体重・筋量UP
細胞を増殖させるシグナル伝達経路がある。それをmTORシグナル伝達経路と呼ぶ。この経路が活性化すると、筋タンパクの合成が高まり、筋肉が増えるのだ。そしてHMBにはこの経路を活性化させる作用がある。(※1, ※2, ※3, ※4)なおロイシンにもmTORを活性化する作用は確認されている。
さらにHMBには速筋繊維における筋幹細胞の増殖を促進する作用や、筋衛星細胞の分化を促進する作用も十分に期待できる。(※5, ※6)
体内には古くなったり、使い道のなくなったりしたタンパク質を分解して排出するシステムがある。これをユビキチン・プロテアソーム系と呼ぶ。つまりタンパク質の品質管理を行うシステムである。
トレーニングで発達した筋肉は、生命の維持にはそれほど必要がない。そのため、ユビキチン・プロテアソーム系の格好の標的となってしまう。トレーニングを少し休むと筋肉が落ちてしまうが、それはこの系が働いているからである。
そしてHMBには、このユビキチン・プロテアソーム系をブロックし、ウォリアーの筋肉を守ってくれる作用があるのだ。(※5, ※6, ※7, ※8, ※9, ※10, ※11)
また「筋肉を減らしてしまう遺伝子」というものがあり、その名前を「ミオスタチン」と呼ぶ。生命にとってタンパク質は非常に重要な栄養素であるが、残念ながら筋肉は骨や内臓、ホルモン、酵素などと比べると、生命維持においてそれほど必要性は高くない。
そのため、必要なところにタンパク質を使えるよう、筋肉が増え過ぎないようにする役割をミオスタチンが担っているのである。
しかし筋肉を増やしたいウォリアーにとって、ミオスタチンは敵である。HMBはミオスタチンを抑えてくれる働きがあるのである。(※12)
トレーニングで筋細胞膜がダメージを受けると、不安定な状態になる。するとコレステロールの合成が上手くいかなくなり、ホルモン合成などにも悪影響を与える。HMBには筋細胞膜を安定させる作用があり、トレーニングによるダメージを軽減してくれる効果が期待できる。(※13)
なお面白いことに、HMBを摂取することで悪玉コレステロールが減ったり(※14, ※15)、インスリン抵抗性が改善されたりといった作用も期待できそうだ。(※16, ※17)
HMBは半減期が2時間半ほどであり(※18)、筋タンパクの合成を高めたり、筋分解を抑えたりする効果を発揮するためには、できるだけ血中濃度が安定するよう、小分けにして摂取するようにしたい。数多くの研究において効果がある量としては、1日1.5~3.0g程度とされている。3.0gを一度に摂ってしまってもかまわないが、できれば1.5gを2回に分けて摂るようにするといいだろう。
またHMBにはカルシウムと結合したもの(カルシウムHMB)と、遊離体のもの(HMB-FA)がある。HMB-FAの効果を喧伝する記事も多く見られるが、ほとんどの研究はカルシウムHMBを使って行われたものだ。HMB-FAは高価でもあり、現時点ではカルシウムHMBを使っておけば十分に効果は得られると思われる。
最近では「HMBを飲めばプロテインは必要ない」といった広告も見受けられる。これはとんでもない間違いで、最初に書いた通り、エルゴジェニック・エイドとは十全な栄養があってこそ効果が得られるものである。タンパク質が足りない状態でHMBを飲むのは、金をドブに捨てるようなものだ。
またこの種の広告で注意したいのが、HMBと銘打っているのに、実際に入っているHMBはごく少量で、他の成分で水増しされていること。必ずラベルを読み、HMBがどれだけ入っているのかを確認するようにしてほしい。
(終わり)
細胞を増殖させるシグナル伝達経路がある。それをmTORシグナル伝達経路と呼ぶ。この経路が活性化すると、筋タンパクの合成が高まり、筋肉が増えるのだ。そしてHMBにはこの経路を活性化させる作用がある。(※1, ※2, ※3, ※4)なおロイシンにもmTORを活性化する作用は確認されている。
さらにHMBには速筋繊維における筋幹細胞の増殖を促進する作用や、筋衛星細胞の分化を促進する作用も十分に期待できる。(※5, ※6)
体内には古くなったり、使い道のなくなったりしたタンパク質を分解して排出するシステムがある。これをユビキチン・プロテアソーム系と呼ぶ。つまりタンパク質の品質管理を行うシステムである。
トレーニングで発達した筋肉は、生命の維持にはそれほど必要がない。そのため、ユビキチン・プロテアソーム系の格好の標的となってしまう。トレーニングを少し休むと筋肉が落ちてしまうが、それはこの系が働いているからである。
そしてHMBには、このユビキチン・プロテアソーム系をブロックし、ウォリアーの筋肉を守ってくれる作用があるのだ。(※5, ※6, ※7, ※8, ※9, ※10, ※11)
また「筋肉を減らしてしまう遺伝子」というものがあり、その名前を「ミオスタチン」と呼ぶ。生命にとってタンパク質は非常に重要な栄養素であるが、残念ながら筋肉は骨や内臓、ホルモン、酵素などと比べると、生命維持においてそれほど必要性は高くない。
そのため、必要なところにタンパク質を使えるよう、筋肉が増え過ぎないようにする役割をミオスタチンが担っているのである。
しかし筋肉を増やしたいウォリアーにとって、ミオスタチンは敵である。HMBはミオスタチンを抑えてくれる働きがあるのである。(※12)
トレーニングで筋細胞膜がダメージを受けると、不安定な状態になる。するとコレステロールの合成が上手くいかなくなり、ホルモン合成などにも悪影響を与える。HMBには筋細胞膜を安定させる作用があり、トレーニングによるダメージを軽減してくれる効果が期待できる。(※13)
なお面白いことに、HMBを摂取することで悪玉コレステロールが減ったり(※14, ※15)、インスリン抵抗性が改善されたりといった作用も期待できそうだ。(※16, ※17)
HMBは半減期が2時間半ほどであり(※18)、筋タンパクの合成を高めたり、筋分解を抑えたりする効果を発揮するためには、できるだけ血中濃度が安定するよう、小分けにして摂取するようにしたい。数多くの研究において効果がある量としては、1日1.5~3.0g程度とされている。3.0gを一度に摂ってしまってもかまわないが、できれば1.5gを2回に分けて摂るようにするといいだろう。
またHMBにはカルシウムと結合したもの(カルシウムHMB)と、遊離体のもの(HMB-FA)がある。HMB-FAの効果を喧伝する記事も多く見られるが、ほとんどの研究はカルシウムHMBを使って行われたものだ。HMB-FAは高価でもあり、現時点ではカルシウムHMBを使っておけば十分に効果は得られると思われる。
最近では「HMBを飲めばプロテインは必要ない」といった広告も見受けられる。これはとんでもない間違いで、最初に書いた通り、エルゴジェニック・エイドとは十全な栄養があってこそ効果が得られるものである。タンパク質が足りない状態でHMBを飲むのは、金をドブに捨てるようなものだ。
またこの種の広告で注意したいのが、HMBと銘打っているのに、実際に入っているHMBはごく少量で、他の成分で水増しされていること。必ずラベルを読み、HMBがどれだけ入っているのかを確認するようにしてほしい。
(終わり)