健康・体力・美容UP
風邪対策として、前号では十分な睡眠とビタミンAの豊富な食事、そして血行を良くし、リラックスすることが大事だと解説しました。今回は、食事だけでは十分な量を摂りきれない栄養物質、「ビタミンC」と「グルタミン」について紹介していきます。
「風邪にビタミンC」。よく言われる言葉です。最近では、風邪薬にもビタミンCが配合されるようになってきました。しかし、「ビタミンCを飲んでいるのに風邪を引いてしまった」という人もいます。それはどうしてなのでしょうか。
ビタミンCは、「インターフェロン」という免疫物質を生成するときに必要となります。インターフェロンにはウィルスに対抗する作用があるため、ビタミンCを大量に摂取することでインターフェロンの生成量を増やせば、身体を風邪から守ることができるわけです。
しかし、ビタミンCがありさえすれば簡単にインターフェロンが作れるというわけではありません。
インターフェロンを含め、身体がある物質を生成するときには、「酵素」が必要となります。そして酵素は多くの場合、「主酵素」と「補酵素」から構成されているのです。インターフェロンの場合、補酵素となるのがビタミンCです。
ビタミンCの化学構造は決まっていますが、主酵素の構造はDNAによって決定されるため、人によって構造に違いがあるのです。したがって、「補酵素と結合しやすい主酵素の構造を持つ人」もいれば、「補酵素と結合しにくい主酵素の構造を持つ人」もいるわけです。
前者の場合、少ない量の補酵素でも主酵素と結合できるため、ビタミンCの量は少なくても済みます。しかし後者の場合は、かなり大量のビタミンCが存在しないと、主酵素と結びつくことができません。つまり、ビタミンCを飲んでいるのに風邪をひいてしまうという人は、インターフェロン生成に必要な主酵素の構造がビタミンCと結合しにくい可能性があるのです。このような人は、かなり大量にビタミンCを摂取する必要があります。
また、ビタミンCにはインターフェロン生成のほか、コラーゲン合成や活性酸素除去、ニトロソアミン(発がん物質)生成抑制、抗コルチゾル作用、メラニン合成阻害などなど、さまざまな作用があります。これも個体差、すなわちDNAの違いによって、インターフェロン生成が優先される場合もあれば、抗酸化作用のほうが優先される場合もあるわけです。 インターフェロン生成が後回しになっているDNAの持ち主は、他の機能のためにビタミンCが使われてしまうため、免疫が低下しやすくなるのです。このような場合も、やはり大量にビタミンCを摂取する必要があります。
具体的には、一日に2~3グラムを摂取しておけば多くの場合で十分なようです。ちなみに厚生労働省の基準によれば、ビタミンCの「上限量」は存在しません。つまり、過剰摂取による健康障害の心配はないということです。
ビタミンCは一度にまとめて飲むよりも、毎食後に小分けにして飲むようにしたほうが効果的です。一度の量は500mgくらいでいいでしょう。「風邪っぽいな」と感じるときは、1回の摂取量を1000~2000mgくらいずつまで増やすようにします。
アミノ酸の「グルタミン」が不足すると、身体を分解して補う特徴があるので、アスリートにとって重要な栄養物質となっています。しかし、それだけではありません。成長ホルモン分泌作用、グリコーゲン合成促進作用などがあります。その他に、「免疫細胞のエネルギー源」でもあるのです。
また、気道や粘膜にはIgAという異物を除去する免疫物質があるのですが、これを作り出すときにグルタミンとビタミンAが必要になります。
たとえば、身体がストレスにさらされているとき(手術時や感染時、外傷時など)には、免疫システムを維持するため、身体を分解してグルタミンを取り出そうとします。しかし、それにも限りがあるため、血中グルタミンレベルは低下して、免疫も低下してしまうのです。
トレーニングで疲れているときなども、同じような状況に陥ります。身体を分解してしまうだけでなく、免疫も低下させ、風邪をひきやすい状態にしてしまうのです。
ゆえに、トレーニングをハードに行っているときや、風邪をひきやすい季節のときは、グルタミンを「外部から」補給して免疫システムを守ってあげなければいけません。
摂取量としては、普段は一日に5g程度でいいでしょう。トレーニングする日はトレーニング直後、トレーニングしない日は起床直後や食間に飲むようにします。
風邪っぽいなと感じたら、10gは飲むようにしたいところです。トレーニング直後や食間など、5gを2回に分けて飲むようにしてください。
