体重・筋量UP

Part 10 「チーティングの正しいやり方」

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Part 10 「チーティングの正しいやり方」

Part 10 「チーティングの正しいやり方」

反動を使ってエクササイズを行うことを、「チーティング(Cheating)」と呼びます。チート(Cheat)というのは本来「ズルをする」という意味で使われます。反動を使ってウェイトを挙げれば、それだけラクに挙げることができますから、確かに「ズルをしている」と言えるでしょう。
しかし、トレーニングにおけるチーティングは、ラクに挙げるためではなく、よりハードに鍛えるために使われるべきテクニックなのです。具体的な例で説明しましょう。

■スティッキング・ポイントとは

ストリクト(反動を使わないフォーム)でギリギリ6回できる重量を選び、バーベルカールをやってみましょう。4~5回目くらいからきつくなってきて、6回目はやっと挙がりました。そして7回目、途中までは肘を曲げることができましたが、それ以上は曲げることができません。
この、肘が「それ以上曲げられずに止まってしまうところ」のことを、「スティッキング・ポイント(Sticking Point)」と呼びます。ベンチプレスだとバーが胸から10cmほど離れた場所、スクワットだと大腿部が地面と平行になったあたりが、一般的なスティッキング・ポイントです。エクササイズにおいて「一番きつくなるところ」、と言い換えることもできます。

さて、普通だとスティッキング・ポイントまで挙げたら、そこでセットは終了です。しかし、パートナーに補助してもらったり(フォースト・レップ)、反動を使ってスティッキング・ポイントを通過させることができれば、セットを継続することができます。
つまり、チーティングとは楽に挙げるためのものではなく、スティッキング・ポイントを通過させるためのテクニックだと考えてください。

■チーティングの悪い例

上体を思いっきり後ろに反らして、バーベルカールを行っているトレーニーを見かけることがあります。確かに、上体を反らすことで腕の角度を変えることができ、スティッキング・ポイントを通過させることはできます。
しかし、上体が後ろに反ったままだと、前腕の角度が地面と垂直に近くなってしまうので、動作の後半にはほとんど上腕に負荷がかかっていないことになります。これでは、「ラクに挙げるためのズル」になってしまうのです。

■正しいチーティングとは

フォースト・レップも同様ですが、チーティングのように自分の力の限界を超えて追い込んでいくテクニックは、簡単にオーバーワークへとつながります。トレーニングがマンネリ化してきたときやプラトー(停滞期)に陥ったときなど、時々行うくらいに留め、あまり常用しないようにしましょう。

では、どうすれば良いのでしょうか。最初から少し膝を曲げたまま、エクササイズを行います。そして、スティッキング・ポイントに到達したら、上体の角度は極力変えずに、軽くジャンプするように膝を伸ばすのです。つまり、真上に勢いをつけることで、バーベルを持ち上げる助けにするわけです。
この方法ですと、反動の力を利用するのは一瞬ですので、スティッキング・ポイント通過後は、また自分の力だけで挙げることになります。このようにしてこそ、「トレーニングをハードにするためのテクニック」と言えるのです。

この方法は、サイドレイズなどにも応用することができます。しかし、この種目でも、上体を思いっきり後ろに反らして行っているトレーニーをよく見掛けます。それでは三角筋に適切な負荷を与えることなどできません。
スティッキング・ポイントに到達したら、やはり軽く膝を伸ばして、真上に勢いをつけて挙げ、上体は極力後ろに反らさないまま行うようにするのです。

上体が反ってしまっているNG例 正しくチーティングが行われている例
上体が反ってしまっているNG例
正しくチーティングが行われている例



フォースト・レップも同様ですが、チーティングのように
自分の力の限界を超えて追い込んでいくテクニックは、簡単にオーバーワークへとつながります。トレーニングがマンネリ化してきたときやプラトー(停滞期)に陥ったときなど、時々行うくらいに留め、あまり常用しないようにしましょう。

