思ってほしい。

しかしレゴブロックの家を建て替える時、ピースに当てはまらない仲間外れのブロックが出てしまう。また建て替える時に、多くのブロックが傷ついてしまう。

傷ついたブロック、仲間外れのブロックは身体にとって邪魔なので、体外に排出される。すると当然、ブロックは足りなくなる。新しいブロックを調達するためには、外部から補う必要があるわけだ。

食事やプロテインで摂取するたんぱく質が足りないと、どうなるのか。ブロックが足りなければ、レゴの家は小さくなる。どこが小さくなるのか。内臓や血液は命にとって必須なので、それを小さくするわけにはいかない。つまり、小さくするのは筋肉ということになる。

逆にブロックが十分にあり、「もっと家を大きくしろ」という命令(=トレーニング)が存在すれば、レゴの家を大きくする(=筋肉を増やす)ことができるのである。

 

■BCAAの多彩な働き

1.筋肉のピース

20種類のアミノ酸のうち、特に筋肉に必要とされるものがロイシンとバリン、イソロイシン。この3種類のアミノ酸であり、分岐をもつその特徴的な構造からbranched-chain amino acids、頭文字をとってBCAAと呼ばれる。筋肉に含まれるアミノ酸の35%をBCAAが占めている。

2.筋肉の合成増加

BCAAは筋肉を作るピースとして重要なだけではない。「筋肉を増やせ」というメッセージを伝える働きもしているのである。細胞が増える時にはmTORと呼ばれるシグナル伝達 経路が活性化し、その下流でp70S6kという酵素や4E-BP1と呼ばれるたんぱく質をリン酸化することによって、たんぱく質合成が促進される。BCAAにはこのmTORを活性化する働きがあるのだ。特にロイシンの代謝産物であるHMBに、その働きが強い。

3.集中力の増加

疲労を誘発するといわれている神経伝達物質のセロトニンが脳内に増えてくると、集中力が低下したり、筋収縮の発火頻度が低下したりする可能性がある。BCAAには脳内にセロトニンが増えるのを防ぐ働きがあるため、長時間の運動中でも集中力を維持し、筋力の低下を抑えてくれる。

4.ホルモンレベルの維持

運動時間が長くなるとテストステロンが低下し、コルチゾールが増えてくる。テストステロンは男性ホルモンであり、筋肉を増やして脂肪を減らす働きがある。またコルチゾールは筋肉を分解してしまう作用がある。そのため、長時間の運動はトレーニングの効果を減らし、オーバーワークに陥る可能性を高めてしまう。しかしBCAAには長時間の運動に伴うテストステロンの低下やコルチゾールの増加を防ぐ作用があり、オーバーワークを未然に防いでくれるのだ。

次号にて、BCAAの具体的な摂取方法について紹介しよう。

 

(後編に続く)