風邪対策として、前号では十分な睡眠とビタミンAの豊富な食事、そして血行を良くし、リラックスすることが大事だと解説しました。今回は、食事だけでは十分な量を摂りきれない栄養物質、「ビタミンC」と「グルタミン」について紹介していきます。
「風邪にビタミンC」。よく言われる言葉です。最近では、風邪薬にもビタミンCが配合されるようになってきました。しかし、「ビタミンCを飲んでいるのに風邪を引いてしまった」という人もいます。それはどうしてなのでしょうか。
ビタミンCは、「インターフェロン」という免疫物質を生成するときに必要となります。インターフェロンにはウィルスに対抗する作用があるため、ビタミンCを大量に摂取することでインターフェロンの生成量を増やせば、身体を風邪から守ることができるわけです。
しかし、ビタミンCがありさえすれば簡単にインターフェロンが作れるというわけではありません。
インターフェロンを含め、身体がある物質を生成するときには、「酵素」が必要となります。そして酵素は多くの場合、「主酵素」と「補酵素」から構成されているのです。インターフェロンの場合、補酵素となるのがビタミンCです。
ビタミンCの化学構造は決まっていますが、主酵素の構造はDNAによって決定されるため、人によって構造に違いがあるのです。したがって、「補酵素と結合しやすい主酵素の構造を持つ人」もいれば、「補酵素と結合しにくい主酵素の構造を持つ人」もいるわけです。
前者の場合、少ない量の補酵素でも主酵素と結合できるため、ビタミンCの量は少なくても済みます。しかし後者の場合は、かなり大量のビタミンCが存在しないと、主酵素と結びつくことができません。つまり、ビタミンCを飲んでいるのに風邪をひいてしまうという人は、インターフェロン生成に必要な主酵素の構造がビタミンCと結合しにくい可能性があるのです。このような人は、かなり大量にビタミンCを摂取する必要があります。
また、ビタミンCにはインターフェロン生成のほか、コラーゲン合成や活性酸素除去、ニトロソアミン(発がん物質)生成抑制、抗コルチゾル作用、メラニン合成阻害などなど、さまざまな作用があります。これも個体差、すなわちDNAの違いによって、インターフェロン生成が優先される場合もあれば、抗酸化作用のほうが優先される場合もあるわけです。 インターフェロン生成が後回しになっているDNAの持ち主は、他の機能のためにビタミンCが使われてしまうため、免疫が低下しやすくなるのです。このような場合も、やはり大量にビタミンCを摂取する必要があります。
具体的には、一日に2~3グラムを摂取しておけば多くの場合で十分なようです。ちなみに厚生労働省の基準によれば、ビタミンCの「上限量」は存在しません。つまり、過剰摂取による健康障害の心配はないということです。
ビタミンCは一度にまとめて飲むよりも、毎食後に小分けにして飲むようにしたほうが効果的です。一度の量は500mgくらいでいいでしょう。「風邪っぽいな」と感じるときは、1回の摂取量を1000~2000mgくらいずつまで増やすようにします。
アミノ酸の「グルタミン」が不足すると、身体を分解して補う特徴があるので、アスリートにとって重要な栄養物質となっています。しかし、それだけではありません。成長ホルモン分泌作用、グリコーゲン合成促進作用などがあります。その他に、「免疫細胞のエネルギー源」でもあるのです。
また、気道や粘膜にはIgAという異物を除去する免疫物質があるのですが、これを作り出すときにグルタミンとビタミンAが必要になります。
たとえば、身体がストレスにさらされているとき(手術時や感染時、外傷時など)には、免疫システムを維持するため、身体を分解してグルタミンを取り出そうとします。しかし、それにも限りがあるため、血中グルタミンレベルは低下して、免疫も低下してしまうのです。
トレーニングで疲れているときなども、同じような状況に陥ります。身体を分解してしまうだけでなく、免疫も低下させ、風邪をひきやすい状態にしてしまうのです。
ゆえに、トレーニングをハードに行っているときや、風邪をひきやすい季節のときは、グルタミンを「外部から」補給して免疫システムを守ってあげなければいけません。
摂取量としては、普段は一日に5g程度でいいでしょう。トレーニングする日はトレーニング直後、トレーニングしない日は起床直後や食間に飲むようにします。
風邪っぽいなと感じたら、10gは飲むようにしたいところです。トレーニング直後や食間など、5gを2回に分けて飲むようにしてください。