 

(Part 9を読む)
(Part 11を読む)

 

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反動を使ってエクササイズを行うことを、「チーティング(Cheating)」と呼びます。チート(Cheat)というのは本来「ズルをする」という意味で使われます。反動を使ってウェイトを挙げれば、それだけラクに挙げることができますから、確かに「ズルをしている」と言えるでしょう。
しかし、トレーニングにおけるチーティングは、ラクに挙げるためではなく、よりハードに鍛えるために使われるべきテクニックなのです。具体的な例で説明しましょう。

■スティッキング・ポイントとは

ストリクト(反動を使わないフォーム)でギリギリ6回できる重量を選び、バーベルカールをやってみましょう。4~5回目くらいからきつくなってきて、6回目はやっと挙がりました。そして7回目、途中までは肘を曲げることができましたが、それ以上は曲げることができません。
この、肘が「それ以上曲げられずに止まってしまうところ」のことを、「スティッキング・ポイント(Sticking Point)」と呼びます。ベンチプレスだとバーが胸から10cmほど離れた場所、スクワットだと大腿部が地面と平行になったあたりが、一般的なスティッキング・ポイントです。エクササイズにおいて「一番きつくなるところ」、と言い換えることもできます。

さて、普通だとスティッキング・ポイントまで挙げたら、そこでセットは終了です。しかし、パートナーに補助してもらったり(フォースト・レップ)、反動を使ってスティッキング・ポイントを通過させることができれば、セットを継続することができます。
つまり、チーティングとは楽に挙げるためのものではなく、スティッキング・ポイントを通過させるためのテクニックだと考えてください。

■チーティングの悪い例

上体を思いっきり後ろに反らして、バーベルカールを行っているトレーニーを見かけることがあります。確かに、上体を反らすことで腕の角度を変えることができ、スティッキング・ポイントを通過させることはできます。
しかし、上体が後ろに反ったままだと、前腕の角度が地面と垂直に近くなってしまうので、動作の後半にはほとんど上腕に負荷がかかっていないことになります。これでは、「ラクに挙げるためのズル」になってしまうのです。

■正しいチーティングとは

フォースト・レップも同様ですが、チーティングのように自分の力の限界を超えて追い込んでいくテクニックは、簡単にオーバーワークへとつながります。トレーニングがマンネリ化してきたときやプラトー(停滞期)に陥ったときなど、時々行うくらいに留め、あまり常用しないようにしましょう。

では、どうすれば良いのでしょうか。最初から少し膝を曲げたまま、エクササイズを行います。そして、スティッキング・ポイントに到達したら、上体の角度は極力変えずに、軽くジャンプするように膝を伸ばすのです。つまり、真上に勢いをつけることで、バーベルを持ち上げる助けにするわけです。
この方法ですと、反動の力を利用するのは一瞬ですので、スティッキング・ポイント通過後は、また自分の力だけで挙げることになります。このようにしてこそ、「トレーニングをハードにするためのテクニック」と言えるのです。

この方法は、サイドレイズなどにも応用することができます。しかし、この種目でも、上体を思いっきり後ろに反らして行っているトレーニーをよく見掛けます。それでは三角筋に適切な負荷を与えることなどできません。
スティッキング・ポイントに到達したら、やはり軽く膝を伸ばして、真上に勢いをつけて挙げ、上体は極力後ろに反らさないまま行うようにするのです。

上体が反ってしまっているNG例 正しくチーティングが行われている例
上体が反ってしまっているNG例
正しくチーティングが行われている例



フォースト・レップも同様ですが、チーティングのように
自分の力の限界を超えて追い込んでいくテクニックは、簡単にオーバーワークへとつながります。トレーニングがマンネリ化してきたときやプラトー(停滞期)に陥ったときなど、時々行うくらいに留め、あまり常用しないようにしましょう。

 

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