バランスのよい栄養摂取、これは現代において至難のことです。普通の食事を食べながら栄養条件を改善したい。そう考える人も多いはずです。
炭水化物や脂肪は普通の食事で簡単に摂取可能。タンパク質はプロテインでOK。ということで、今回は特に不足しやすい「ビタミンとミネラル」についてFAQ形式で紹介していきましょう。
Q1:ビタミンとミネラルの違いとは?
A:ビタミンは多くの場合、「代謝を助ける」働きをします。代謝とはホルモンや酵素を作ったり、エネルギーを産み出したりといった生命活動の源となるもの。ビタミンはこれらの活動がスムースに行われるようにしてくれるのです。
いっぽうミネラルは「カラダの構成物質」として働きます。骨の中のカルシウムやヘモグロビンの鉄などが代表的なところ。
人間の身体を車に例えると、車体がたんぱく質&ミネラル、ガソリンが炭水化物と脂肪、エンジンオイルがビタミンといった感じです。
Q2:ビタミンは大量に摂取しても、尿に排出されるだけだと聞きました。
A :身体が必要としない分は、確かに排出されてしまいます。しかしハードに運動するアスリートだけでなく、初心者であっても、必要とするビタミンは運動していない一般の人に比べて遥かに多くなるのです。 ネズミの実験では、通常は体内で合成するビタミンCが2g程度なのですが、ストレスを与えたところ、17gにまで合成量が跳ね上がったとのことです。精神的なものだけでなく、トレーニングも肉体にかかる強力な「ストレス」。ですから運動している人は、特に大量のビタミンが必要とされるのです。
Q3:子供にビタミンやミネラルのサプリメントを飲ませても大丈夫なのでしょうか?
A :厚生労働省の指針によれば、子供は成人に比べてビタミンの所要量、許容上限摂取量が”少しだけ”低くなっています。ですから子供にビタミンを飲ませるときには、ラベルに書いてある量よりも少し減らして飲ませるようにすると良いでしょう。
具体的には、体重で計算することをお勧めします。一般的なサプリメントは「体重65kg前後の成人男性」を基準に摂取量が決まられていますので、32.5kgのお子さんだったら、ラベルの半分の量で十分だということになります。
Q4:ビタミンを飲むタイミングについて教えてください。
A:ビタミンB群やCのような水溶性のビタミンは体内に留まる時間が短いため、何度かに分けて飲むようにします。空腹のときはビタミンの吸収と排出が早く行われてしまいますが、胃に食べ物が入っているときは徐々にビタミンが吸収されるようになるため、それだけ体内に留まる時間を長くすることができます。これらを考えると、ビタミンは毎食後に飲むようにするのが良いでしょう。
Q5:やはり天然モノのほうが良いのでしょうか?
A:分子の構造がまったく同じものである限り、身体は天然も人工も区別できません。 それに人工のものが効かないというのであれば、医薬品などは全く効かないということに なってしまいます。
特に水溶性のビタミンB群、Cなどは構造が簡単で、人工的に天然とまったく同じものを作り出すことが可能となっています。脂溶性のビタミンAやD、Eなどは人工的に天然と同じものを作り出すのは難しいのですが、実際のところ、殆どのサプリメントは天然物質から抽出することによって脂溶性ビタミンを得ています。つまり天然モノなのです。
なお、「他の成分も含まれるから天然のほうが良い」とする議論もあります。ビタミンCについて言えば、天然のアセロラやローズヒップなら、ビタミンC以外にバイオフラボノイドなども含まれる、としたものです。
しかしこれは論点のすり替えであり、「ビタミンCそのもの」についていえば、天然も人工も同じであるということに変わりはありません。ビタミンCは人工のものを安く摂り、バイオフラボノイドが欲しければ、柑橘系の果物を時々食べるようにすれば良いのです。
Q6:医師の処方薬を飲んでいるのですが、ビタミンやミネラルのサプリメントとの相互作用は大丈夫でしょうか?
A:殆どの場合で大丈夫ですが、念のため、かかりつけの医師にサプリメントを飲むことを伝えておいたほうが良いでしょう。例えばビタミンCはインスリンの必要量を減らしますので、糖尿病でインスリンを注射しているような場合は、注射するインスリンの量を調整する必要が出てくるかもしれません。またビタミンEは血液をサラサラにする効果があるのですが、心臓の病気などで血液の凝固を押さえる薬を使っている場合、その作用を増強してしまい、出血したときに血が固まりにくくなってしまいます。
マグネシウムのようなミネラルの場合は、キレート作用によって薬剤と結びついてしまい、薬剤の吸収を悪くするようなこともありえます。
もちろん薬局で買えるような普通の風邪薬だとか胃薬などでしたら、まったく問題はありませんのでご心配なく。